46 いざ教会へ
45話で狐人族のフィスアの名前がスフィアに変わってました。
5月1日に全て修正させてもらっています。
間違って申し訳ありませんでした。
ニアとミーシャに癒されてガリ国の宿屋に戻る秀一達。
早速今日からオーラマディ達に付いて行って教会関係者に会ってみようと思っている。
「さてさてどうなることやらだね。秀クン!」
「癒されて回復した心がまた折れそうになるから、あんまり考えたくはないな。」
などと言い合いながら食堂に降りていく。
「お早うございます!ゆっくりと休めましたか?」
フィスアが元気な挨拶をしながら体調を気遣ってくれている。
「おはよう!昨日は無理言っちゃってゴメンね!お陰で元気になれたよ!」
里美姉がフィスアに返事をしながら、食堂の席につく。
「朝食はすぐにお持ちしますね!」
すぐに俺達の朝食を取りに奥に入るフィスア。
見る限りでは無理矢理とか嫌々ながらの仕事では無いようだ。
やはりここは何もせずに知らん顔で過ごした方が良さそうだ。
俺達がフィスアの事に対しての結論を出した所でオーラマディ達が食堂に入って来た。
「お早うございます!昨日はゆっくりと休めましたか?」
俺達の食事をこちらに運びながらフィスアはオーラマディ達に挨拶する。
「お早うございます。美味しい食事と温かいベッドで寝れたので結構疲労は抜けました。」
「それは良かったです!すぐに朝食をお持ちしますね!」
「お願いしますね。」
食事を運ぶフィスアに連れられて来るような形でオーラマディ達がこちらにやってくる。
「お早うございます。」
「おはよう!今日は教会だっけ?に行くんだよね?よろしくね~!」
「いえいえこちらこそ……なんかもう付いて来て頂けるだけで心強いです。」
やはり昨日の事がかなり堪えているようだ。
気持ちは判る……かんばれ!
一緒に朝食を食べた後にオーラマディとロゼッテの後ろから俺達は付いて行った。
昨日の事もあり、ロゼッテは周りをかなり警戒している。
そんなに警戒しても無駄のような気がするがそれで気が紛れるのならと思いロゼッテの事はそっとしといてやり、俺はオーラマディに話しかけた。
「俺はよく知らないんだが教会だっけ?それってその国だけじゃ無くて世界中の国と繋がってるのか?」
「皆さん今は余り知られてないようですけど、聖王都ファーマにある創神教会が発祥地でそこから世界中に広がっています。」
「聖王都の創神教会ですか?」
「はい。この世界を創造された30柱の神様を信仰していましたが……神々の狂宴……げふん……神々が世界を良くする為にそれぞれが互いに知恵と力を出し合ってた時に、人々からの信仰が失われて行って教会の存在価値も薄れて忘れられていったんです。」
かなり苦しい説明だけど神々の狂宴ね。
皆で好き勝手やっちゃったあの………。
「聖王都の国の起こり自体が教会設立からですので、聖王都自体もかなり逼迫してるんですけどね。だから今はフーリスの私達の教会が牽引しているもので………」
「今回のオーラマディ達に行き着く訳ね。」
里美姉のツッコミが入っちゃったよ。
理世も容赦なく質問するし。
「でも30柱の神々を信奉してるのに今回の新神様の事はどうなるんだ?」
「………神々が去られて久しいですのでもしこの神託が本当なら……『いっそのこと乗り換えちゃえ!』という意見が………」
かなり軽いノリだなおい!
それでいいのか?
「そんな簡単に乗り換えて大丈夫なのか?」
「いつまでも去られた神々をお待ちするよりも来て頂ける神様を信じた方が良いと………それと最後まで残られた神様が暗黒神様なので……流石に暗黒神信仰はどうかという意見が………」
「オーラマディ達の判断次第で教会の未来が変わる訳ね!責任重大だね!」
うわ~里美姉も煽ってるよ、っていうか煽られてるのは俺の方か?
オーラマディ次第で人間の信仰の対象が俺に変わる訳だし。
今は勢力が落ちまくってるけど、何も無いよりマシだな。
さてどういう風にして俺の事を認めさせようか……。
「お嬢様、教会に着きました。」
ロゼッテがオーラマディに教会に着いたことを知らせる。
俺達が話してる内に到着したようだ。
オーラマディは教会の入り口の所にいる人…司祭かな?に話しかけた。
「フーリス国、創神教会の枢機卿様の使者として参りました、オーラマディです。司教様に面会をお願いします。」
「司教様はただ今、使徒様のご訪問で忙しくされております。面会であれば枢機卿ご自身が来られて次期教皇である司教様に会われる方が良いでしょう。」
「「「「「は?」」」」」
俺達は揃って何を言ってるのか理解出来なかった。
使徒が居るって何処によ?
「し、司教風情が枢……………」
「本当に使徒様がこの国にいらっしゃってるのですね?しかし司教様が次期教皇とは?」
ロゼッテの言葉をオーラマディが遮る。
オーラマディは違う所で疑問に思ったようだ。
「只人が選んだ教皇や枢機卿よりも、使徒様の選ばれた司教様の方は立場が上なのは明白の事です。使徒様の当座の活動資金が集まり次第、神様に推薦してくださり、世界にご神託を発して下さるそうです。」
当座の活動資金ね………如何にも詐欺くせぇ~。
ようは金で教皇の地位を買えって言ってるんだろ?
この世界の教会の位階は知らないけど大体同じよな感じだろうな。
俺的感覚で言うと……
教皇 創神教会のトップ
枢機卿 創神教会の中で中心的指導の立場
大司教 世界中の教会の地区の纏め役
司教 国ごとの教会のトップ
司祭 教会の纏め役や従事する者
助祭 教会で従事する者達の補佐
信徒 一般市民
普通は国の教会のトップが周辺地区の纏め役の大司教や教皇の地位も狙える枢機卿を差し置いて教皇なんてなれる訳がないな。
「この国の王様や貴族達はなんと?」
「ふん!あの愚か者達は最初の神託の時から知らん顔で自分達の利益と享楽の事しか考えていない俗物達です。間もなく神罰が下るでしょう。」
知らぬ存ぜぬであとから何を言われても言いように最初から知らなかった事にするわけね。
「お分かり頂けたならお帰り頂いてよろしいですか?」
おっと、こっちの話があったな。
まずはちゃんと会って話をしたいな……偽者の意図とか…まぁ金目当てなのは判るけどね。
「すみません、我々も上からの指示で参っております。なんとかお話だけでもお願い出来ませんか?」
俺は司祭に金粒を密かに手に握らせる。
この手の奴も結局金だろうしね。
司祭は貨幣とは違う感触に戸惑い、手の中の金粒を見て驚く。
「んんっ!中々ご使者殿とお付きの方は敬虔深いと思われる!
私が少し骨を折って見ましょう。」
「有難うございます。神の恵みがあらんことを!」
やっぱり金だよね~、アホらしい。
(秀クン良かったの?)
(力づくって選択肢もあったが?)
(ただの金目当てなら良いけど、別の意図があったらアレだしね。あと顔も見ておきたい!)
俺達が小声でヒソヒソと話をしているとオーラマディ達も話に加わって来た。
(よろしかったんですか?あんな大金を⁉)
(あんな俗物達に金を渡すなんて付け上がらすだけですよ!)
(向こうは勘違いされてるけど、私達はフーリス国とは関係無いし、そちらの迷惑にはなんないんじゃないかな。)
(そうそう。一応世界中の問題なら情報を仕入れてた方が俺達の為でもあるしな。)
(金粒一つで問題解決の糸口になるなら安いもんだろ?)
(しかしこちらの相場で金貨5枚ですよ⁉フーリス国なら金貨2枚と大銀貨5枚……あれ?なんだかいいような気がしてきました。)
(ロゼッテ⁉)
(とりあえず本物なら見物料としてなら妥当だろ?)
(本物だったらですよ!嘘に決まってるじゃないですか!)
(やっぱりオーラマディもそう思うんだ。でも神託って皆が聞けるもんじゃないんだろ?)
(聞けるのは教会の巫女と一部の上層部の者だけです。でもこの国ですよ⁉何処から漏れて悪用されるか判ったもんじゃありませんよ!)
(やっぱり昨日でこの国の事は学習したみたいだな。どうあれ一度会って見ればすぐに判る……戻って来たみたいだ。)
司祭が戻って来たので話を打ち切る。
「お待たせ致しました。フーリス国の使者殿が是非にという事であれば特別にお会いになるそうです。此方へ。」
おおっ流石に金の力はこの手の相手には絶大なもんだな。
さてさてどんなバカが出るかな?
俺達は司祭の案内で司教と自称使徒が待つ部屋へと向かう。
「これからお会いするの次期教皇様と神の使徒様方です。くれぐれも粗相の無いように気を付けて下さい。あと使徒様方はこれからの役目を円滑に行う為の資金を欲しておられます……お分かりになりますね?」
要は会ってやるから金出せよ!って事だよね?
なんかもう会わなくても良いんじゃね?
って思えて来る程にらしすぎる。
俺達は皆で顔を合わせて心の中で『後悔しないつもりを後悔させるとは!』ある意味凄い人物だと別の意味で思った。
建物の一番奥に位置する部屋に着き、司祭が扉をノックする。
「次期教皇様、ただ今フーリス国の使者を連れて参りました。」
すでに次期教皇呼びかよ⁉
「入ることを許します。」
うわ~無いわー。
すでに上からの発言だよ………普通は枢機卿を要する国の巫女の方が立場は上だよね?多分。
司祭が扉を開けて俺達に入るように促す。
それではバカ達の顔でも拝んで言い分でも聞こうかな!
お読み頂き有難うございます。
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