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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第1章 世界の最底辺からこんにちは
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6 快適に過ごすために

こちらの世界と日本との時間がリンクしているため、大した行動はしていないが、もう日が暮れ始め薄暗くなっている。


テイムとステータスの変更。

それとマニュとの無駄で疲れるやり取りでかなり時間を費やしたようだ。


さすがに暗くなってから、魔物の徘徊する森の中を動き回るのは危険だ。

今日はもうここで休んだ方が良さそうだ。


(もうすぐ日が暮れるがどうするんだ?一度日本に帰るのか?)


『さすがに毎日の世界転移は無理です。あなた様の寿命的に。』


(そう言えば俺の命を勝手に使ってたんだよな!じゃあどうするんだ?)


『大自然の摂理で野宿?』


(おーい!流石に魔物が徘徊する所で寝るのは嫌だぞ!)


いつ魔物が襲ってくるかもしれない場所では、ゆっくりする事など出来ない。

何処か安全な……例えば異空間に部屋とかあれば………


(そう言えば世界を管理する部屋が創られてないとか言ってたよな?管理する機能は無理としても部屋位作れないか?)


『本来なら、あと1000匹位のキノコか、それに匹敵する位の強い魔物を狩って欲しい所ですが、部屋とちょっとした設備ならなんとか………四畳半位で。』


(今からそんなに狩れるか!取り敢えず安心して寝れればいいから問題ない。)


『それではサポートしますので水晶に集中して下さい。』


意識を左手の中の水晶に集中しながら、こんな感じの部屋が欲しいと思い浮かべる。


『絶対無理です。贅沢過ぎます。なんでそんな物まで必要なんですか?私の言った事、全然聞いてませんね?』


あれやこれやとダメ出しされながら形になっていく。


『……完成です。ディメイションルームと唱えて下さい。』


「ディメイションルーム!」



目の前に人が入れる位の真っ黒い空間が拡がった。


中に入ってみると、そこには薄汚れ継ぎはぎのある壁紙が目立つ壁。

ガムテープで補強された窓に穴の開いた襖の付いた押入れ。

色褪せた畳に丸いちゃぶ台とブラウン管のテレビ。

照明は裸電球という昭和の薫りがする四畳半の部屋があった。


「力が無いって割りに意外と芸が細かいな!無駄な方面に!」


全然、全く自分が思い描いた部屋の要素が一つもない。


『あなた様の意識改革の為に敢えてこう致しました。頑張って力を集め、豪華な部屋に創り変えて下さい。』


(今時、ブラウン管のテレビって意味無いだろ……)


『ちゃんと日本のアニメ見れますから安心して下さい!』


(何故にピンポイントでアニメ⁉受信料とかどーすんだ?)


『N○Kは受信出来ませんので大丈夫!』


(だから危ないネタは止めろ!)



『それと特別にこの部屋と別にお風呂場とトイレは創ってありますので。』


(おおっ!それはありがたい!早速見てみよう。)


部屋の中にある別のドアを開くと廊下があり、廊下の左右にまたドアがある。

廊下の先は真っ暗でなにも見えない。


『先はまだなにもありませんので行ってもまたここに戻ります。無限ループ状態ですね。右がトイレ、左が浴室になります。』


(じゃあ、まずはトイレだな。)


右のドアを開くと1畳程の広さにウォシュレット付きの水洗トイレがあった。


あの部屋を見た後だったから、ボ○トントイレをイメージしてたんだが、いい意味で裏切られたぜ。

においの酷いトイレでなく一安心だ。


(次はお待ちかねのお風呂だ!こっちも期待を裏切るなよ。)


左のドアを開けると二畳程の脱衣室があり、スライド式のドアを開くとそこは……………



大神殿のような造りの豪華な部屋の中に、15m程の円形の広い湯船があり、女神の裸婦像が持つ壺からお湯が絶えず流れ出ている。


「なんじゃこりゃ!」


力が無いと言っておきながらこの豪華さは何なのかとツッコミたい。


『こちらはその昔、私が担当した別世界の神様から頂いた物です。お風呂好きな方で、沢山創られて世界が崩壊しそうな程、力を入れられておりました。』


(おーい、神様ってのはまともな奴は居ないのか?)


『一番の例があなた様ですからね!』


(煩いわ!まぁ貰える物は貰っておく。)


豪華な分は問題ない。

薪で沸かすようなドラム缶風呂とかじゃなくて、こちらも逆にありがたい。

おまけにお湯は出続けているので何時でも入れそうだ。


(さて、部屋に戻って晩御飯でも食べよう。)


さっきから密かに秀一の後ろを『ぷにぷに』と付いてくるレクに癒されながら部屋に戻った。


「何を食べようか?」


頭の中で食べ物を思い浮かべる。

色々な食べ物が次々に思い浮かぶが、今日の踊るキノコのインパクトが強かったせいか、キノコ料理が多い。


左手をちゃぶ台の所に翳すと、光の粒がちゃぶ台の上に集まり始め、光が収まると、そこには松茸ご飯(木製のおひつin)とキノコ鍋(鍋敷き付き)が乗っていた。


もちろんお茶碗と器は2個づつ、畳の上に敷くビニールシートも完備だ。



キノコ鍋は、昆布だしベースに醤油と塩で味を整え、椎茸、えのき、舞茸、しめじ、なめこ、エリンギ等きのこ盛り沢山。

後は、肉は鶏肉、ネギと白菜に豆腐の、鍋に使う定番の具材だ。


〆のうどんも抜かり無い。


松茸ご飯は鍋で使用するスープを分けて、スライスした松茸を贅沢に入れて炊きあげた物だ。


家の定番料理で、鍋のベースになるスープを多めに作れば簡単に出来ると母親は言っていた。



畳にビニールシートを敷き、そこにレク用のご飯を乗せてやる。


「よしレク食べようか。」


レクは『ぷよんぷよん』と左右に揺れた後、お辞儀のつもりなのか『ぺちゃん』と上が潰れて横に広がるような仕草をしてから、用意された料理の上に体を乗せる。


体が透明なので下の料理が見えるが、お茶碗や器はきちんと残し、食べ物だけが徐々に無くなっていく。


秀一も一緒に食べながらテレビを見る。


………本当にアニメで、某ネット小説からアニメになった異世界モノだった。


(どういう仕組みで、どういう基準で放送されてるんだ?)


『神々が見る為の神様ネットワークと神様セレクト』


『ズバリ!神アニメです!』


(煩いわ!)





食べ終わった後、レクを見てふと考える。


ステータスではレクは何でも食べる。

死んだ生き物を好んで食べる、ってなってたな。


そう言えば倒した魔物は魔石以外はどうなってるんだ?


(教えて!マニュ親父!)


『ダメ親父みたいな呼び方は止めて頂けませんか。』


(みたいじゃなく本気(マジ)だけど。)


『…………一度、水晶の中で魔石を取り出して中の魔素と情報を吸収した後、魔法の鞄に転送されています。』


(魔法の鞄の中に入ってるんだな。それで空の魔石って必要なのか?)


『人間社会では勿論、中の入った魔石が好まれますが、空でも問題なく取引されています。魔物の体自体も、素材として使われますので持ってて損は無いかと。』


(おおっ、人間社会!文明!異文化バンザイ!早く行ってみたいぜ。)


『勿論、信仰心の問題がありますので行って頂きます。』


(楽しみだ!)



まぁ今はいいか、とりあえず鞄の確認はしとこう。


魔法の鞄は貰ったが、何でも左手で直接対応していたので全然意識もしてなかった。


(そう言えば、力を使う時の光も不自然じゃないか?)


『回りくどいかもしれませんが、手を添えて魔法の鞄に入れるように考えて、鞄の中に収納してから転送すれば見えないので、不自然さは無くなります。』


(あと食べ物とか出す時は鞄に手を入れてからやればいいか。)


『それで問題ないかと。』


力を行使する時の問題は解決したので、鞄の方を確かめる。


『鞄に手を当てて中身を考えたら、何が入ってるのかが思い浮かぶと思います。後は鞄に手を入れて取り出したい物を思うと取り出せます。勿論、中に入ってる物を覚えていれば直接取り出せます。』


とりあえず最初に言われた通り、鞄に触れて中身を考える。

森犬と踊るキノコ、それぞれの空になった魔石が思い浮かぶ。


試しに鞄に手を入れて踊るキノコを思い浮かべる。

手に当たる物があり、それを掴んで取り出す。


「おおっ、取り出せた!間違い無く踊るキノコだ!」


『鞄にドアを仕込んでおいて、鞄をお腹の所に持っていって取り出せばウケを狙えるかと。』


(どら焼きは必須のアイテムだな!って違うわ!)


『今はまだ無理ですが、元の世界に戻る時のゲートとしてのアイテムならアリかと。』


(異世界ド~ア~!ってか。著作権で訴えられそうだ。)


まぁ本気で考えるなら、この空間の廊下の先に、出入口を付けるのが間違い無さそうだ。

もし万が一、第三者が利用するかもしれないからな。

ここからなら俺が入れない限り大丈夫だし。


そんな事を考えつつ、踊るキノコを何度も鞄に出し入れさせる。


鞄を思い浮かべると入れる時に光は出ないな、問題無さそうだ。


取り出した踊るキノコを見ながらそう結論を出すと、ピンと閃く。


(これって、レク食べさせると経験値にならね?)


『なるんじゃないですか?』


「よしレク!こいつを食べろ!」


踊るキノコをビニールシートの上に乗せて、レクに食べるように指示する。

『ぽよん、ぽよん』と踊るキノコの上に乗り吸収を始める。


しばらくして、踊るキノコが完全に吸収されると突然、『ぱしゃっ』とレクの体が崩れビニールシートの上に広がる。

丸い鈴のようになっている核がその上を回りながら転がっている。


(おい、なんだこれは⁉どうなったんだ?)


『キノコの毒に当たったみたいですな。』


(おいいぃ、どうすんだ?死んだのか⁉)


『大丈夫です。死んでないので……もう少しで体を再構成しそうです。』


ビニールシートに広がったレクの体が徐々に集まり、元の形に戻っていく。


(びっくりしたぞ。心臓に悪い!)


元の形になったレクが何事も無かったように『ぽよん、ぽよん』と左右に揺れている。

体がほんの僅かだが、ピンク色になっている。


(色がちょっと変わってるけど大丈夫か?鑑定!)


◆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 レークライム(レク) 年齢 1

種族 スライム

性別 雌

JOB 獣魔

LV 1

HP 10/10

MP 2/2


STR(攻撃力) 1 DEF(防御力) 2(160000) AGI(素早さ) 2

EVA(回避率) 3 INT(賢さ) 2 DEX(器用さ) 10

MAT(魔法攻撃) 1 MDF(魔法防御) 1(200000) LUK(幸運値) 100


【スキル】

消化吸収

白金(ミスリル)の防御

麻痺毒耐性(小)


【称号】

星見秀一の獣魔

森の掃除屋さん

スライムの薬屋


【備考】

なんでも食べる。

攻撃力が殆ど無い為に死骸など無抵抗のモノを好んで食べる。

核を白金(ミスリル)で防御しているので物理、魔法防御に優れている。

スライムの体を構成する水が薬水になる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆


おおっ、結構変わってるな!

HPが1から10へUp

MPが1から2へUp

DEFが1から2へUp

DEXが5から10へUp


麻痺毒に当たったせいか、麻痺毒耐性(小)が付いてる。

称号にスライムの薬屋………体が薬水になるって、ポーションか⁉

色が変わったのは解毒ポーションになったせいか⁉


(スライムの体はどういう仕組みやねん⁉)


『いや~私もびっくりです。』


(麻痺毒耐性(小)ってことは解毒ポーションも(小)だよな?)


『恐らくは。まだまだ世界は神秘に満ち溢れてますな。』


(お前が言うな!)


とりあえず、フタ付きの瓶を何個か創り出し、レクから採集する。


採集して減った分は水を足して補う。

薬の濃度はレク自身の能力で一定に保つようだ。


(解毒ポーションの効果は要検証だな。マニュ試してみないか?)


『私に毒は効かないので飲んでも効果はありません。』


(ちっ!役にたたんな。)


今は効果の検証は出来ないので考えるのを止める。

間違っても自分でキノコの毒胞子をわざと浴びて試す度胸も趣味もない。


やる事が無くなったので、明日に備えて英気を養うべく、レクと一緒にお風呂に入り(レクの体でぷにぷにして癒される)、眠りについた。


因みにお布団はペッタンの煎餅布団だった。

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


時季ネタや番外編とかも書けたらいいな~~(希望的妄想)

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