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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第6章 求められるモノ
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51 神の意思

大変お待たせして申し訳ありませんでした。


 オーラマディ達をガリ国に送り、目玉クンで様子を伺う事にする。

念の為に理世に護衛を兼ねて付いて行って貰う事にした。


「ねぇ秀クン、目玉クンを城の方にもやった方が良くない? あちらの動向も知ってた方が先手を打ち易いよ。」


確かに里美姉の言う事も一理あるな。

俺は別の目玉クンを城に向けて送り出す。

後は関係無いだろうが森に居る兵達の所にも目玉クンを付ける事にした。


それぞれの目玉クンが映した映像が見れるように複数画面があると本当に世界を監視していますって感じになってるな。

やはりこれからはこの方式を採用しよう。

何て事を考えている内に目玉クンが先に城に着いたようだ。



城の方でも光の柱と轟音は聞こえていたようで、国王達も動揺しているみたいだ。


「おい、今の光の柱はなんだ⁉差し向けた兵達の方みたいだが。」


国王の言葉に反応するように、宰相が質問に答える。


「確かに方角は合っておりますが、兵達の進軍速度から言って距離が離れすぎていますので問題は無いと思われます。」


「やはり使徒がらみだと思うか?」


「現状、一番考えられるのはそれしかありません。神託自体は本物のようですので。」


王と宰相の話を聞いていると、やはり偽使徒は王達がでっち上げたようで、部下を街の酒場に送り、引っ掛かりそうなマヌケが居たら、近くの席で酒飲み話での戯れ言のように聞こえるように話すように指示したようだ。


「それにまんまと引っ掛かったマヌケがアイツらって事ね。」


俺も里美姉も何でそんな話に引っ掛かるかな? と思わずにいられない残念な内容に開いた口が塞がらなかった。


念の為に理世にもその内容を携帯で伝える。

理世も呆れてモノが言えないようだ。


そうしている内に城門に着いたようだ。

オーラマディが名乗りを上げ、国王に緊急の謁見を申し出る。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「申し上げます。フーリス王国の巫女が謁見を申し出て城門まで来ております。」


王と宰相は今頃何故現れたのか疑問に思ったようだ。


「確かフーリス王国の巫女と言えば、身の危険を感じて街から逃げ出したのではなかったか?」


どうやら俺達の動向も知っていたようだ。

伝えに来た衛兵はオーラマディから聞いた謁見理由を伝える。


「神の使徒と光の柱の件で緊急に話したい事があるそうです。」


「ああっ、フーリス王国の巫女はこの世界で一番の能力を持つと言う触れ込みだったな。」


「どうしますか? お会いになりますか? あのバカ達よりも手駒にするには丁度良いかもしれませんが。」


偽使徒よりも利用価値があると宰相は王に進言している。


この期に及んでもまだ自分達の事しか考えないようだ。

理世達も待たされてる間に目玉クンから俺達を経由して会話内容は筒抜けなんだが、知らない王達は言いたい放題言っている。


理世はおろかオーラマディ達もウンザリしていた。


謁見を許可されて王達の元へ行く。

玉座に座った肥え太った豚ヅラの王と、その横に胡散臭そうに立つ宰相を見て益々話は通じないだろうなと、思いつつも話を切り出す。


「本日は急な謁見を許可頂き感謝致します。今回新たな神託がありましてそれを伝える為に出向かせて頂きました。」


「ほう、フーリス王国の巫女殿がこのガリ国の儂の所へ態々何の用かと思えばそんな事か……確かソナタらは教会で使徒殿に会って話をしたそうじゃの。」


偽使徒をでっち上げた張本人の癖に知らない振りをするようだ。


「あの者達は偽者でございます。新たな神託は……獣人達の保護とこの国を諌めるようにと……神は大変お怒りになっております。」


「そんな戯れ言を神が言うものか! 本当であればお主だけでなく他の者にも伝えるハズじゃ!」


最初から聞く耳を持つ積りもないので真っ向から否定する。


「神は私に仰られました。 人間達だけで解決する事が一番望ましいと……さもなくば……。」


「出来なかったどうすると言うのだ⁉ それに先程も言った通り誰が証明するのだ?」


「先程の光の柱が神のご意志です。獣人達に近寄らないようにという意味と、怒りがこの国に向かうとの警告です。」


「話にならんな。証明出来なければどんな言葉も戯れ言よ! 巫女殿の立場を利用すれば何とでも言えるからな。」


宰相もオーラマディが嘘を言ってると断言する。


「話によるとこの国に現れた使徒も偽者であるようだ……フーリス王国はこのガリ国に偽の使徒と、偽の神託で何やら企んで居るようですな!」


宰相は偽使徒をオーラマディに押し付けて自分の都合の良いように話を持っていくようだ。

衛兵達に命じてオーラマディ達を捕まえようとしている。


「貴方達は何を考えているのですか!この世界を……。」


言いかけた所で里美の忠告を思い出して口を閉じる。

秀一が目玉クンを通して見ている以上、世界の崩壊を言うわけにはいかない。

捕まえようとしている衛兵から逃れる為に再度口を開こうとするが、何を言って良いのか迷っているようだ。



察した理世がアイテムボックスから2mの長い日本刀を出してオーラマディ達を庇うように前に出る。


「大剣だと威力がデカイからな!」


誰に伝えるでもない呟きをこぼして日本刀を構える。

鞘に納められた刀は、ただの棒切れのように周りから見られているが、魔力を注いで刀身が現れると、衛兵達は理世達から少し距離を置いた。


理世は再び距離を詰められる前に刀を前に突き出す。

ただそれだけの動作だったが玉座の後ろの壁に大きく穴を開ける。

王達や玉座には何の変化も無いが、突然後ろの壁に開けられた穴に驚愕したようだ。


みんなの動きが止まる。


「……それで? お前達はどうする気だ?」


ボソッと呟いただけだが理世の言葉が謁見の間に響く。


「お、お待ち下さい……」


「俺はどうでも良いんだがな!」


オーラマディの言葉を遮り、5m程飛び上がってクルっと円を描くように横に一回転回りながら刀を振るう。


軽い感じで飛び上がって刀を振るっているが、他の者からは普通ではあり得ない動作に驚いている。


刀から魔力を抜いて鞘に納まった状態に戻す。

それと同時に壁がズレて行って謁見の間の天井が無くなり空が見える。


城が刀で切られて壁ごと天井が無くなると言う信じられない光景にみんな恐れを抱く。


「返答は?」


あまりの展開に理世の言葉が理解できていないようだ。


「獣人達の事とこの国の事だが⁉」


再度質問する理世。

みんな恐れて誰も言葉を発する事が出来なくなっているが王が答える……思いっきり場違いな言葉を。


「よ、よくも儂の城を! この化け物を殺せ! 巫女共も全員殺せ! 獣人達もみんなだ!」


「へ、陛下……⁉」


宰相も衛兵達も流石にこの言葉にはすぐには反応出来ないようだ。


「それがこの国の意思だな⁉」


「ま、待って下され……」


「儂がこの国の王だ! 誰の指図も受けん! 貴様らごとき捻り潰してくれるわ!」


慌てて宰相が理世を宥めようとするが、国王が言葉を遮って更に言い募る。



それを見ていた俺達はあまりの愚王振りに呆れてしまう。


「じゃあ準備も出来てるみたいだしちょっと始めようかな!」


里美姉がそう言って呪文を唱え始める。

準備って………?



我が紡ぐ(われがつむぐ)は世界の(ことわり)。万物に繋がる命の命脈(めいみゃく)、光あれば闇が、生あれば死が等しく訪れる。聖なる喜び、聖なる怒り、聖なる哀しみ、聖なる楽しみ、万物に与えられし聖なる営みの波動こそが神々の意思。我が魔力(わがまりょく)以て(もって)願うは、神々が与えし聖なる怒りの波動。天空の彼方(かなた)より此方(こなた)へ怒りの波動を覇道に乗せ、神々の意思を届けん!流星落とし(メテオーア)!』



何時もより長い呪文を唱える里美姉。

呪文を唱えながら物凄い量の魔力が体から溢れて里美姉の居る所を中心に魔方陣が描かれて行く。


その魔方陣と同じものが城の上空にも現れて始めると、人々は空を見上げて何事かと言い合っている。


呪文が終わると魔方陣から巨大隕石が姿を現す。


本来宇宙から大気圏を通って堕ちて来る場合は殆ど燃え尽きて小さくなっている。

しかし重力の影響で小さくても物凄い破壊的を持っている。


里美姉は呪文で召喚しているので、大気圏を通らないから大きいままだ。


魔方陣の位置を更に上空にすれば威力は上がるだろうが、低い所に出したのは里美姉の優しさだろう。


あとは演出かな?


魔方陣から現れた巨大隕石は城の後方の森に次から次へと落下していく。


しかしいくら抑えてると言っても威力は凄まじく、土や木々を粉々に吹き飛ばし、爆風と共に降り注ぐ。


人々はこの世の終わりか! と叫んで、慌てて建物の中に逃げ込んでいく。


「おい!里美姉やり過ぎ!」


俺が街の様子を見て里美姉に注意すると、慌てて違う呪文を唱えていた。


恐らく結界系の呪文だろう。

そちらの呪文を唱えた事で流星落とし(メテオーア)は終わったようだ。


城の中に居る王達も唖然として眺めて居る。


俺はこれを見せる為に天井を無くしたのかとやっと気付くが演出が過剰過ぎないか?


壁がある分、爆風は玉座の後ろの穴からのみで、さほど被害は無いが、粉々になった木々の破片や土は降り注いでいる。

しかしそれを気にする余裕は無いようだ。


「…………さて、神がどれだけお怒りか判って貰えたか?」


かく言う理世もビックリして固まっていたが、どうにか立ち直って再び王に問いかける。


「お、お前はいったい……」


「俺は使徒に従う従者の一人さ。」


「使徒様からは勇者様だと伺っています。」


理世が従者だと答え、オーラマディが勇者だと補足する。


「ゆ、勇者だとっ⁉勇者であれば人間の味方のハズ!なのに何故だ⁉」


王が何故自分達人間の味方をしないのかと叫んでいる。


「誰が何時そんな事を決めた? 神の意思は伝えたよな?」


「そんな事は認められん!認めんぞ!」


この期に及んでもアホな事しか言わない愚王。


神の鉄槌(ケラヴノス)!』


俺は愚王の目の前に雷魔法を落とす。


「神は今も見ているぞ! もうそろそろ決断したかもしれんなぁ?」


理世の言葉を聞いて俺は用意していた拡声器(ハンドスピーカー)を取り出す。

拡声器はダイアルが横に付いていて、ALLとONE、あとは教会と書かれた目盛りがあった。


俺はALLに合わせてから喋る。


『我が声を清聴せよ!』


俺の声は世界中に聞こえているようだ。

外に居たニアとミーシャも何事かと俺達の居る所にやって来る。

里美姉が人差し指を口元に持ってきて『静かに』というジェスチャーをしているので、ニア達は慌てて両手で口を塞いでいた。


その様子に和まされながら俺は続きを喋る。


『我が名はアステールヴレホ。この世界の神にして調和をもたらすモノなり。』


人々のざわめき声と戸惑う様子が見えるが無視して喋る。


『我が名を持って宣言する。獣人達と人間は等しく尊いモノだと。獣人達への不当な扱いはこれより禁ずる。今すぐに獣人達を解放せよ!我が意思に反する国には直接警告を与えた。二度目は無いと知れ。』


里美姉がまた何やら呪文を唱えると、先程の流星落としの様子が中空に浮かび上がる。

恐らく世界中でこの光景が映し出されてるのだろう。


『獣人達よ。神選の森に我が加護により街を創っている。その地に集い国を成す事を許可する。人間達よ。我が怒りの深さを知り悔い改めよ。』


その言葉を聞いて思わずニアが声を出す。


「あい!」


『我は万物の平和と調和を望んで『あい!』る』


「望んであいる?」


「望んで愛する?」


「愛し合えって事か?」


人々は口々にそう言い合っている。



うわ~最悪だよ!


慌ててまた両手で口を押さえるニアを見つつ、里美姉に視線を移すと黙って叱るジェスチャーをニアにしていた。


『全てを慈しみ愛する心が世界を平和へと導くであろう。』


ちょっと苦しいか?

しかし言い直す訳にはいかないし強引に締めよう!


『我はこの世界に我が意思を届ける使徒とその者を補佐する、勇者と大賢者を遣わした。我の言葉を伝える役目をフーリス王国の巫女に与えた。この者達に協力して世界の秩序を取り戻すように! あとはその者達に全てを託す。』


もうオーラマディは巻き込む事を前提に宣言しとこう。


そうして拡声器をOFFにして神託を終了させる。

しかし安い神託だよな~。


………何かオーラマディの『え~っ!』ってい言う悲痛な叫び声が聞こえるが気のせいだ!





キット、ソラミミ、ダヨネ⁉

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


あとは後日談でこの章は終わりとなります。

今回はネタが思い浮かばなくて苦しかったです。


やっぱり書き貯めないと投稿が止まってしまうので

アレですね。

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