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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第6章 求められるモノ
43/68

40 見定めるモノ

今回から新章に突入します。


この章は少し嫌な展開になるかもしれませんがその時はご容赦を。


と言いつつ軽いノリで突っ走るかもしれませんが………


行き当たりばったりですみません。

秀一達が人間の作った国へ旅立ってから一週間程がたった。

普通の人の足で歩いて二ヶ月かかると言われる距離も飛行魔法を駆使して、すでに三分の二以上進んでいた。

余裕を持っても後三日もあれば到着する所まで来ている。


その頃の魔王城で部下から秀一達の情報を聞く魔王様がいた。


「ご報告いたします。派遣した諜報員に情報を受けに行きまして(・・・・・・・・)新たな神達の事が判りました!」


「………いつも思うがその諜報員の扱いはどうにかならんのか?」


「……色々試した結果一番効率良く……今の魔王軍では一番成果を挙げている事実が………」


「はぁ~っ、昔が懐かしいな………」


深い溜め息を吐き遠い目をする魔王様。

魔王軍の人材不足はかなり深刻らしい。


「………それで報告は?」


「『あいつらかなりのお人好しにゃ』です。」


「………………………」


頭痛を堪えるように頭を抱える魔王様。

見かねた魔王の側近が報告に来た諜報員の責任者に替わり報告し直す。


「情報によりますと、猫人族の為に村を作り上げ安全な場所を提供したとの事です。


「……今回はマトモな部類の神という事か。それで今は何を?」


「『知らんにゃ!気が付いたら居ないにゃ!』です。」


「………………………」


「恐らくあの国(・・・)へ向かったものかと。」


「……見ても居ないのに判るのか?」


「あの者の特性と、マエラを直に見た者の行動を考えた結果から導き出された推測です。」


「経験則か……しかし使えない(・・・・)諜報員が一番使える(・・・)とはな。もう工作員で良いのではないか?」


不思議(・・・)と工作員で送り込むと失敗するのです……」


「何が違うのだ?」


「ですから不思議(・・・)なのです。」


魔王は考えるだけ無駄な事は止めるに限ると思考を切り替える。


「それで考えるだけ無駄な方の国はどうにかなると思うか?」


しかし次の重要案件も、考えるのは無駄な事だった。


「状況的にどうにかして貰わないと、色々と覚悟が必要になるかと思われます。」


「何処までかは判らんが恐らくあの神々の事だ、その者らに都合のいい仕込みをして、ノセた上でほくそ笑んで居るハズだ。個人的にはさっさと滅ぼして覚悟を決めて貰った方がいいがな。」


「ノセられましたもんね~私達………。」


「………言うな。」


そんな魔王様達の会話など知らない秀一達は飛行魔法で人の国を目指し進んで行く。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


下の森を見ると所々、焼け跡が見えてくる。


「下の焼け跡は人間が戦った跡かな?」


「恐らく俺達が向かっている国の奴等が狩り(・・)をした跡だろう。」


「秀クン!念の為に降りようか……」


理世の狩り(・・)と里美姉の言葉で察する事は出来るが、余り気分の良いものではない。


「……確認っていうか、現実を直視するしかないか………」


焼け跡に降りると、人が住んでいたと思われる家々が焼け落ちて廃墟となった村があった。


「見た限りで死んでる者は居ないみたいだからやっぱり狩り(・・)だな。」


俺はマップ検索をする。

俺達が向かってる方向の逆側に無数の赤い丸が見える。

恐らく逃げ切ったこの村の住人だろう。


「俺達が来た方向に何人か居るみたいだね。敵意篭ってるけど。」


「俺達も見た目は同じ人間(・・)だからな、同じ人間(・・)に括って欲しくないが。」


「そう言えばマップにステータスだっけ?鍵以外にも私達が使えるようにならないかな?」


「里美姉達に渡した玉を使えばリンク出来ると思うからやってみるかな。」


俺は里美姉と理世の中の玉をイメージして、俺の中の水晶に繋がるように携帯の電波のようなイメージをする。

異空間の鍵でイメージしてるので出来るハズだ。


「こんなもんか?二人とも試してみてくれ。」


「「マップ!」」


「大丈夫っぽいね。」


「問題無く使えるな。」


「10人程度かな?どうする?」


「10人程度なら猫人族の村に創った家が余ってたろ?どうにかなるんじゃねえか?」


襲われて今は全てに敵意を向けているハズだ。

特に人間なんて憎悪の対象だろう。

仕方なく猫人族に擬態して近付く事にする。


しかし、これからもこんな事が続くようなら家の増設や新たな村でも創らないといけないかもしれない。


「取り合えず話も聞きたいし行ってくるわ。理世達はここで待機な!出来るだけ早目に説得はするけどな。」


「判ってるよ秀クン!お願いね。私達は異空間の部屋にでも居るわね。」


俺は赤い丸に向けて駆けて行く。

近いと言っても30分位はかかりそうだ。



近付くと緊張した気配が感じられたが、俺の姿を見て若干ではあるが、敵意と緊張や怯えと言った気配は和らぐ。


見た感じ豹か?

豹人族と思われる女……子供から年寄までみんな女だな。

男が盾になって逃がしたのか?


「向こうで村が焼け跡を見付けてな。気になって探して居たんだが何があった?」


「……ふん!人間達の奴隷狩りさ、何時もの事さ。」


「いつもあんなになるまでやるのか人間は?」


「いや、今回は特別だと……厄介な奴が来る前に集めれるだけ集めると言ってた。お前さんも気を付けな!男はみんな連れていかれるよ。」


「あたしら女は邪魔だから消えろって追い出されたのさ。」


皆が口々に話してくれる。


「厄介な奴ってのは聞いてるか?」


「なんか神がどうとか、訳の判んない事を言ってたね。」


(あの国の人間は俺の事を知っている?マニュどう言う事だ?)


『神々が神託と言う形で神様の交代と世界の救済の事を伝えていると聞いてますな。』


(神託なんてのが在るんかい!しかもそれ聞いて今回のコレ⁉)


流石、魔王様が滅ぼせと言った国だ!やることが間違ってる。


「お前達はこれからどうする気だ?何処かに行く当てはあるのか?」


「あんた猫人族だよね?どっから来たんだい?ここから大分奥の村の出じゃないよね?」


「ああ、この森の奥の湖の近くだな。」


「そうかい!あんたサイベリアって知ってるかい?」


サイベリアってニアの関係者かい!

益々放って置けないじゃんか!


「………ニアにはお兄ちゃんって呼ばれているな。」


「ニアちゃんの!済まないがあたしらを一時でいいんで置いちゃくれないかい?」


「あんたは?」


「あたしはアナトリアって言って、サイベリアと血縁があるのさ。あたしらは血の繋がりを大事にするからね、頼ろうかと話してた所さ。」


「しかし、ここから大分遠いが大丈夫なのか?」


「……無謀なのは判っちゃいるさ、今もそれで悩んで居たからね。」


確かにこの距離を女だけで、武器も持たずに移動するのは無謀以外の何物でもないな。

俺達が連れて行っても良いが問題は………。


「連れて行けない事はないが………それには俺の仲間の力が必要だ………」


「あんたのお仲間にお願いすればいいのかい?何処に居るんだ⁉」


「お前達の村に残って貰っている………お前達には言いづらいが仲間は人間だ。」


「…………………」


みんな一斉に敵意をこちらに向ける。

やはり人間と言うだけで憎悪の対象なんだろう。

仲間である俺も裏切者と思われてるかもな。


「………あんた、あたしらに近付いて何をしようって気だい?」


「別に何も。お前達を騙したり罠にかける気なら馬鹿正直に人間の仲間なんて口にしない。」


「……それもそうか……このままじゃどうせ先は無いんだ。あんたにすがらせて貰うよ。」


俺はスマホ型の鍵を取り出して理世達を呼ぶ。

理世達には直接ここに出て来て貰う事にする。

ちょっとした演出だ。


異空間の扉が現れて理世達が現れる。

みんなビックリして大きく目を開けて固まっている。

……ここら辺のリアクションは皆一緒だな。


「あんた達はいったい………?」


「あなた達の言う人間(・・)が言う所の神様の関係者だな。」


「あいつら相当、俺達の事嫌ってるみたいだし?俺達は獣人族の味方デスヨ!」


ちょっと最後をニアに真似てみた。

クスッとアナトリアさんは笑ってくれた。


「そうかい、神様って奴はあたしらには理解出来ないが、頼むよあたしらを……嫌、獣人族を助けておくれ!」


「了解した。イマイチ目的が気乗りしなかったんだが、コレならやれる!」


「そうね!秀クンには悪いけど、全然力が出せる気がしなかったんだ。」


「いや俺も同じ気持ちだし⁉勝手に向こう寄りに考えないでくれ!」


取り合えず空間転移で猫人族の村に戻る。





なんだかいつも獣人族のフォローで先に進まないな。

人間の国をどうにかして、本格的に獣人族の事を考えた方が良さそうだ。


考えないようにはしているが、やっぱり思ってしまう。

私立永清高校『いきものがかり』異世界姉妹校、獣人専門部を創って見るか⁉


森に『もふもふ王国』有ってもいいんじゃない?


お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


毎日夕方の18時頃が基本ですが、

余裕があれば追加で投稿したいと思います。

こちらは不定期です。

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