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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第5章 世界のイロイロ
37/68

34 神の居ぬ間に

新章に入ります。


本日2話目になります。


木々の殆ど無い岩山の切り立った断崖の所に、立派な石造りの白い城が、岩山の麓に広がる森を見下ろすように建っている。


森からは時折、魔物の咆哮と、魔物同士が争うような音が聞こえて来る。


麓の森から城までは随分と離れているにも関わらず、聞こえて来る音は自分達の強さを誇示するように城へと届く。



「魔王様、例の者(脳筋バカ)が戻って参りました。」


「そうか、こっちの森で手が一杯だと言うのに、よりによって『神選の森』に手を出すとは……で、被害は?」


「こちらから連れ出したゴブリンの数を増やしてから事を起こそうとしていたようで、被害の確認は余り取れませんでした。」


「こちらとは無関係だとは思いますが、魔物に襲われて滅んだらしき、猫人族の村が1箇所確認されたのみで、あとゴブリンの巣は3箇所壊滅していました。」


「ゴブリンの巣は残り1つありましたが我々で処分しております。」


「では、あちらにはもう我らの関わるモノは居らぬな?例の者(脳筋バカ)は?」


「何やら大怪我をしておりましたが、捕らえて尋問した後に輪廻の輪に還しました。」


「しかし、ゴブリンの巣が3箇所にバカが大怪我か……あの国が動いたか?……あり得んな、あの国が自分達の利益にならん事をする訳が無いし、獣人達の住む森に手を出すとは思えんな。」


「バカの話だと『神の使徒』にやられたそうです。」


「今頃『神の使徒』か……神々は何を考えているのか。それにあのバカの事も判らんな。」


「自分が何をしてるかも理解出来無い上にこちらに戻ればどうなるかも判らないバカですから理解出来る方が凄いですよ。」


「それもそうか、バカの事はもう良い。問題は『神の使徒』だな。とりあえず監視を付けて様子を見てくれ、場合によってはあの国に誘導する。」


「大丈夫ですかね?」


「こちらがこれだけ苦労してるんだ!少しは向こうも同じ苦しみを味わって貰わんとな。」


「了解しました。直ぐに手配をいたします。」



もう余裕の無いこの世界に神の使徒か、現れたのが『神選の森』と言うのも神々の意図が判らん。

それに……ほんの一瞬だったが懐かしい力の波動を感じた。

それも『神選の森』の方向からだったな。


考えても始まらんな、今はこの地の事で手一杯だ。

報告を待つとしよう。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


森を抜けた平地に人間の治める国がある。

高さ10mはあろうかと言う石造りの防壁が数百キロに及び、何人も寄せ付けないようにグルっと国を囲んでいる。


実際は人と言うより魔物から守る為に作られた防壁で、厚みも5mを越えている。


防壁の内に街と農地が広がり人々は生活している。

街の中央に一際大きい建物、防壁より更に頑丈な造りの城壁に囲まれた城があった。


その城の中の謁見の間に白い神官服を着た40台後半と言った感じの男が国王に謁見していた。


「国王陛下に申し上げます。ただ今、ご神託により『神の使徒』がこの地に降りられたとの事です。」


「ふん、神ごときの使徒など知らんわ。放っておけ。」


肥え太った体に、金銀、宝石等を惜し気も無く身に付けて玉座にもたれ掛かるように座るブタ……げふんげふん、国王が神官の言葉にすげなく答える。


「しかしながら………」


「くどい!この者を摘まみ出せ!」


衛兵に掴まれて退出をする神官を見ながら別の者が国王に話し掛ける。


「陛下、本当によろしかったので?無視すると何かと煩わしい事になるかと。」


国王の間違いを正すように、そう問いかける男も、言葉とは裏腹に薄く黒い笑みを浮かべていた。


「宰相よ、そなたなら判っておろう。神は皆この地を離れた。ただ儂らはこの地に好きに生きてくのみよ。今更、神のなんだのと煩わしいだけじゃ。放置するに限るわ。」


「そうですな、神無き今こそが我らの春!栄華を極める時でございますな。」


「そういう事じゃ、この国に現れても儂らは何も知らぬし、何もしない。何も見なければ良い事じゃ。」


「ではそのように。」


話は、これで終わり、何も知らない事は話になりようもなく、人々に知られる事はなかった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


そんなやり取りが行われているとは考えても居ない、秀一達は異空間の部屋でゆっくりと羽根を伸ばし、戻って来たのはやり取りがあった翌日であった。


村の方は変わった事も無く、何処かノンビリとした平和な空気が流れていた。


秀一達は居ない間の様子を聞く為にロールドに会いに行く。


「ただいま、ロールド!何か変わった事はなかったか?」


「ミーシャが大泣きした以外は別に平和だったぜ!」


ロールドはまだ根に持っているようだ。


「それはもう謝っただろうが。ミーシャちゃんにお土産も買ってきたんだぞ。」


「あううぅ、ご免なさいデス……」


ニアはロールドの言葉に『しゅん』となっている。


「ニアちゃん冗談だ、ミーシャが待っているから行ってやってくれ!」


「あい!」


ニアは話を聞いて元気にミーシャの元に向かう。

ミーシャへのお土産はニアに渡してある。


ニアとお揃いの洋服だ。

動きやすいように、Tシャツにデニム生地のオーバーオールを用意した。

ミーシャの相手はニアに任せてロールドと話を続ける。


「それで、アステールヴレホ様の用件ってのは何だったんだ?」


アステールヴレホ?……あっ、神様の名前だ!付けてたの忘れてたぜ!気を付けないとな。


「その件なんだが、あと数日したら俺と同じように選ばれた奴らがここに来る事になっている。」


「お前と一緒って事はそいつらも使徒か?」


「いや、使徒ではないが、神に選ばれて特別な力を持っている。そいつらと今後一緒に行動する事になるからよろしく頼む。……ちなみに人間だ。」


「人間かよ……まぁ神様が選んだって言うんだからしょうがねぇか、村長に話を通しておくわ。村長から他の村にも伝えて貰わなくちゃな。」


「ああ頼む!それともう一つ、結構ゴタゴタで世界がヤバいらしい。この森もそうだったように各地で異変が起こってるそうだ。」


「魔物が暴れたりとか生態が変異したりか?」


「そういう事だ。俺も世界各地に行かなきゃならんから、ニアを頼まないといけないかもしれん。」


「それはいいけどよ、また大泣きするんじゃないか?」


「俺と一緒に神様に色々と力を貰ってるから、基本放置でいい。

何かあったらニアが勝手にするだろうしな。俺も世界各地に行くって言っても、直ぐにここに戻って来れる力を貰ってるから、出来る限りは毎日戻って来るぞ」


異空間の部屋を通らなくても転移出来るようになったからな。

それにこの際、神様に色々貰ったって事にして暴露(ゲロ)った方が後が楽だしな。


「へぇー凄いんだな。」


「逆に言うとそれ位の力を貰わなければヤバい状況なんだけどな。」


「判ったよ。これからもお前には頑張って貰わなくちゃないけないからな。俺らに出来る事は何でも言ってくれ。」


「おう、頼むわ」





これでいいかな?

あとは理世達が来るのを待って、今後の方針の打ち合わせかな?

一度、人間の国辺りか魔王様ってのに会いに行くか?


お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


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