29 ニアちゃんぱにっくっ
ちょっと指摘を頂きまして、
タイトルを『神様に選ばれました。』から
『異世界の神様に選ばれました。』に変更しました。
あらすじもちょっと文面を追加で変更しました。
「はぁあああっ~~⁉」
自分の家の玄関を開けると、遠距離恋愛中の彼女が「私来ちゃった!てへっ。」冗談混じりの『てへぺろ』をするようなノリで、ニアが家の中から言っている。
遠距離どころか世界が違ってますから!
「あら?秀クンの彼女?」
呆然としていると、すかさず里美姉のボケが炸裂する。
ニアは照れたよう『いやんいやん』とクネクネしてる。
里美姉ボケない!ニアもボケ返さない!
「秀一!さっきから彼女が待っているわよ。」
止めに母親のボケが追加で投下される。
「……………………」
もう何も言えんわ!
「ノーリアクションは辛いわね。」
「秀クン!ノリが悪いよ!」
「秀一お兄ちゃん、残念デス!」
三人が揃って俺にダメ出しする。
何気にキミ達、仲がいいね。
「秀一を弄るのはこれ位にして、こんな小さい女の子を一人にするなんて可愛そうじゃないの秀一!」
そんな事を言ってくるマイマザー。
星見一美。40歳。
身長148cmで俺より背が低く、俺と同じ黒髪に黒目。
髪型はストレートのロング。
俺という高校生になる子供が居るのに10代に見える程の童顔だ。
俺の身長と童顔は絶対母親の血だと思う。
性格は明るくボケ属性。
一応、専業主婦と自分では言っている。
俺のツッコミ体質は母親のボケにツッコミ過ぎたせいだ。
「おっ、ニアちゃんの未来の旦那様のお帰りかな?秀一遅かったな!」
「親父も遅かったな!話題に乗り遅れてるぞ!」
「ノー!息子のツッコミが痛い!」
「パパだめね~。」
「おじさん。アウト!」
「パパさんだめだめデス!」
女性陣からもダメ出しを食らう。
そんなダメダメな男は父親で。
星見秀喜。42歳
身長187cmでその身長を俺に寄越せと言いたくなる。
黒髪でオールバック風に後ろに流している。
目は日本人に珍しくちょっと金色の目をしている。
何代前かの先祖が外人だったらしい。
顔は純和風って感じなんだけどな。
こいつも母親と一緒でボケ属性。
仕事は自称IT関連の社長だと言っているが、俺はオタク系の仕事だと思っている。
社長の割りに良く家に居るし、オタクな話題でボケるしな。
親父も俺のツッコミに磨きをかけた人間の一人だ……迷惑な!
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とりあえず、玄関先で立ち話もアレなので、リビングの方に移動する。
すっかりニアは馴染んでるようだ。
「と言うか二人共ニアに驚かないんだな。」
「えっ?今時の娘は猫ミミとしっぽは普通じゃないのか⁉」
「可愛いければ世界はいつも平和だわ。」
二人共、全然気にしていないようだ。
ここまでのボケボケ体質だったのか?
「何か失礼な事を考えてるわね。別にあなたが事案に登る事が無ければ、問題無いわ。」
「異世界人ならこの家で暮らしても警察は来ないよな⁉」
俺が問題を起こさなければいいらしい……解せぬ。
「それに俺達二人、神様に会ったからな!」
「白い部屋なんて、お約束通りでワクワクしちゃったわ。」
二人共あの空間に呼び出されたらしい。
凄く軽いが……。
「それで何を言われたんだ?」
「「秀一の嫁がそっち行くからシクヨローッ!」」
「をいっ!」
いきなりなんちゅう事を!しかも業界用語⁉
思わず声が裏返ったし。
「それは冗談として、ニアちゃんの身の上や秀一との関係とか色々ね……だからいいんじゃない?」
「昔、秀一も弟か妹が欲しいと言ってただろ?丁度良いじゃないか。」
「母さん………あと親父!そんなベタなボケ面白くないから!」
「息子のツッコミが心を抉る!」
両親とも納得しているらしい。
ニアも二人になついているのか母親に『すりすり』と顔を擦り付けている。
「ニア!新しいママさんとパパさんが出来まシタ!もうミーシャちゃんが羨ましく無いデスヨ!」
バンザイして全身で喜びを表している。
皆が納得していて問題が無いなら俺の心配事も無くなって丁度いい。
「しかし良く状況を飲み込めて納得出来たな。」
「今時それ位柔軟に対応出来なかったら仕事なんて出来んよ。」
「私なんて、ほらほら見てー!サイン貰っちゃった!」
母上様よ凄いな!でもその色紙名前が読めないから!
「サインと言っても全然見えないんだが。」
「えーっとね、確か『真名』?で書いてあるから読めないらしいわ。」
それサインの意味無いから!
神様もポンポン『真名』なんか暴露しない!
「それ意味無くね?」
「そお?……これは秀一にあげるわ。」
「そんな物いら………」
「秀一!……………ね?」
「………………貰っておく。」
真剣な顔で俺の言葉を遮る母親の勢いに押されてサイン色紙を受け取る。
「それじゃ母さんは夕食の準備をするからニアちゃん達を連れて部屋でまってなさい。里美ちゃんも食べてってね。」
「御馳走になります、一美さん。」
「あい!楽しみデス!」
二人を連れて部屋に行く。
両親とも話をしやすいように気を利かしたみたいだ。
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「良かったわね。ニアちゃんの事が一番の心配事だったんでしょ?」
「まぁそれはそうだが、何故両親を巻き込んでって思うな。」
「恐らく悩んでる秀一を見て、自分達の計画に支障が出ると思っただけだと思うな。自分達の事が無ければ無視するハズよ。」
「なんとなく納得出来るな。」
「あとこの訳の判らない色紙………一応魔法の鞄に入れておくか。」
魔法の鞄を手に取って色紙を入れようとすると。
「待って!その鞄を見せて!」
里美姉が鞄を奪い取って、何やら調べてる。
鞄に笑顔のマークの黄色い缶バッジを付けて俺に返す。
………凄く懐かしいねそのバッチ。
「これで大丈夫だよ。やっぱりコレも監視されてるみたい。」
「鞄の中身を見られるのも嫌だな。まぁ四六時中監視されてるなら意味無いかもしれないけど。」
「あら、ここみたいな結界の中で入れた物は見れないわよ。」
「その手があったか!」
「それと異空間の部屋も結界を張りなさいね。」
「判ってるって。」
一通り里美姉と話し合ってからニアの方に話題を移す。
ニアは俺達が話してる間、静かに俺達をみていた。
「ニアちゃん初めまして、里美お姉ちゃんです。」
「ニアは俺の妹になるから間違っちゃいないな。」
「ふぁー!ママさんとパパさんにお姉ちゃんまでニアに居るんデスカ!凄いデス!」
「秀一お兄ちゃん!ニアにお兄ちゃんとお姉ちゃん、ママさんとパパさんまでデスヨ!凄く凄く幸せデスヨ!」
ニアは俺に抱きついて『ぐしぐし』と泣いている。
俺は優しく抱きしめ、里美姉はニアの頭をなでで泣き止むのを待った。
泣き止んだあと、俺はニアにこっちに来た状況を聞いた。
「えっとね、ニアがお風呂に入ろうと思ってお部屋に入ったデス。それからお部屋を出ようとしたらここに出たデスヨ。知らないお家ウロウロしてたらママさんとパパさんに会いマシタ。」
「異空間の部屋に入った時のドサクサで召喚したって事か?」
「恐らくそうでしょうね。じゃないとこっちには来れないわ。」
そこはマニュの言った通りなんだな。
それじゃもう向こうと繋がってるって事か。
俺とニアの行き来は楽になるな……………。
「……………あー?ちょっとニアさん?向こう……ロールド達には何か言ってるかな?」
「あぃ?ニアはここに来てから帰ってないデスヨ?」
俺は慌てて、異空間部屋を通じて向こうに戻り、ロールド達に土下座して謝った。
(クソ神達の笑い声が聞こえそうだ!)
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