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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第6章 求められるモノ
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44 話を聞いてみる

『愚か者の騙し屋』の看板が掲げてある建物を見てみると、少し古ぼけてはいるがシッカリとした石で出来たレンガ造りの建物で3階建だ。


入り口は両開きのウエスタンタイプのなんか酒場には有りがちの扉になっている。


俺達が中に入ると野太いダミ声で不機嫌そうな声が聞こえてくる。


「いらっしゃい……」


身長2m超えで見事なスキンヘッドの筋肉ダルマと言って良いようなガッシリとした体つき。


なのに妙に違和感のある、大きいヒマワリっぽい花の刺繍が非常に目立つエプロンを着けた大男が奥から出て来た。


泊まる話をしようと思っていたが、妙に威圧感のある筋肉ダ…げふんげふん…店主を見て、まずは様子見がてら食事をとる事にする。


「食事をしたいんだが今からでも大丈夫か?」


「…………あぁ」


「いらっしゃいませ~!」


大男の後ろの方から元気な女の声が聞こえてくる。


身長120cm位で歳は10代前半12歳位か?オレンジ色のショートカットで給事用なのかツバの無い帽子を被った元気一杯な女の子が出て来た。

細長の目で茶色い瞳が特徴的だ。


「マスターは接客に向いて無いんだから私に任せて下さい!」


「お、おい……」


店主に向かってそう言い放つ女の子。

店主の反論を無視して俺達の対応に入る。


「お食事ですね?料金は一人前が鉄貨5枚かかります!奥の席なら全員で座れますよ。」


「じゃあお願いしますね。皆早く入ろ?」


里美姉が答えてから俺達に入るように促す。

俺達……俺と理世だが女の子を見てて(正確には女の子のステータス)対応に遅れてしまった。


「……そうだな入ろう。」


俺達は言われた通りに奥の席に座る。


女の子の名前はフィスア、狐人族で15歳。

俺達が対応に遅れたのは奴隷表示が無かったせいだ。


「……改めまして、先程は助けて頂きありがとうございました。」


「こっちが勝手にやった事だもん気にしなくていいよ。」


また里美姉に対応を任せてしまった。

どうもフィスアの事が印象強くて他の対応に遅れてしまう。

俺達は意識をオーラマディ達に切り替える。


「旅の縁だとでも思って貰っていい。それより女二人でこんな国に来るなんて…訳ありか?」


「あはははっ………ちょっとバカげた用なんですけどね。あっ、そうだ!自己紹介してなかったですね!私はオーラマディ、フーリス王国から来ました。こっちはロゼッテです。」


「私は里美よ。あっちの背の高い方が理世で小さ……げふん…可愛い方が秀一よ。」


今小さいと言おうとしたな!言い直してもそれはどうか?という表現だけど!


「俺達は当てもなく旅をしてるから出身国っていうのは取りあえず今は無いな。」


「世界を旅してるんですか?私達より無謀なような……」


「お待ちどうさまっ!」


会話をぶった切るようにフィスアの声が被さる。


一先ず仕切り直すために運ばれて来たご飯を食べる事にする。


豚肉のようなもの(恐らく大牙猪)を焼いた肉と何か野菜の入ったスープ、固めのパンが出てきた。


肉を食べると味付けは塩のみだけど結構おいしい。

野菜スープもコンソメスープみたいでマトモだな。


思ったよりもおいしいご飯を食べながら再度話をする。


「今は魔物が増えた上に凶暴化してるでしょう?良く旅なんて出来ますね。」


「元々俺達は魔物を狩って生活してるしな、割りの良い獲物を探してフラフラしてるだけだ。あんたらはフーリス王国からだと大分苦労したんじゃないか?」


「そうなんですね。凄いな~!まぁ違う意味で苦労してますけど、ここまでは………」


「お嬢様!」


ロゼッテがオーラマディの言葉を遮る。

恐らく口外出来ない方法なんだろう……空間転移かな?


「すみません。確かに苦労しましたが何とか辿り着けました。ね?お嬢様。」


「そ、そうですそうです!」


失言に気付いて慌ててロゼッテの言葉を肯定している。


「それにバカげた用って言ってたけど、ここまで来るんだもん結構重要な事なんでしょ?」


失言で慌ててる所に里美姉のツッコミが容赦ない。


「あはははっ………皆さんって神様って信じます?」


「はあっ⁉神様?」


巫女って言う位だから例の神託がらみかな?っては思っていたが、ピンポイントで来るとは思わなかった。

それにしても神託で新しい神って言ってもこの国に来る要素は無いと思うんだが?


(マニュ何かこの国と関係あるのか?)


『神様達が最新情報で『ガリ国に神の使徒登場!人々の期待に答えて今新たなる伝説が幕を上げる!続報を待て!』と言った神託を出しておられました。』


なに?その俺達の旅はまだまだ続く!

みないな打ち切りモノのマンガやアニメの最終回のノリは………。


「ですよね……とあるスジから神様の関係者がこの国に居るらしいと………。」


ああっ、なんか落ち込んじゃってるよ。


「それでお前行って確かめて来いや~!って言われてですね………」


すでに涙目ですよ!

ロゼッテも下向いて沈んでますよっ!


「ドンマイ!」


里美姉!スッゴい笑顔で言っても逆効果だから!

それ励ましになってないから!


「まぁなんだ、信じる者は救われるっていうし……頑張れ!」


理世も全然フォローになってないよ⁉


「いえ、私達も信じてはいませんよ?厄介だな~とか面倒とかは思ってますけど。本当だったら今度はどんな災いが!って知っとかないとマズイだけで。」


おーい!何でやねん!

一応君ら関係者でしょ⁉

巫女と信徒が信じなくてどうするの?


今度は理世達が俺をみて『ドンマイ!』とジェスチャーをする。


余計なお世話だ!


「それでこれからどうするつもりなの?」


里美姉がなに食わぬ顔でオーラマディに聞いている。


「この国の教会関係者とかに当たって見て、あとは聞き込み位しか……」


「うーん、今みたいに『あなたは神を信じますか?』じゃ誰も答えてくれないと思うな!」


「ですよね~……なんで私がこんな………」


「私達も協力してあげるよ!なんかおもし……げふん……ここで会ったのも何かの縁だしね。」


……里美姉苦しいよ?

この世界の人間の神様に対する事を知るには良い機会だけどさ。


「良いんですか?正直私達二人でどうしようって途方に暮れていたんです。」


ロゼッテもオーラマディの言葉に頷いている。


話が纏まりそうになった頃にスフィアがやってくる。


「お客さん!もうお皿とか下げていい?」


「あっ、お願いね。」


こっちの二人の話は纏まりそうだから次はこっちか。


「ゲルディって奴から紹介されたんだが、今部屋は空いているか?」


理世がここに泊まれるかどうかを聞いている。

いきなり獣人が何故ここに?と聞くより、

時間を開けて打ち解けてからと思ってるのだろう。


俺達が勝手に気になっただけで余計なお世話もいい所だしな。


「ゲルディさんですか………マスター!ゲルディさんからの紹介らしいけどどうします?」


奥から筋肉ダル……げふん…店主が出てきた。


「ゲルディか……ふん、まぁヤツの紹介なら変人だとしてもバカな事はせんだろう。何かしたら俺の拳が仕事するだけだ。」


何気に俺達変人扱いですけど……さっきの神様なんとかって話を聞かれたか?

隠す意味が無いと思ったから普通に会話してたんだけどな。


……おっさんも見せ付けるように、マッスルポーズとらない!

見た目おっさんの方が変人ですから!


「それじゃ、お一人様1日大銀貨1枚で朝晩の食事付き。部屋は料金変わらず一人部屋から四人まで色々ありますよ。」


さっきの食事が鉄貨5枚で500円、泊まりは一泊二食付で大銀貨1枚、1万円か……相場は判らないが日本の感覚で言えば妥当だな。


「それじゃ、私達は10日程二人部屋でお願いします。」


最初にオーラマディが泊まると言って金貨4枚を出す。


金貨4枚?フーリス金貨なら2枚でもお釣来るだろう?


「おい!計算も出来んのか?フーリス金貨だから2枚でも多すぎる。もし銀貨もフーリスの物なら二人で大銀貨8枚でいい。」


「えっ?でもさっきこのお金じゃ2倍出さないとこの国じゃ物は買えないって露店の人が………」


すでに騙されてるよ!

しかも普通でも価値が上の硬貨を更に倍でボッタくるとは恐るべし!


「大方、余所者の世間知らずだと思われて騙されたんだろう。フーリスの硬貨はこの国の硬貨の2.5倍だと覚えて置いた方がいいぞ。」


「「ええっーーーーー!」」


二人ともハモってビックリしているよ。


「おっちゃん!これでその二人の分も合わせて10日でいいか?俺達は三人部屋で頼むよ。」


俺はここに来る前に創っていた金の珈○豆を店主に渡す。


「金粒か……これなら妥当だな。お嬢ちゃんこいつは返すぜ。」


試しに渡してみたがちゃんと適正価値で見てくれたようだ。

やっぱりこの人は正直者だな。

信用して大丈夫だと思う。


俺の意図が判ったのか理世達も納得している。


「そ、そんな悪いですよ!お金はありますからちゃんと……」


「良いって良いって、すでに騙されて露店でボラれて、さっきは絡まれてお金を払ってるんだろう?」


俺はオーラマディの言葉を遮って心を抉る言葉で黙らせる。


「ううっ……でも申し訳無いですよ……」


「気になるんなら今食べた食事代を出してよ!それ位で良いんじゃないの?」


里美姉が妥協案を出す。

納得はしてないようだがそれで押し通す。


「これも神様のご意志って事だな。」


理世が茶化したように言う。

確かに俺の意志だけどね!


「………ご厚意に甘えさせて貰います。」


やはり結構この国で騙されてお金を使っていたんだろう。

そう思えばゲルディに払った入国料の方がお得だったな。

基本的にこの国人間は人を騙すって聞いていたからな。


「二人共、入国の時に入国料でゴネただろう?あそこで言い値を払ってたらそこら辺の事を忠告してくれたハズだぞ。」


店主が何気なく俺が思っていた事を二人に話す。


やっぱりか……。


「本当にもうなんて国なの………」




まぁ俺が言うのもアレだけど、ドンマイ!


お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。

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