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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第7章 日本ドタバタ劇場
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幕間 すべてのはじまり2

本日3話目の投稿です。


切りの良いところまで進めたかったので頑張りました。


ブックマークで最新話から読まれる方はお気をつけください。

 『能力開化院』幼等部エリート組。


今回の創造神同士の集まりによって決定した事を実行すべく、今年入ってきた子供達で、能力検査を行って良い結果を出した者を特別に集めたクラスだ。

未来の創造神を期待された者達という訳である。


「みなさんには特別に今から世界創造の体験をしてもらいます。」


集められたクラス30人の幼神の前で、指導役に選ばれた若い神々が指導内容を話す。


指導役に選ばれたと言っても、創造神では無いために何をするのかは判っていない。

ただ教えられた事をそのまま教えるだけだ。


初めての試みだけにそんな細かい所まで行き届く訳もなく、元々居る指導役に押し付けただけである。



幼神の前に直径2m程はある大きな水晶が運び込まれてきた。

みんなその巨大な水晶に目が釘付けだ。


創造の水晶は大きさは個人で自由に決める事が出来るため、ビー玉位の大きさからそれこそ惑星サイズまで様々だ。


ただ普通はソフトボール大位の大きさにして体内に取り込んで使うのが一般的になっている。


今回は30人の神が使う為にわざとこの大きさにしてある。


「みなさんには、どんな世界が創りたいのか、ゆっくりと真剣に考えてから水晶に手をあててイメージしましょう。」


ゆっくり考えろと言っても、幼児にそんな言葉は通じない。

我先にと水晶に群がって好き勝手にイメージし始める。


「私は動物が好きだから、沢山の獣人を創って森の中で遊ばせるの。」


「やっぱり男は剣と魔法だろう! 騎士と魔法兵団の居るカッコいい国を創るぜ!」


「わたちペットを飼うの~。ドラゴンさん!」


方向性も何もあったもんじゃない。

混沌とした世界がどんどん構築されて行く。



「おい、なんかすごい事になってるぞ。あれじゃマトモな世界なんて無理だろう。」


「そうねぇ~、でもみんな楽しそうだから良いんじゃない? 本当に出来る訳じゃ無いんだから。」


それを見ていた指導役の神々も流石にマズイんじゃないかと思いつつも、疑似体験なんてお遊びのようなモノだからと好き勝手にさせていた。


創造神の決めた主旨からは大きく欠け離れたモノになりつつあるが、世界創造なんてやった事の無い神々に丸投げしている時点で間違っている。


みんなが思い思いにイメージしたもので出来上がった世界。

見るからに、ダメだろこれは! と突っ込まれる事が確実な混沌とした様子が水晶に映し出されている。


「(疑似体験、疑似体験)みんなこれでいいかな?」


「(ニセモノ、ニセモノ)じゃみんなで手をあてて力を込めましょう!」


本当であればここで力を込め始めて、力が水晶に満ちると起動して創造した世界が構築されて定着する。


今回は疑似体験なので力を込めても何の反応もしない。


ただこう言う手順でやるのだと教えるだけだ。


みんなが、水晶に力を込めていると、段々と水晶が光輝いて行く。


「すごいね。なんか本格的じゃん! 疑似体験舐めてたよ。」


「私らがもし創造神まで昇神したら、この体験は役に立つかもしんないね。」


なんて暢気な事を言って皆を見守る指導役の神々。


段々と光が大きくなるに連れて、何処までやればいいのだろうと思い始める。


「なんかこの光、ヤバくない⁉ 何処で止めれば良いのかな?」


「私も聞いてない。力を込めれば良いから! までだよ。」


みんな一緒に説明を聞いてるので、知らない事は誰も判らない。


力を込める幼神達は光が大きくなるのを面白がって更に力を注いで行く。


水晶全体が輝き出した後、ひときわ眩しく発光して段々と光は小さくなって行く。


「……ねぇこれ出来てない?」


「奇遇だね、私も師匠の世界を見た時と同じように見えるよ……。」


光の消えた水晶を見ると、世界が構築されて活動している様子が見てとれる。


みんなが好き勝手に創った世界は、整合性が崩れ巻くってあちこちで崩壊と再構築が起こっている。


「ヤバいよこれ! 何とかしないと崩壊しちゃう! 子供達にダメージが跳ね返って来るよ!」


「創造神様達に至急連絡しなきゃ!」


指導役の神々からもたらされた報告に驚いた創造神達は慌ててやって来て、自らの力を分け与える事で崩壊を食い止めていた。


「一体どう言う事じゃ! 何故世界が出来上がっとるんじゃ⁉」


「私達もなんでこうなったのか判りません。疑似体験の偽物としか聞いて居ませんでした!」


「そっちも大問題じゃが、なんでこの世界はこんなに混沌としとるんじゃ?」


幼い子供の想像力を育む為に、出来る限り口を出さす自由にという方針の元に行った世界創造の体験だ。


みんなが同じ考えをするわけが無く、整然とした世界を創造するなら、最初から一人一人水晶を分け与えるべきである。


そんな基本的な事さえも出来てない指導法に頭を抱える。


「私達が世界創造の水晶を用意出来るハズが無いじゃないですか!」


「私達はただ指示に従っただけです。」


ここでも自分達で考えるという事が出来なかったようだ。

指示されるだけじゃなく、疑問に思った事はちゃんと聞いて確認すれば、もし創造神が間違っていても修正する事は出来ただろう。


今回の出来事は深刻な人材不足を自覚させる結果となった。


「とりあえず儂らの力で無理矢理安定させた。この先どうするかは話し合わんといかんが、世界は子供達の力で構築されておるから、修正も子供達にしか出来ん。」


この混沌とした世界を創り直す事が出来るのが今現在、子供達しか居ない事を告げられて、出来る限り安定するように子供達に指導するようにと、指導役の神々に告げて去っていく。


「そんな無茶ぶりってアリなの?」


「自分達のミスを私らに押し付けないでよね!」


なんてグチっても後の祭りである。


何とかしろと言われても子供達には通じない。


「獣人達なんてペットだろ? 俺様の創った人間が飼ってやるぜ!」


「止めてよ~! 可哀想でしょう~。……うわ~ん、センセー私の獣人を虐めるの~!」


自分で創った生き物達を取り合ったり。


「行け~暗黒龍(クロたん)! 地獄の業火であの国を焼き尽くすのだぁ!」


魔物を使って国を滅ぼしたり。


「もうボク飽きた~! これ要らない!」


世界を管理する力の源の魔素を一ヶ所に投げ捨てたり。


もう無茶苦茶で手の施しようが無かった。


「絶対無理だって! もう崩壊しちゃうよ!」


「こんなの私らにやらせないでよね!」


指導役の神々もどれだけ無理ゲーだよ! と投げやりになっている。


結局、一人また一人と飽きて世界の管理を放棄し始めて、最後に地球を管理する創造神の娘である、シルヴィエールちゃん一人が残った。


「ワタチの暗黒龍(クロたん)のオウチ。ワタチだけのオウチ!」


一人になって自由に暗黒龍を遊ばせられるようになってご満悦だ。


しかし崩壊のカウントダウンは始まっている。

このままでは崩壊のダメージはシルヴィエール一人に降りかかってくる。


全ての神が放棄は出来ないので誰かが犠牲にならなくてはいけない。

創られたばかりの世界の為、そこまで大きなダメージは受けないが、少し痛い思いをするのは誰でも嫌だし、愛する娘にそんな思いはさせたくない。


両親の説得にも納得しないシルヴィエールから強制的に権限移譲を行使する。


本来、問題のある創造神から懲罰的に取り上げる事以外では行使された事の無い強制委譲だが、創造神でもないシルヴィエールから取り上げる分には何の問題もない。


ただ取り上げた神がその世界を受け持つ事になるだけだ。


「私が受け持つわ! 創造神の権限により強制委譲、その世界の名はエンデフィール!」


創られた世界はまだ名も付けられていなかったので比較的簡単に委譲が出来た。」


取り上げられて泣き叫ぶシルヴィエールを宥めながら、これからの事を考える。


「結局、犯人は判らずじまいじゃ。」


「私の可愛いシルヴィエールちゃんを泣かす輩は許せませんわ!」


とは言いつつもエンデフィールの寿命は約一年。

肩代わりしたエンデフィールが世界の再建をしても誰もチョッカイをかける事はないだろう。


「何が目的なのかもわからんしのぅ。このまま何もせんのは納得いかんの。」


どうするべきかと考えていると、ふと地球に居る人間の事を思い出す。


「そう言えば私の世界の人間を、勇者の力を持ったまま転生させた男が居ましたわ。」


「ああっ、あの男じゃな。儂も知っとるよ。確かに儂の世界の大賢者の娘と仲が良かったハズじゃ。」


勇者と大賢者、二人の大きな力を持つ者であれば世界の再建に申し分ない。


「でも、今感じた内容だけど異世界転移させる程の力はこの世界は持ってないわ。」


「それにエンデフィールが治める世界なら、犯人も手を出すまい。」


どうしようかと再び考え出す。


「あの二人と仲の良い普通の人間がそう言えばおったのぅ。ソヤツをエンデフィールの替わりに据えてみるか。」


「私の替わりって神にしますの?」


そんな突拍子も無い案を出すアーステル。

神にすれば裏技的にエンデフィールに送る事が出来て、オマケに勇者と大賢者が付いてくる。


「悪くはないと思うがの。そやつはエサじゃ。」


普通の人間が創造神になって世界を貰うなんてあり得ない。

きっと犯人は食い付くハズだ。

力も全然持っていないのも手を出しやすい要因になるだろう。


「そうね。その子には悪いけど頑張って貰いましょうか。」





こうしてその日の夜、白羽の矢を立てられた星見秀一が呼び出され、神として異世界に出向く事となった。

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。

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