47 司教と偽使徒
「失礼します。」
俺達は司祭と偽使徒達が居る部屋に入る。
司祭は身長が165cm位で茶色い髪に少し白髪が目立ち始めてる感じの歳は40台後半位か。
太ってはいないが、筋肉は無さそうな感じのふにゃっとした体型をしている。
如何にも傲慢で威張ってそうな俺様的雰囲気を醸し出している。
偽使徒の方は三人居るな……俺達と同じ人数かよ。
一人は応接用のソファーに座っていて残り二人は後ろに控えているので、偽使徒とお付きって感じだろうな。
偽使徒の方は座ってるので判りづらいが身長が170cm位か?歳は40位か、髪型は金髪を七三で分けている。目は垂れ気味でなんかナルシスト系っぽい感じの顔だ。
ただ神経質っぽく貧乏揺すりをしてイライラした感じだ。
お付きの方は一人は身長が140cm位で歳は同じく40歳位で黒髪でボサボサした髪が無造作に伸びている感じだ。
髭もモジャモジャで髪と髭の境目が判らない。
体型は樽型で横に大きいのでどこぞのバイキングかドワーフか!って感じの風貌だ。
もう一人は身長が155cm位で俺よりちょっと、ほんのちょっと、本当の本当に(しつこい!)ちょっと背が高い。歳は同じく40歳位で髪は茶色いでスポーツ刈りを少し伸ばしたような単髪だ。
目付きは結構鋭く、鼻が少し長いのが特徴だな。
偽使徒がもし女だったら某竜の落とし子のアニメに出て来そうな悪役三人組だな。
「お前達がフーリス王国からの使者かね?」
司祭が横柄にこちらに問いかけてくる。
「お初にお目にかかります。私はフーリス王国の創神教会本部で神託の巫女を授かっています、オーラマディと申します。」
「私は…………」
「お付きの名乗り等要らぬ!」
ロゼッテの名乗りを遮って話を進めようとしている。
やっぱり見た目通りそうだ。
「フーリス王国の神託の巫女と言えば枢機卿の次の序列となる者のハズ、早速あなたから私に挨拶ですかな。」
「いえ、私は神託に従って訪ねただけですわ。」
司教は少し不機嫌になりながらも話を続ける。
「では間もなく神託を受ける私に例を尽くした方が良いのではないかね?」
「本当に神託が降りればその様に。」
司教はどんどん不機嫌になって行く。
「それは神様より使命を賜っている使徒様の言葉を否定すると言う事かね!大変無礼だとは自分で思わないのかね⁉」
ああもう何だかね~!
話が進まないじゃないか!この残念司教!
騙されて教皇地位に踊らされてる奴は黙ってろよ!
俺は話が進まないので直接、偽使徒に話しかける。
「初めましてあなたが神様に選ばれた使徒様で?」
「そうですが貴方は?」
イライラした口調で胡散臭そうにこちらに言葉を返す。
「私は創神教会に帰依し、資金面で教会を支え神様の教えを広めようとしている者です。」
「そうですか!尊い行為ですね。名前は何と?」
うわっ!分かりやすっ!
あからさまに態度が軟化したよ。
「私は秀一と申します。」
「余り聞き慣れない名前の呼び方だな!」
うわ~司教もオーラマディから俺に目標を変えちゃったよ。
本当にこいつら判りやすすぎる!
「ええ、遠い国の出ですので珍しい名前かと。」
「そう言った貴方が大金を教会に寄付していると?」
「世界中を回って珍しい魔物の素材を売って財を得ていますが、何度も生死の境をさ迷うような経験もしましてね。生きてる事に神様に感謝をして徳と言いますか、お力をお借りしているつもりです。」
「ふん!大変結構な心得だな!では次期教皇の私にも感謝の気持ちを表して貰おうか。」
ああもうこいつ殴り倒したい!
「あなたは少し黙っていなさい!使徒である私の使命の方が優先です!」
みんなもこいつらの醜い争いを呆れて見ているな。
オーラマディ達でさえ呆れてるからこいつらを信じる事は無いだろう。
「そうですね神様からのご指示であれば何とでも。使徒様方の使命をお聞きしても?」
「いいでしょう!私の受けた使命は獣人達の捕縛です!神々によって人間の為に働くべく創られたにもかかわらず、人間と同じように暮らす行為は神々の意思に反しています!」
「獣人が神々の怒りを買っていると?」
「そうです!ですから残らず捕らえ本来在るべき姿に戻さねばならないのです!」
「まずはクソッタレな酒場に居る狐人族の餓鬼だな!」
後ろに控えていた細い方の男が口にする。
それってもしかしなくてもフィスアの事だよな⁉
「その酒場の獣人が貴方達に何かしたのですか?」
「使命を全うすべく捕らえたのですが、酒場の店主に力付くで無理矢理奪われてしまいまして、私達の行いをサポートして下さっている貴族にお渡しする予定だったのです。」
こいつらスフィアを拐って貴族に売ろうとしてたんだな。
司教は王様に神託を報せに行っているハズだから、その時その貴族が話を聞いて今回の事を考えた訳か。
金を手に入れた挙げ句に獣人奴隷も手に入れて大儲けってヤツだ。
教会は元々、存在感が薄いし信じられてもいないから住民の怒りは全部押し付けるつもりだな。
「それでは具体的にどのような方法を取るのですか?」
「それは私の権威を使えばこの国の補給部隊を借りる事も可能だ!数で宿屋も森の獣人も一網打尽だ!」
司教の力ね……恐らく国王や貴族達は最近獣人達を捕まえて居ないから『神の使命』の大義名分で大規模な狩をするつもりだな。
他国をその言葉で牽制する訳か。
結局はコイツらも国王や貴族さえも何も考えてないバカ達だと言うのはよく判った!
引き上げて対策を練ろう。
「判りました。私で良ければ力になりましょう!…ですが生憎とフーリス王国で寄進したばかりで手持ちが心許ない。」
「ではどうやって……」
「この国で私の仲間と合流する予定です。魔物の素材を沢山運んで居るため遅れているのです。その素材を売れば金板の2~3枚にはなるでしょう。そちらを教会や貴方達への寄進という事で。」
「それは願ってもない!神様も貴方の行いに大変喜ばれるでしょう。」
チョロいなこいつら、やっぱりバカだわ……。
「それでは寄進の準備が出来ましたら改めて。」
「ああっ待っているぞ!」
俺達は教会を後にする。
もうオーラマディ達なんてガン無視だね!
お金意外何も関係無いってか⁉
その上獣人もだと?
俺にケンカ売ってるよね⁉
「もう呆れて言葉にならなかったよ!」
「良くもまぁあんな嘘で騙せると思うな!騙されてる司教はアレだが。」
理世達の意見に全面的に賛成だ。
「秀一さん達はあの使徒様方が偽者だと思われてるのですか?神託は一部の者しか知らないハズですから、神託を受ける意外で知る方法は無いのでは?」
「最初に司祭が言ってたろ?国王に報せたけど無視されたって、その時に自称使徒がいう所の後援の貴族が聞いてたんじゃないか?」
「それならば有り得ますね。」
「それに獣人達の扱い云々はこの国だけの事だろ?他の国も同じ事を考えているのか?」
「いいえ、一部の者の中にはその様な考えの者も居ますが、殆どの人間は同等とまでは言いませんけど尊重し合えると思っています。」
「それどころか神々の中には獣人を篤く扱うように言われる方も居た位で。」
オーラマディ達も獣人に関してはおかしいと思っているらしい。
良かった、少なくとも他の国では獣人は受け入れられそうだ。
とりあえずはフィスアの事をどうにかすれば後は何とか出来るかな?
どうやって切り出すかを考えながら宿屋に戻った。
「お帰りなさい!」
元気な挨拶でフィスアが迎えてくれる。
一先ず昼食でも取りながら意見交換するか。
「フィスア、今から昼食は大丈夫か?」
「はい、もう始めてますので大丈夫ですよ!お持ちしますので席に座ってて下さいね。」
皆で席に座って改めて話を始める。
「…………さてどうしよう………。」
開口一番の俺のセリフに皆がズッコける。
「秀ク~ン………」
「秀一お前は…………」
「「何か考えが有ったのでは⁉」」
「軽い冗談だ………。」
皆の視線が痛いぜ!
本当にどうする?直球勝負で行くか?
そうこうしている内にフィスアが食事を持ってきたので出たとこ勝負で声をかける。
「フィスア済まないが店主と話がしたい呼んで貰えるか?」
「はい、今は料理とかで手が放せないと思うので落ち着いてからでいいですか?」
「それで構わない。俺達は食事をしながらゆっくりと待たせて貰うから。」
「それでは店主に伝えておきますね。」
フィスアはそう言って奥に入って行った。
「秀クン何か考えついたの?」
「何も!一応注意を促して、いざとなったら強制的に向こうに連れて行けば解決かなって。」
「行き当たりばったりの出たとこ勝負みたいだな。」
「みたいじゃなくてそうなんだよ!理世達は説明して納得させる自信はあるか?」
「「無いな(ね)!」」
「あの~ぅ何のお話でしょうか?」
「あの偽使徒をどうするかで店主に協力を頼めないかなと思ってね。」
「そうなんですね。」
オーラマディ達も居たな……こちらもこれからの為に上手く話を通したいんだけどな。
そんな事を食事をしながら考えているとゲルディが慌てたように駆け込んで来た。
「親父!フィスア!居るか!」
情報屋で門番のゲルディが慌ててここに来るって事はもしかして………。
これは説明の手間が省けるかもしれないな!
ナイス!ゲルディ!
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