表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第1章 世界の最底辺からこんにちは
4/68

3 本当にこれが神様のお仕事?

最初の方だとは言え説明が長くてすみません。

まばゆい光に包まれて思わず目を瞑って(眩しすぎるぞ!最初から言っとけっての)心の中で悪態を付いた所で、急に体がフワリと浮き上がるような浮遊感の後、ジェットコースターの如く下に上に横に斜めに宙返り……と激しく体が揺さぶられて、最後に投げ出されるように「ペイッ」と放り出される。


「痛いっ!なんだこの扱いは!もうちょっと考えやがれ!!」


『普通はもっと穏やかなんですが、何か変な事考えてませんでした?悪口とか。』


「もう少しきちんと!丁寧に!他人に理解してもらうには、説明が絶対必要だと!神様達に理解させるにはどうすればいいのかを考えてただけだ」


『成る程、無駄な事を考えていたのですね。』


「無駄なんかい……」


『それよりあなた様の世界に着きましたよ』


「おおっ」っと思わず呟きながら周りを見渡してみると……教室では無くなっているが、何処にでも有りそうな森の中のちょうど開けた直径15m位の原っぱに居た。

空気が濃いのか鼻の奥がツンとするような感覚はあるが、あまり異世界っぽい感じはしない。

せめて街とか城とか、異世界っぽい生き物とか見れば納得出来るが、何処にでもあるような木と草では全然判らない。


「本当に異世界?」


『もちろんでございます。』


目の前に光の粒が現れ、徐々に人の形を作っていく。


「ここは間違いなくエンデフィールでございます。」


「声だけかと思ったら姿を現したのか。」


「ええ、まずはあなた様に必要な物と説明を。所謂チュートリアル?でございます。」


なにやら体験させられるらしいが、こんな森の中で何をさせようというのだろう。


「まずは定番の、どこにでもある片手剣とみすぼらしい盾、無いよりマシな革鎧です。」


「………………」


それはこの世界を管理する神に必要な道具なのか、しかも神が持つのに相応しい物なのか小一時間ほどOHANASIしたい。


「あとは奮発して、じゃじゃん!魔法のか~ば~ん~♪」


魔法の鞄はいいが出し方は定番の青い耳なしのロボットか………ベタで捻りは皆無である。


「………何か冒険者っぽい感じだが、神に必要か?」


「もちろんでございます。今のあなた様にご用意出来る最高の道具にございますよ。」


「えーっと、俺の考える所の神様は世界全体を把握して見渡せるような場所で世界を管理するイメージがあるんだが。」


「ああっ、普通はそんな感じでございますね、良く判ってらっしゃる。これはあなた様にだけ特別!あなた様にだけですよ。」


口調が詐欺くさいセールスマンのようだ。


「特別はいらんから普通にしてくれ」


「いえいえそんな、こんなチャンス二度とありませんよ。」


胡散臭いことこの上無い。


「……何か普通に出来ない理由があるのか?」


「まぁ理由という程の事は無いのですが……」


話を聞いてみると、この世界は30人程の神様で合同で創り、それぞれの神が理想とする事を実現(好き放題)させて行った為に混乱を極め、世界を管理する場所という所を作ってないらしい。


「その時代を人々は『神々の狂乱』と呼んでおります。」


その時に人々の神への信仰心は地に落ち、神々は一人また一人とこの世界から離れた(放棄した)らしい。


「最後に残った神様の時代は素晴らしく人々から『暗黒神の遊戯』と親しまれておりました。」


「いや、全然親しんでないから!迷惑しか感じない」


この時点で信仰心がマイナス上限突破で突き抜けたそうだ。


「それでこれからはあなた様の時代でございます。」


全然嬉しくも有り難くもない。

むしろ今すぐ帰りたい気分だ。

なんでそんなに無秩序にやりたい放題にしたのか、誰も注意とかしなかったのか訳が判らない。


「近年、世界の創造と管理はパターン化してマンネリと言いますか、在り来たりで面白みに欠けると言われておりまして。

そんな中『ここは一つ小さい時から英才教育すれば良くね?』という意見があり、通常成人して(神基準で2000歳)初めて世界創造を許され、歳を経たベテランと言える神様の指導の元に行われる所を幼児に(神基準で300~400歳)教える事に。」


(人間でいう所の成人の20歳でやる事を3~4歳の幼児にやらせたのか⁉バカか!)


「おいおい、何アホな事させてんねん!普通に考えても駄目だろう。」


「勿論、シュミレーションという事で擬似世界での創造体験という物でございました……が何故か本当に世界が出来ちゃった。(てへぺろ)」


(ウザ!キモっ!おっさんのてへぺろなんて見たないわ!)


「それが最初に言ってた特殊な理由か……」


「有り体に言えばそうですな、この世界は子供達の夢とロマンで形成されている世界なのです!」


(混沌意外に例えようもないなこれは。本気で投げ出してぇ)


「それで話は戻るが、さっきの道具はなんだ?」


「これまで説明させて頂いた通り、信仰心は無い所かマイナスに突き抜けておりますので大きい力は使えません。使えるのはあなた様の体だけです。さぁ世界をあなた様の力で建て直しましょう!」


「どんだけ無茶ぶりだよ!」


「見渡す限りの荒野でも足元をしっかりと見つめながら進めば何時かはきっと目的地に!債の河原の石積みも最初の一個から!」


「長いわ!果てが見えんわ!あと最後の例えは終わらないの前提だから!……それに時間が無いんだろう?」


「そうですな、一年と言った所でしょうか」


「もう帰っていいか?遺書書いて一年間好きな事するわ。」


「あいや待たれい!もうどん底で下がりようがありませんので、あとは上がるだけです。上がれば力が使える様になり少しづつ楽になって行きます!今だけです!ちょっとの辛抱です……

多分 (ボソッ)」


「最後の言葉、小さく言っても聞こえたからな!……はぁもういいわ、それでどうすればいいんだ?」


「そうですね、あなた様でも判りやすいようにかなりカスタマイズさせてもらっています。先ずはゲームのような感覚でステータスと唱えて下さい。」


「ステータス(本当にベタだな)」


目の前に半透明の枠が現れてデータが表示されている。


ーーーーーーーーーーーーー

名前 星見秀一

種族 神(人)

JOB 創造神 (なんちゃって)

LV 1

HP 50/50

MP 50/50


【スキル】

創造神の左手

神の癒し(気休め程度)


【称号】

貧乏籤を引き当てる男


【信仰心】

極悪人の持つ良心


ーーーーーーーーーーーーー


「素早さとか腕力、幸運値など細かい所は省略してあります。LVとHPが上がってくると高くなると思って下さい。あくまで目安ですので。幸運値などは信仰心が上がれば高くなるかと。」


「おいおいおい、ツッコミ所しかないが、このJOBとか称号とか信仰心って所の表示はなんだ?」


「そのままですな、創造神と言っても今は名ばかりですし、称号は今の情況を的確に表現しています。信仰心は本当にあるとでも?の意味が込められてます。」


判ってはいる、判ってはいるが、こうもあからさまに表示されると全然腑に落ちない。って言うか本来こう言った表現を決めるのは神である自分ではないかと思うのだが解せぬ。


「因みに表示内容は成り立てのあなた様に替わりまして、他の神々のOHANASI合いで決まっております。」


「ああっ、もう何も文句をいう気力もねえよ……このHPとMPっていうのはどの程度なんだ?あとはスキル」


「HPとMPは共に人族のLVの平均値ですな、普通の人並みです。」


(神様関係無くね?)


「スキル【創造神の左手】はこの世界の全ての情報が詰まった水晶が左手の中に取り込まれているのですがMPを使ってその力で色々な物を創造する事が出来ます。」


(おおっ、なんか神様っぽい!)


「しかし今現在は殆ど力がありませんので、使えるのは在る物の創造でしょうか。」


「在る物ってのは具体的にどんな物だ?」


「そうですな、左手で触れた事のある物をイメージして復元もしくは再生すると言った所ですか」


(そうするとアレか左手の中にある水晶に直接情報を取り込んで、それを思い浮かべる事で情報を引き出す事が出来ると。)


「その左手に触れた物というのは水晶を取り込んでからって事か?」


「いえ、水晶が取り込まれた時にあなた様から情報を受け入れていますのであなたの記憶にある物は大丈夫かと。しかしながら、あくまでMPの許す範囲です。」


(後で試してみないと判らないな)


「【神の癒し】は怪我や病気などを治す事の出来るスキルで、こちらも今現在は気休め程度で無いよりマシと思って頂ければ。」


(これも微妙だ、どの程度か把握してないと怖いぞ)


「よろしいですか?次にこれからの事ですが、この世界には『魔素』と呼ばれる、あらゆる力に還元出来るエネルギーに満ち溢れています。本来あなた様の持つ水晶に蓄えられ、程良く世界に満たされている物なのですが、現在は水晶の中の魔素がほぼ出尽くしている状態です。」


「その魔素ってのが無いと何も出来ないって事か?」


「そうです、そしてこの魔素は多過ぎると様々な弊害を引き起こします。例えば魔物が大発生するとか、草木が枯れて不毛の大地になるとかですな。」


「それでその魔素っていうのを回収しなきゃならんと。」


「はい、ただ魔素はそのまま回収というのは今現在不可能ですので、生き物の中に取り込まれた物。生き物の中には魔物には『魔石』。種族達、人とか獣人とか呼ばれる者達には『魔水晶』と言う、大雑把に言えばあなた様の水晶のような物が体の中にあり、その中に魔素や色々な情報等が入っていますので、それを回収して水晶に取り込んで行ってもらいます。」


「魔物って言うのは判るが、人とかからも回収するのか?」


「あなた様の良心が痛まなければよろしいかと。」


「出来る訳が無いだろ、それと魔物意外の生き物は?」


「厳密に言うと全ての生き物は魔石を持っているので魔物と言えます。しかしながら大雑把に人に危害を加える等で魔物と動物を別けて考えているようです。その境目は曖昧で理解しにくいのであまり気にしない方がよろしいかと。」


「判った、それであの武器とかが出てくるんだな。」


「その通りでございます。」


「信仰心と魔素の関係は?話を聞くと魔素があれば、ぶっちゃけ信仰心要らなくね?」


「信仰心は力の源、使える力と言いますか、魔素をエネルギーとしてそれを扱う事の出来る力、制御するための物と思って頂ければ。」


(簡単な事にはあまり必要ないが、複雑な事や強大な事をするには必要って事か)


「じゃあ、とりあえずは魔素を回収しながら、どうにかして信仰心を高めればいいんだな?」


「はい、それと魔法の鞄は数が少ないですが、この世界にある物です。違う所は水晶と繋がっていますので中に容れれるのは無制限、時間経過もありません。これはこの鞄のみの能力になります。」


(これは異世界物によくある設定と同じだな、だとすると…)


「食べ物とか生き物は?」


「食べ物や飲み物は大丈夫、生き物は入れる事は基本的に出来ません」


(これもよく聞く設定通り、生き物は基本的にって事は何か裏技を使えば可能って事か。使うようなら考えてみよう。)


「以上になりますがよろしかったでしょうか?」


(まぁとりあえずはやってみないと判らないな)


「判った、後は何か不都合があればその時にって事でいいか?」


「出来る範囲であればですが、それでは頑張って下さい。」


そう言ってマニュは光の粒になって姿を消していった。

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


次から戦いが始まりますが、チュートリアルという事で説明が色々入ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ