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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第4章 日本もとってもファンタジー⁉
31/68

28 マジですか?

本日2話目の投稿になります。

秀一が目を開くと、見慣れた教室の相変わらずの授業風景が目に映った。


パッと教室の時計を見ると午前10時をちょっと過ぎた所、俺が向こうに転移した直後になっていた。


ちゃんと戻って来れたんだな!と感動に浸ること3分。

見事にその3分で感動は打ち砕かれる事になる。


(やっべぇ、全然授業が判らん!2ヶ月丸っと何もしてなかったから完璧に忘れてる。)


忘れがちだが一応、秀一の通う高校は一流と言われる大学の合格率上位の進学校だ。

それこそ、授業内容、授業方法は某有名予備校よりも濃いし、変わっていたりする。

だからこそ、予習をしっかりとして授業に臨まないと、あっさり置いていかれたりするのだ。


秀一も2ヶ月前はきっちり予習をして、余裕で授業をこなしていたのだが、この2ヶ月間完璧に全く全然何もしていないので………


「ああっ、そう言えば昔、そんな事言ってたような気がする!」状態になっている。


(これは不味い!教科書とか用意して、向こうから戻る前にきっちり勉強しとかないとヤバい。こちらの世界の感覚で、一瞬でバカになるなんて嫌すぎる。)


向こうでどれだけ過ごしてもこちらに戻って来たら、行く前と瞬きする位しか、時間は経過しない。

瞬きする間に勉強した内容を忘れるなんて洒落にもならない。


(あと妙に体がダルい………)


大型連休期間中、全力で遊びまくって迎える翌日の朝の気だるさと同じかもしれない。

「ああっ、これから授業なんてダルい行きたくない!」状態である。

急に環境が変わったせいかもしれない。


そんな感じで、向こうにニアを置いて来なければいけなかった、後味の悪かった気持ちも吹っ飛んでしまう衝撃を受けた秀一だった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


(ああっー!やっと体が慣れて来たって感じだ、向こうとこっちでこうも違和感を感じるなんて思わなかった。)


そう思い始めたのは放課後のいきものがかりの活動中だった。

どちらかと言うと慣れたと言うより、動物達の相手が向こうで過ごした環境とあまり違和感がないせいかもしれない。

……獣人族は動物では無いが。


「おう、ハリー(秀一)!何か妙に疲れてるみたいだがどうした?」


いつもの調子で理世が声をかけて来る。


「だからハリー言うなって……ああっ、面倒クサっもうどうでもいいか。」


もうハリーと言われるのを訂正させるのは難しいと悟ったようだ。


「本当にお疲れのようだな秀一。」


「ちょっとな、珍しく里美姉と一緒じゃないんだな理世。」


ちょっと(・・・・)ね。里美はすぐに来るって言ってたけどな。しかしアレだな朝からちょっと(・・・・)見ない間に随分とかわったように見えるが秀一?」


「ん?何を言ってるんだ理世。俺は何も変わってないが。」


まさか異世界で神様になりました。って言える訳がない。


「そうか?俺にはちょっと(・・・・)違って見えるがな。」


「何処がどう違ってるなんて言うんだよ?」


「なんて言うか、オーラ?みたいなのが違って見える。」


そう言えば朝から理世はオーラとか何とか言ってたっけ?いつもの冗談だと思っていたんだが違うのか?


……気のせいか?理世の体から……魔素?魔力?を感じるんだが。

もしかしてこれが理世の言うオーラってやつか?

今更ながら理世って何者なんだ?


「………そのオーラって言うのが俺も、理世の身体に見えるって言ったら?」


「おう!おれは勇者だからな!もちろん持ってるぞ!」


「秀一はアレだな。持ち始めたばかりで……今は少し増えてる。朝からちょっと(・・・・)異世界にでも行ってたような感じだな。」


昔から言ってた事って本気(マジ)だったのか?

いつも残念イケメンって思ってたのに。


「………何か知っているのか?」


「別に何も。でも今の秀一には判るんじゃないか?」


今の俺なら普通の奴と違ってる奴の見分けが付くって言うのか?


「………理解出来たんならちょっと(・・・・)の所を教えてくれるか?秀一?」


「………お前の事も教えてくれるならな。理世?」


「勿論だとも。」


「あれ?もう話は済んじゃった感じ?」


俺達の会話に里美姉が割り込んで来る。

………なんか里美姉も違って(・・・)見えるんだが………。


「もう判ってると思うが里美もだぞ。」


「よろしくーっ!秀クン!」


あっけらかんと暴露する二人。

なんか俺の方が凄くバカらしく見える。


「……なんかもうどうでもいいって感じだな。みんなで暴露(ゲロ)った方が良さそうだ。」


「そうだよ秀クン!吐いて楽になっちゃいなよ。カツ丼喰うかぁ?」


「秀一を見た感じ急いだ方が良さそうだな。」


「もう、いきものがかりの皆には話を通したから抜けれるよ、理世。」


「遅れるってそう言う事か⁉相変わらず手回しがいいな。」


「そりゃ、秀クンのお姉ちゃんだからね!秀クンの変化なんて一発だよ!」


「はいはい。今回は俺の所でいいか?」


「問題なーし!」


何か俺を無視して話が進んでいる。


「あっ、ちょっと待って!はいOK!」


里美姉が俺の右手(・・)を握る。


「おい!俺を置き去りにして勝手に話を………」


「今は誰も見てないな……よし!『転移(ワープ)』」


有無を言わさず理世に体を掴まれて転移する。


(マジで空間転移かよ⁉ここ日本だよな?)


転移した先は、森の中で、小さなログハウスが目の前にあった。

理世がここの説明をする。


「ここは俺の隠れ家でな。人が入って来れないような秘境って言われる森の奥に、結界と隠蔽の術をかけてある。勿論こちらの神(・・・・・)にも判らんようにな。」


「……やっぱりそうなんだ?」


「付き合うっていうか、関わるようになって判るが、普通に言われてるような存在ではないな。すまんが秀一、前に結界があるから触れてくれるか?」


言われるままに左手で触れる。


「秀一の力は左手なんだな。里美?」


「大丈夫だよ、もう黙らせて偽装してある。」


「それじゃ入ってくれ!監視者は里美が黙らせたようだしな。」


監視者ってマニュの事だよな、間違いなく。


結界を抜けログハウスの中に入る。

中もむき出しの木を組んで積み上げた壁にレンガ造りの暖炉。

いかにもログハウスって感じだったが広さが違うし、部屋もいくつかある。一番の違いは山奥なのに電気が通ってる事だ。


「まぁ空間拡張とかしてあるしな、お前もそれなりなの持ってるだろ?」


「四畳半の昭和の部屋って感じだけどな。」


「ぶふっ。な、何それ秀クン…ぷぷぷっ」


「里美姉、笑うなよ!」


「……それでは秀一!お前の状況を初めに教えてくれ。」


俺は今まで起こった事、聞いたことを包み隠さず理世達に話した。

話終わったときには理世達は床に揃って倒れていた…………。


「…………………そこまでか?」


「ううっ、お、お腹痛い………こ、これは想像以上だよ秀クン……」


「クククッ、ざ、斬新過ぎる……何を考えてるんだ?今回は………」


「いい加減笑うのは止めろ!俺だって理解不能なんだから。」


俺の話は理世達の腹筋に深刻なダメージを与えたようだ。


「俺はこんな所だ、理世達は?」


「俺は前から言ってる通り、前世で異世界の勇者をやっていてこの世界に転生しただけだ。」


「ちょっと説明が足りないわね。秀クン、彼はね日本と違う異世界から転生して、理世の言う異世界で勇者になったの。そしてまた今度は日本に転生したんだよ。」


「……元々の世界の神が日本を参考に世界を創っていて、転生ついでに日本を見て来いって言いやがったんだ。」


苦虫を噛み潰したような感じで、そう言葉を吐き出した。


「私はね、日本から転移して異世界で魔法使いになったんだよ。勿論、理世とは違う世界ね。そしてその世界での役目を終えた時に日本に帰るか聞かれたの。私はその世界で天寿を全う出来るように願ったんだ。ただその時に『今度、産まれる時も日本がいいな』って言ったら日本に転生しちゃったの。」


「言葉って難しいよね。受け取り方が人それぞれで違うんだもん。転生するとは思わなかったよ。」


「里美も言葉が足りないな、里美は異世界で大賢者って呼ばれてたんだろ。」


「………その呼び方、年寄り臭くってキライ!」


「はぁ~、勇者に大賢者ね……どこから突っ込んでいいか判らんわ。」


「イヤイヤ、神様になったお前に俺達はツッコミたい!」


デスヨネー


「今は俺達の事はそんなに考えなくていいだろ?監視者の言葉を信じるなら残り2年なんだろ?」


「監視者ってやっぱりマニュの事だよな?」


「そうだね。マニュだっけ?間違いなく秀クンを監視して都合の良いように誘導してるハズだよ。」


「……論より証拠か、秀一ここで異空間の部屋へ繋げて見てくれ。」


理世に言われるまま、おれはディメイションルームを唱える。

すぐに目の前に真っ黒な空間が現れた。


「………出来るな。」


ちょっとお宅訪問とばかりに、異空間部屋に入って行く理世達。

部屋の中を見てまた大笑いして、お風呂場を見て羨ましがった。


「………はははっ、あーあっ、かなり遊ばれてるな秀一。」


「さすが秀クンって感じだよ!」


「五月蝿いわ!」


「まぁこんな感じで出来る事も出来ないと誘導されてる訳だ。」


「どうしてそんな事を?」


「あいつらは基本、自分達が楽しむだけなら何でもするぞ……こっちの意思や都合は考えずにな。」


「そうそう、何で?は考えるだけ無駄だよ秀クン。私、朝にも言ったよね?『悩むより楽しんだほうが勝ち』って。」


「とりあえず、基本は向こうの思惑を考えつつ好きにやればいい。」


「ただこちらの手の内を全て見せる必要は無いし危険だからね、こういう結界を張った場所を作るんだよ。」


「黙認してるって事は、それ込みで楽しんでるって事だろ。」


「全部判ったら詰まらないって思ってるのかも?」


成る程納得だ、クソ神達に良いように遊ばれてる感じはしてたから、二人の言う事は最もだ。


「それに今回の秀一の事だが、恐らく俺達が近くに居るから目を付けらたんじゃねぇかな。」


「そうね。恐らく私達込みで考えてるんじゃないかな?」


「何でそんな事が言えるんだ?」


「そう思わないと私達が接触するのを嫌がるハズだよ。」


「どうにかして隠蔽しようとするだろうな。」


そうか、俺だけだったら二人を俺から離してるよな。

巻き込む前提なら知られても問題無いわけだ。


「………そういう訳で、秀一!今日はもう家に帰った方がいいな。」


「そうね。秀クンの家から、なーんか感じるね。」


「はっ?俺の家から⁉」


「俺達が密談してるから何かちょっかいをかけてるんだろ?」


「家の人達には問題無いと思うから大丈夫だよ。」


「何で判るんだ?」


「今、秀クン怒らせたらツマらないでしょ?」


「そう言う事だ。もうここの結界の情報は仕入れただろ?帰って家なり部屋なり結界を張れ。状況から言って家毎がいいかな。」


「それと、はい!秀クン、封印ブレスレット。ずっと着けるのは向こうを怒らせるけど、結界の中なら問題無いよ。結界を張っても監視者に筒抜けだったら意味無いでしょ?」


「じゃあ、今日はこれ位で帰るか。『転移(ワープ)』」



俺達は学校に戻ってから理世と別れた。

里美姉は近所なので一緒に帰宅する。


『話し合いは終わりましたかな?』


(さてなんの事かな?それより俺の家で何かしているようだが?)


『さてなんの事でしょう?』


相変わらず惚けた奴だ。



マニュの事はこの際、置いておく事にする。

家に着いてから、俺は家をスッポリと囲むように結界を創る。

里美姉は補佐役で、俺が結界を創るのを見ながら助言してくれた。


無事に結界が出来、封印のブレスレットを右手に嵌めてから、里美姉と一緒に家に入る。


家の玄関を俺が開けた時。


「秀一お兄ちゃん!ニア来ちゃったデス!」




家にニアが居た。

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


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