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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第1章 世界の最底辺からこんにちは
8/68

7 人里を求めて

今回より「左手の中の水晶」を「水晶」又は「左手」に省略するようにしました。



『ジリリリリリーーーーーー』


朝、喧ましい目覚まし時計の音で目が覚める。


「うわっ!あ、なんだ!」


『お早う御座います。今日も清々しい一日になるといいですな。』


(びっくりさせるな!目覚まし時計なんて無かったよな?)


部屋を見渡すが壁にレトロ感たっぷりの振り子時計が掛かってるだけだ。

一応、昨日寝る時に目覚まし機能が無いか確かめて付いていない事を確認している。


『ルームサービスでございます。いつもと変わらない時間のハズです。』


(今はいきものがかりの仕事が無いから早くね?)


いつもと変わらない時間なら大体4時だ。

そこから学校に行く準備をして5時には活動を始める。

本当に勉強最優先の進学校か?


『今日から人の住む所へ向かって貰いますので。ここから川沿いを下って、あなた様の短いあ……もとい、ちっちゃい体で4~5日位の所に村があります。』


(短い足って言おうとしたな?あとちっちゃい言うな!)


こちらの人間の足で3日位の距離だが、現代の日本人は長距離を歩いたりはしない。

特に16歳男子の平均身長より低いのでその辺を考慮した日数だ。


しかしながら秀一は人間を辞めさせられているので、密かに体構成が変わってる。

その事を本人に知らされていないし、まだ神に成り立てでLVが低く、全然自覚出来てない。


そういう諸々の事を踏まえて、かかる日数を計算している。


(うわ~っ、聞いただけで気持ちが萎えるわ~~~)


ここでグダグダ文句を言っても解決しないので(マニュのボケは炸裂するかもしれないが)、素直に朝食を食べて出発する事にする。


今日の朝食は、白ご飯に塩だけで簡単に味付けした焼き魚、豆腐の味噌汁、納豆といういかにも朝のご飯って感じの和食にしてみた。


たまには、パンとかの洋食でもいいが、朝はしっかりとお腹にたまる、和食が好みだ。


長距離を歩くという事で、途中で消化不良を起こすとマズイ為、ゆっくりと良く噛んで食べる。


レクは気に入ったのか『ぷるぷる』と震えている。


朝食を終え、装備を身に着けてレクと共に部屋を出る。

やっぱり、落ち着いて過ごせる場所があるのは良いものだ。

この点は無理して良かったと思う。


外に出た秀一達は、川に向かって歩き出し、そこから下流の村を目指す。


勿論、マップ検索は忘れない。


やっと明るくなり始めた森は、水辺に近いせいか朝靄がかかっていて視界が悪い。


慎重に足を進めながらマップを見ていると、やはり広範囲に赤い丸が見える。


とりあえず、昨日考えていたアラート機能を追加すべく、水晶に集中する。


自分から半径1kmの範囲を自動で検索して敵の確認。

明らかに敵意を持ってこちらを目指して近付いて来ているモノ。

自分から半径50m以内に居るモノ。

距離は関係無くこちらに害意を向けるモノ。


そう判断出来るモノに反応してアラームがなり、ステータスが自動展開するように設定を創る。


それ意外は今まで通りに俺が直接検索すればいいな。


川沿いを歩きながら、あれこれとマップの設定を考えて、こんな物かと納得が行く物が完成して、試そうかと思った時に突然『ピー』という音が頭の中で鳴り、目の前にマップとステータスが表示される。


「おいおい、いきなりかよ⁉誤作動じゃないよな?」


マップを見るとまだ1km程は離れているが、かなりの速さでこちらに向かって来る、赤い丸が一つある。

一緒に表示されたステータスをみると。


◆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 大牙猪 年齢 10

種族 猪

性別 雄

JOB 猪の魔物

LV 15

HP 220/230

MP 50/50


STR(攻撃力) 120 DEF(防御力) 50 AGI(素早さ) 200

EVA(回避率) 10 INT(賢さ) 10 DEX(器用さ) 3

MAT(魔法攻撃) ーー MDF(魔法防御) ーー LUK(幸運値) 10


【スキル】

渾身の牙突

猪突猛進


【称号】

我が道を行くモノ


【備考】

猪の魔物。成体。

体長3.5m、高さ2m、体重630kg

長く大きな牙を持ち、獲物に向かって突進してくる。

突進の速さは最高時速50kmを超え、体重を乗せた牙突は自分の倍程はある大岩をも砕く。

魔力は持っているが、攻撃や防御には使えない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆


「無い無い無い無い!軽トラ並みじゃんか!軽トラがノーブレーキで突っ込んで来たら軽く死ぬわ!」


1kmも離れてるのになんでこっちに来るんだ⁉

レベルも違い過ぎるし絶対勝てる訳がない。

最高時速50kmって言ったら約1分でこっち来るぞ!

全速力じゃないみたいだが、それでも4~5分か。

どんなに足掻いても逃げ切れない!


(異空間の部屋マイルームに逃げ込むか?)


『残念なお知らせです。ベットメーキングのため入室不可です。』


(緊急事態の時にアホなボケかますなや!)


『本当の話、今現在の力の関係上、夕方近くまで異空間との接続は不可能です。』


「肝心な時に使えねーなっ!」


猪は秀一から見て、後右斜め方向から森の中をこちらに向かって突進してくる。

無駄だとは思いつつもレクを抱え上げて下流の方へ走り出す。


『今来ている猪の魔石程度の魔素があれば繋ぐ事は可能です。』


「本末転倒だし!」


『マップの改良に力を使わなければ利用できたのですが。』


あれのせいかよ!

だけど改良しなかったら、今向かって来る猪に気が付け無かったしな。


まさしく鶏が先か、卵が先か?どっちもどっちである。


逃げ道でも秀一は悩む。

このまま川沿いを逃げても、猪の攻撃を避けるような障害物が無い分、速度は出るが追い付かれたら終わり。


森の中に逃げ込めば木々が障害物になるが速度は出せないから追い付かれ易い。


悩んでる間に猪は視界に入る位まで接近している。

これはもうダメだと諦め、森の中に逃げ込む。


森の中の出来るだけ木々の間隔の狭い所へ少し逃げ込んだ所で『ゴッ!』というぶつかる音が聞こえ、バキバキっと木が倒れる音が聞こえる。

その後も同じ様な音が繰り返され、しかも段々と近付いて来る。


「勘弁してくれ!なんなんだよ。少しは痛がれ!倒れた木で道を塞げよ!」


秀一はまた方向転換して川の方に向かう。

猪は真っ直ぐ来てるので少しでも変化を付けた方がいいと考えたからだ。

実際、猪は思ったより小回りがきくと聞いた事があるが、こいつはあまり小回りが出来ないようだ。


森の中と川沿いを入ったり来たりと必死に逃げる。


数十分位全力疾走したために限界が近い。


何も対策を思い付かないまま、とうとう川沿いの石につまづいてしまう。


追い付いてきた猪を見て咄嗟に転がるように川に飛び込む。


川は結構速く、深くて足が着かない。

さっきまで全力疾走したせいで体力もない。


ああっヤバいこれは溺れるなと覚悟すると、突然前に柔らかい物が現れて流される勢いを緩める。


柔らかい物を見ると、レクが川の水を取り込んで巨大化していた。


「助かった!レクありがとう!」


巨大化したレクの上にどうにか登り一息つく。


レクは川の流れに身を任せどんどん進んで行く。


やっと落ち着けると思ったが、後ろを見るとさっきの猪がこちらに向かって泳いでいる。


「そう言えば猪って泳げるんだっけ………」


まだ終わった訳ではなさそうだ。


しかしながら川の流れが速いせいか、さっきまでの勢いはない。


「さてどうするか?」


何か無いか改めて考える。


(今持ってる物って森犬と踊るキノコ……ってキノコの麻痺毒!)


しかし、この不安定なレクの上から踊るキノコを投げつける事は不可能だし、何かキノコの胞子を入れて投げる容器を創るのも胞子を別ける時間の余裕もなさそうだ。


勢いはないが、少しづつ近付いて来ている。


(あとは……そうだ!)


昨日キノコ料理を出した時の事を思い出した。


「あの時はちゃぶ台に左手を翳して造り出した。別に触れてなくてもいいんじゃないか?」


触れるようにと言われていたが、あの時は触れていない。

だとすると、出し入れしようとする物をきちんとイメージさえ出来ていれば良いのではないかと考えた。


「試しにやってみよう」


左手を猪の方に向け、鞄の中のキノコをイメージする。


「出てこい!踊るキノコ!」


光の粒が猪の真上に集まりキノコの形になっていく。


出て来た踊るキノコが猪の顔に目掛けて落ちる。

キノコは猪の顔に当ると共に『ぼふん』と胞子を撒き散らす。


「なんか古いギャグの黒板消しみたいだ………」


教室のドアに挟まった、如何にも挟まってますってバレバレの黒板消しを頭にウケる。そんな某お笑い番組を思い出す。


「出来るみたいだな、光の粒が出たって事は水晶を経由したって事か。」


どちらにしても結果的に出来るのであれば問題ない。

猪は体が麻痺し始めたのか、浮いたり沈んだりして溺れているようだ。

しばらくすると、動かなくなり、プカリと浮いてくる。


「死んだのか?死んだなら回収出来るハズ!これも遠隔で……」


再び猪に左手を向けて、回収するイメージをする。

触れた時と同じように光の粒が猪の体を包み消えて行く。


「これも成功だな!やったぜ!大物ゲット!」


早速、自分のステータスを確認する。


◆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 星見秀一 年齢 16

種族 神(人)

性別 男

JOB 創造神 (なんちゃって)

LV 2

HP 30/180

MP 20/150


STR(攻撃力) 40 DEF(防御力) 30 AGI(素早さ) 50

EVA(回避率) 120 INT(賢さ) 85(999999) DEX(器用さ) 80

MAT(魔法攻撃) 40 MDF(魔法防御) 50 LUK(幸運値) 20


【スキル】

創造神の左手

神の癒し(気休め程度)

獣魔術


【称号】

貧乏籤を引き当てる男

獣魔術師


【信仰心】

極悪人の持つ良心


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆


おおっ、レベルアップしてるぜ!

LVが1から2へUp


パラメータも大分上がってるな。

HPが63から180へUp

MPが80から150へUp

STRが20から40へUp

DEFが25から30へUp

AGIが35から50へUp

EVAが100から120へUp

INTが80から85へUp

DEXが50から80へUp

LUKが5から20へUp


うわっ、残りHP30にMP20かよ!あっぶねぇ~。

でもHPとMPの上限は結構上がってるな。


残りのパラメータの上がりは少しだな、まともに戦って無いからそんなもんか。


賢さ(INT)器用さ(DEX)は踊るキノコの出し入れのお陰だな。


幸運値(LUK)は今回は棚ボタって意味で上がったのかな?





さて、陸に戻って歩くのも今更だし、このままレクに乗って川を下るか。

その方が楽だし早く到着しそうだ。


「レク悪いがこのまま俺を運んでくれ。」


川の中は敵の反応もないし問題無さそうだな。

しかし考えると昨日の湖もそうだが、水の中は全然魔物が居ないな。

何か理由があるのかな?

俺がこの辺りに転移して来たのも関係あるかもしれないし。


(転移した場所や魔物が居ない湖や川、何か俺に関係するのか?マニュ?)


『関係あるかもしれませんし無関係の可能性もありますな。』


(どっちだよ⁉)


『あなた様次第という事で。今は判りかねます。』


なぁ~んか、このままにすると後で後悔しそうだが、教える気は無いみたいだな。


頭の隅に残して、今は出来る事をするしかないか。


とりあえず村に行こう!


大きくなったレクの上で、さっきまで逃げ回っていた疲れと、ウォーターベットのような感触に眠気に勝てず眠りながら川を下っていった。


ちなみに一度、川に落ちたのはご愛嬌。

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。

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