幕間 すべてのはじまり1
本日2話目の投稿です。
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世界は一柱の創造を司る存在から始まった。
創造を司る存在は様々なモノを創造していつの間にか居なくなった。
残された創造されたモノは創造を司る存在を模倣して創造を繰り返した。
いつしか創造されたモノは創造神と呼ばれる存在となり、創造神は創られたモノ達から感謝され崇められるようになる。
創造神と呼ばれる存在となったモノは居なくなった創造を司る存在を想い、また創造神から創られたモノと同じように感謝し崇めていた。
創造神は何モノかも判らない創造を司る存在をはじまりの神と呼ぶようになった。
創造神は居なくなったはじまりの神が帰って来た時の為に創造を繰り返す。
全ての創造神は世界を創造する。
それこそが創造神の存在意義。
はじまりの神に認められるように。
はじまりの神と共に歩めるように。
今日もまた世界を創造する。
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神々の住まう場所。
天界、天上界、神界など様々な呼び方をされる異界。
創造神を補佐するために様々な神が創られ、創造神達と共に住まう世界。
その異界の一角。中央にある建物に創造神達が集まっていた。
「なんかアイツがさ~、ちょっと居眠りしてる間に世界が崩壊してよ、体に痛みが走って目が覚めたらしい。何時まで寝てるんだ!って呆れちまったよ。」
「いやいや俺の所のヤツなんかさ、100年周期で魔王を創るように設定してるもんだから、勇者が追い付かなくてさ、魔王が増えすぎて『どうしよう』って頭抱えてんの! 馬鹿だね~。」
どうやら、年配の創造神が弟子の失敗談を話しているみたいだ。
思い思いに話す神々に呼び掛けて話を中断させる。
そして一柱の創造神がみんなに語りかけた。
「最近の新しい創造神達の能力の低下と創造世界の画一したマンネリ化は深刻だ。」
創造神の創造神たる想像力。
新しいモノを考える、想像力の貧困がマンネリ化を生み、どの世界も似たり寄ったりで面白味に欠け画一した世界になっている。
創造した世界の豊かさと、その世界で暮らす生き物達の信仰心が、創造神の力となる為に、効率良く力を得る為に他の神々の成功例を模倣して安易に創る為に起こる現象。
模倣が全て悪いわけでは無いが、いくら世界を創造しても同じような世界では創る意味が無い。
無謀な冒険をして、自分の創った世界がダメになるなんて洒落にもならないから、小さく纏まった世界が構築される。
馬鹿な事をすると皆の笑い者になる。
そのような状況が今の創造神達の悩み事となってしまっている。
そんな状況を打破するための話し合いが今回の集まりの主旨だ。
「具体的な意見のある者はおらんかのぅ。」
集まりの中で世界創造の第一人者である地球の創造神が皆に問う。
「最近は師匠となった者に言われた事だけを実行し、自ら考えようとしなくなっている。」
「それで師匠が弟子に自ら考えろと言うととんでもない事をやろうとする。」
想像力が低下しているため「これをすればああなる。」「こうなる為にこんな事をしないといけない。」など、実行した結果や、結果を出すための手段など先を見通す力の欠如。
それが判って無いために最悪の結果に結び付くのも当然である。
「この際、一度師弟制度を見直してみてはどうだろう。」
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神々はまず人間世界でいう教育機関に当たる『能力開化院』という所で神の力を学び強化させる。
そこから自分の能力に合った神の元へ弟子入りして専門の技を教わり、一人前の神となる。
創造神は神々の中では一番の難関であり人気の能力だ。
みんなが最初に目指し、挫折した者が補佐をする色々な神となる。
能力開化院には大体生まれてから30年位で入り200年位で弟子入りと言うのが普通になっている。
人間世界に例えると3歳から20歳まで学校に通って卒業して就職という感じである。
神々は永遠の存在と思われがちだが、基本的な寿命は存在している。
普通は2000年程の寿命があり、外部からの恩恵でそれぞれ寿命を延ばす事が出来る為に、永遠と言われる程の寿命に達する者もいる。
そのせいで勘違いされているのだ。
もっとも今現在外部の恩恵を受けていない神は居ないからあながち勘違いとも言えないのだが。
外部からの恩恵は創造した世界の豊かさ、信仰心が主で創造神が管理する。
補佐をする神は眷族と呼ばれ、働きによって創造神から力を分け与えられたり、世界の管理の一部を任される事により、その世界で独自に信仰心を集める事を許されて力を得る場合がある。
その為に創造神を主神と呼んで他の神々と区別するのが一般的になっている。
先程挫折と言ったが、厳密には主神の元で働き、新たに世界を創造する事を許されるかどうかの違いである。
例えば戦神だろうと、豊穣神だろうと認められれば創造神となれるのだ。
自分の能力に合った神と言うのも創造神が求めている神という意味だ。
この世界の創造神は戦神を探しているとか、豊穣の力が足りてないので増やした方が良いと自分を売り込もうなど、人間世界でいう所の職活と同じである。
様々な力を司る神から段々スキルアップして創造神。
入社して係長になり、部長に上がるなどの経験の上に独立して社長になる。
そう言った例に例えると判りやすいかと思う。
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「師弟制度の見直しとは具体的にどうするんだ?」
「まず世界創造の業は、創造神に選ばれて初めて扱う事が出来るが、その前に眷族として働く期間が長すぎて、上の者の指示に従うという事が当たり前になってしまっている。」
つまり自分の考えをあまり必要としない働き方が定着してしまってるのがダメなんじゃ無いだろうかという意見だ。
「確かに儂の時は眷族なんて居らんかったな。自分で試行錯誤して世界を構築して色々やったのぅ。」
元々補佐をする眷族なんて必要性は無かったのだ、ただ居れば楽になるというだけで眷族から創造神という流れになったのだ。
「それでは眷族を無くすと言う事か? それでは皆が納得すまい。無くした者達の扱いも、皆を創造神にする訳にもいかんだろう。」
いきなりお前クビだから!
なんて言われたら暴動が起きるぞ。
何のノウハウもないのに明日から社長になってね。
なんて無茶ぶりもいいとこだろう。
「そんなんじゃ無くて、ここは一つ小さい時から英才教育すれば良くね?」
能力開化院での勉強に世界創造の業を教えて想像力を育てる所から始めたらどうだろうと言う意見だ。
まだ何も知らないからこそ色々な発想が出来る人材になるのではないだろうか。
「確かに要領だけ良くなった者達よりも期待出来るかもしれんな。」
そんな感じで試しにやってみようという事が決められた。
「では、それで試してみるかのぅ。あくまでも勉強の為じゃ、本当に世界が創造されんように疑似体験のみを可能とするようにの。」
「判っています。 それに世界創造なんて最初の構築に新米創造神でも一年以上、力を注ぎ続けないと出来ないんですよ、子供達の力で出来る訳が無いじゃないですか。」
「判っておる。万が一じゃ、機能制限の封印は確実にせよ。」
創造神達の話し合いの元でエンデフィールの世界の創造が始まろうとしていた。
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一話で終わる予定でしたが、長くなったので二話に分けました。
次で幕間は終わります。





