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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第1章 世界の最底辺からこんにちは
9/68

8 ファーストコンタクト異世界人との遭遇

レクに乗って『どんぶらこ』と揺られながら川を下って来た秀一は、4~5日位はかかると言われた行程を数時間でたどり着こうとしていた。


まさかレクにこんな特技?があると思わず、かなり得した気分だ。


今は昼過ぎで、マップを見ると何か作業をしているのか、河原に村人の反応があるため、少し離れたら所で川から上がる。


いきなり村人居る河原に、巨大なスライムと一緒に上がるのは無謀だと考えたからだ。

レクを元の大きさに戻し、とりあえず抱えて移動する。



森の方に回り込んで村に行く。

森の中の村にも関わらず、村は100人位居るみたいだ。


村を見て最初に、高さ2m位の丸太を杭にして、杭の間に太めの木の枝を横にくくりつけ、細い枝と蔓系の草で補強した柵が目に入る。


如何にも素人仕事でお世辞にも立派だとは言えない。

もし、朝の猪だったら無いも同じだろう。


(というかアレを基準に考えたら石の防壁が必須だな。)


そう秀一は思っているが、大岩をも砕く突進を止めるなら、石の防壁でも心許ない。


柵の中には木造建ての結構傾いた廃墟の一歩手前の、これまた素人丸出しと言った感じの家がポツポツと立ち並んでいた。



柵沿いに入り口に向かって歩いて行くと、十数人の男達が手に武器を持って入り口の所に集まっていた。


武器と言っても木の棒とか鍬やら鎌といった物だが。


(やっぱり、神様ってのは歓迎されてないのかな?)


『外見だけでは神様とは判りませんので、あなた様だからじゃないでしょうか?』


(初対面でなんでピンポイント俺!が嫌われなきゃならんの!)


マニュと言い合っても仕方が無いので、男達に近寄って行く。


男達は皆、筋骨隆々のゴッツイ体格で筋肉言語が標準語と言ったような男達だ。


しかし近くで男達を見てみると、なんかちょっと違う………この違和感は………。


なんというか『にゃ~ん』っていう感じの……


そう、男達の頭の上に付いている猫ミミとお尻の上辺りから見える尻尾が異彩な光景を作り出していた。


(ムッさいオッサン達の猫ミミ、尻尾って誰得やねん!)


そんな失礼な事を考えてつつ、やっぱり、異世界は獣人が居るんだな~と思っていた。


「おい止まれ!こんな所に人族が何の用だ⁉」


神ではなく人族に見えてるようだ。

まぁ神様が普通に居て森の中を歩いてるなんて思うまい。

どちらにしても歓迎されてないようだが。


「森の中をさ迷っていたら偶々たどり着いただけだ。」


「嘘を付け!態々『神選の森』に人間が、ましてや森の奥まで何の理由も無く入って来る訳がない!」


「村の女、子供のが狙いか!俺達が居る限り手は出させんぞ!殺されたくなければ、さっさと帰れ!」


(うわ~またベタな展開だよ……やっぱり獣人って迫害されてる?)


『この森の外にある国は人族至上主義で獣人の人権は認めておりません。奴隷か魔物扱いです。』


(ヤダヤダ、ベタ過ぎて捻りが無いよ⁉)


ってか『神選の森』ってこの森の名前か?バリバリのフラグっぽい名前だな!


「遠くから来たので森の名前は初めての知った。神選の森?どうしてそんな名が森に付いているんだ?」


「お前と話す事は何も無い!さっさと去れ!」


取り付く島もねぇな、ここは素直に引くか。


秀一は村から離れて人が居ない河原に移動する。


(さぁどうしようか?神様以前に拒否られてるし。)


『ここで神様と言おう物なら暴動が起きますね。』


(うぉ~いぃ、どんだけだよ⁉)


『それ位この世界は獣人に優しくないのです。創った神様を呪う位に。』


(それはもう何の無理ゲーだよ………)


(…………………)



仕方がない釣りでもするか!

朝のご飯を食べてから忙しくて食べれなかったからな。

釣りキチのオレ様の腕前と技が輝るぜ!


見事なまでの現実逃避である。

食べ物は自分の世界の物を創って食べているので、魚を釣る必要はない。

と言うか異世界の食材は判らないからと拒否したのは秀一である。


釣りキチと言っても何度か理世に拉致られて、渓流釣りに行った位だ。


その時に理世から薦められて使った竿を創りだす。

長さ5mの一本竿の延べ竿で銅調子、硬調の初心者向けの竿だ。


俺は良く判らないが、程良い竿のしなりでアタリが取り易く尺モノの魚も大丈夫だそうだ。


餌は生き餌は創り出せないので水辺の石の裏側にいる虫を使う。



川の中央の深い所ではなく、川岸付近の浅瀬で石がゴロゴロしている場所にある、大きめの石の横を狙って仕掛けを落とす。


「さすが俺様!狙い通り!」


落としてすぐに消し込んでアタリが出る。すかさず合わせて竿を上げる。


体長60cm程の銀色の体色。横に葉っぱのような紋様のある、ヤマメっぽい魚が釣れる。


「一発か!幸先良いぜ!よし鑑定だ!」


◆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 銀葉魚 年齢 3

種族 川魚

性別 雄

JOB ーーー

LV 1

HP 20/20

MP 1/1


【備考】

体に葉っぱの紋様のある銀色の魚

銀色の体が太陽の光を受けて、

水面がキラキラ光る事から別名、銀陽魚とも呼ぶ。

成長が早いため食材として重宝される。

寿命は5年程度。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆


食材ってなってるから問題なく食えるな。

この調子でバンバン釣るぜ!


調子に乗った秀一は結局百匹程度釣り上げた。

やり過ぎである。


とりあえず収納して食べる分だけ出しなおそう。

っていうか一匹料理したら後は力を使って創った方が早くね?


………気にしたら負けだな、魚でも魔石があるし!


そう一人で言い訳をして納得させる。

実際に小さくとも魔石が取れるのは間違い無いので無駄ではない。




「さてお待ちかねの秀一クッキングのお時間です!」


まずは用意するもの。

包丁、まな板、洗面器。串にクッキングペーパーとお塩です。

お水は今日は綺麗な川がありますのでそこから取ります。


それでは早速始めましょう。

洗面器に水を入れ、お塩を入れて塩水にします。

そこに釣った魚を入れてヌメリを綺麗に落としましょう。

ヌメリを落とした魚はキッチンペーパーで水気を取ります。


次に包丁を後の方から入れて内臓を取りだしましょう。

頭からはダメですよ。内臓を傷つけて食材がダメになるかもしれませんから。


内臓を取ったら川に持って行き、流水でゴシゴシ洗いましょう。

お腹の中もキチンと洗わないと血合いで不味くなるので注意。


洗い終わった魚はまたまたキッチンペーパーで水気を取りましょうね。


さぁラストスパートです。


お好みにお塩を振ったら、串に刺して行きます。

串に刺す時、波状に刺すと見た目が綺麗で食欲が増します。


最後にたき火でしっかり焼けば、銀葉魚の塩焼きの完成です!


あと、最後の注意点は、しっかり火を通す事!寄生虫などが付いてる場合もあるので生焼けは危険ですよ!


それではまた、お会いしましょう!


と脳内クッキングの手順を思い出しながら完成させる。



これも実の所、理世の受け売りだ。

万が一に備えて、サバイバル技術は必須の習得項目らしい。

無駄知識かと思ったが今回役にたった。


早速、焼けたての銀葉魚の塩焼きを食べる。


「うま~っ!全然泥臭くないし、塩加減が絶妙だぜ!」


焼き魚だけだと物足りないので、おにぎりを創り出して食べる。


レクも気に入ったのか結構、消化吸収が早い。



そんな俺達を木の後から見つめる姿が一つ。

本人は木の影に隠れているつもりだろうが、

『きゅるるるるるっ~』とお腹音が可愛く鳴っているので、バレバレだ。



俺から半径50m以内に居るので、マップが自動表示されたのだが、白い丸だったので無視していた。


身長60cm位で年齢は4歳、黒髪に白い髪が混じったショートカット。

肌の色は小麦色で、目の色は金色だ。

特徴的な猫ミミと髪と同じ色の尻尾が無ければ普通の人間の幼女だ。


◆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 ニア 年齢 4

種族 猫人族

性別 女

JOB 孤児

LV 1

HP 3/12

MP 20/20


STR(攻撃力) 3 DEF(防御力) 5 AGI(素早さ) 5

EVA(回避率) 3 INT(賢さ) 45 DEX(器用さ) 10

MAT(魔法攻撃) 1 MDF(魔法防御) 1 LUK(幸運値) 10


【スキル】



【称号】

猫人族の孤児


【備考】

飢餓状態

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆


おうぅ、これは困ったぞ。

飢餓状態でHPが危険な所まで落ちてる。

孤児と言ってもあの村に住んでいるのだろう。

下手に手を出すと、誘拐だなんだと言われそうだ。

どうしよう………。


ニアの口から涎がたれ、目はずっと焼き魚をロックオンしてる。


秀一は無言の圧力(お腹の音は全力で語っていた)に耐えられず、声をかける。


「おい、そんな所に居ないでこっちに来たらどうだ?」


ニアは『びくっ』として固まるが、少ししてこちらの方に近寄って来た。

来てる間も焼き魚から目を離さない。


「名前はなんて言うんだ?」


鑑定で名前は知っているが、普通なら聞いても無いのに判る訳は無いので聞く事にした。


「……に、にあデス。」


「ニアデス?………ニアか。」


こくりと頷く。


「魚、食うか?」


「……お、お兄ちゃんのおさかなデスヨ。いっ、いいのデスカ?」


そう問いつつも魚に目は釘付けだ。


「沢山あるから大丈夫だ、足りなければもっと作るし、最悪また釣ればいいしな。」


「あっ、ありがとうデス!」


ニアは焼き魚を受け取り『はぐはぐはぐ』ともの凄い勢いで食べる。

食べながら途中で『ポロポロ』と涙が零れている。


「おいしいデス。おいしいデス。」


「泣くな、泣くな。魚はもっとあるから腹一杯食べろよ。」


次々に焼いてニアに食べさせる。

最初は飢餓状態だったのでもっと消化に良い物がいいかと思ったが、今の状況なら問題ないだろう。


ついでに、おにぎりも出して食べさせる。


おにぎりをニアが口にした時、金色の目を大きく見開いて『もきゅもきゅ』と口一杯頬張っていた。


「こんなおいしいモノ、はじめてのたべまシタ!すごいデス!」


こんな小さな体の何処に入るんだ?と思う位食べて、一息付いたのか『ぼへ~っ』と余韻に浸っている。


さて、本当にこれからどうしようか……。

普通に考えるならここで別れてニアを村に帰せばいいんだろうけど。

孤児でさっきの食べっぷりを考えるとそれも恐いよな。


村の状況もあるし………ああっ、面倒くせぇ!




秀一の嫌な予感は的中し、ドツボにハマるのを感じていた。

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


やっと癒し成分を出せました。

次回もうちょっと踏み込みます。

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