表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第4章 日本もとってもファンタジー⁉
30/68

27 さてどうしよう?

新章に入ります。


今回は説明回になります。

森の中にある獣人族や鳥人族の村に『護りの像』を置いて、新興宗教よろしく、信仰心を搾し……げふんげふん……捧げて貰う環境を整えて、その力の一部を運用し魔素の正常化と村の安全確保を始めて約一ヶ月。

なんだかんだで2ヶ月こちらで過ごした事になる。


結界と言ったら、ちょっと大袈裟過ぎるが『護りの像』の動作範囲内は過剰な魔素の量が減り、変な魔物の発生や強い魔物の侵入が減って人々が安心して過ごせるようになった。


変異していた魔物も元の姿に戻っている。

踊るキノコは毒胞子が無くなり、猪は大人しくなって、誰彼構わず突進するような事はなくなった。

お陰で最初の頃は俺達が狩って数を減らしていたが、今では村人達だけで狩れるようになり、食料不足も解消されている。


森を比較的安全に移動出来るのは結界内だけなので、まだ他の村や街等に行くには危険を伴う。

しかし、今までより楽になったと言ってくれている。


この辺りは生活必需品である、塩や小麦と言った物が採れないため、他の村や街への移動は欠かせず、力の有る虎人族や鳥人族の部族が、主にその役を買って出て居るので、そちらの部族から感謝される事が多かった。


もう少し力が増えればそっちまで結界を延ばしたい。


そう言った諸々の成果を元に、今回の結界はかなり有効である事が証明された。

この世界の再建の為に使える手段のヒントになるだろう。


相乗効果で増えた信仰心は俺の力にもなり、ついに元の世界!そう日本に時空間移転するための力が貯えられたのだ。


『おめでとうございます。非常に残念なお知らせです。』


(どっちだよ⁉)


『信仰心の上昇により時空間転移に必要な力が貯えられました。』


(おおっ!やったぜ久し振りの日本だ!)


『神様達の期待を裏切るような展開でガッカリです。神々の溜め息が聞こえてきそうです。』


(五月蝿いわ!どっちに期待してんねん!)


『あえて申しますと、期待を裏切らない笑いの神業?』


(どんな業だよ……)


『期待に胸を膨らませて帰る途中に時空の狭間に落ちて迷子なんかがオススメですね。』


(戻って来れんわ!)


もうコイツ嫌だ、チェンジで!



『あと世界の崩壊までの猶予が1年延びました。こちらで活動された期間も相殺されて丁度残り2年程となります。』


おっ、それは凄くないか?

野良犬から始まって………なにやってんだろうねぇ~俺!


『思えばその頃はいい意味で神様達は拍手喝采でしたな。お笑い的に!』


(五月蝿いわ!しかし凄いぜ俺!この調子で行けばすぐに10年、20年はすぐだな!)


『獲らぬタヌキのマルチ商法ですな。』


(詐欺るの前提⁉)


『しかしながら本当に凄いですな。例えるなら地球の神様の今までの稼ぎがたったの50億円越えしかないのに比べあなた様は1円!』


(普通にディスるの止めて!)


『ディスるなんてとんでもない!1円の凄さを知りませんね?1円は作るコストが3倍なんですよ⁉赤○彗星の手作業ですよ⁉1円を7枚も作れば1万円も作れちゃうんですよ!10数年前なら1万円なんて1円玉1枚で作れる高価値なんですよ?比べるモノが違います!』


(冷静に考えても比べるの間違ってるよね⁉)


いくら1円つくるのに3円かかろうとも1万円が20円で出来ようと使える金額の差は大きい。

かかったコストで言われても全然嬉しくない。


というかやっぱりディスってるよね!



さて本当にマニュの事など放置して真面目に考えないとな。


一時的とは言え帰るとなればニアの事を考えないといけないな。

元々俺一人が前提で異世界転移時の時間設定がしてあるから、俺が向こうに居る間、こちらの時間はそのまま進んでしまう。

大雑把に日数で聞いていたが、細かい所も考えないとな。


俺は学校の教室で転移したからその時は10時位だったか?

日本に戻る時に時間調整されるから2ヶ月前の午前10時頃に戻る訳だ。


こちらから転移する時間帯を合わせれば問題ないが、夕方18時とかにすると転移した時点で8時間の時差が出来る事になる。


それと向こうに行ってる間、ニアを一人にするのが一番の心配事でもある。

流石にレクと一緒と言ってもな……。


(なぁ異空間の部屋を向こうでも使えないか?)


『異空間にありますので理論上は向こうでも使えますが、こちらからすれば日本は異世界ですのであなた様の力は制限されます。ですので不可能かと。』


(やっぱり無理か。)


『仮に使えたとしてもニア様が使用していれば世界の境界を越えられません。』


(使えればニアが向こうに行けなくても大丈夫だと思ったんだけどな)


『では考えられる限りの方法とデメリットをお教えします。』


マニュが提示する方法とデメリットは。



●ニアをこちらの世界に留めて異空間の部屋を使えるようにする。

これは向こうの神様にお願いして異空間の部屋を使えるようにする事。

使用して居る時はニアが使用して無い事。


メリットはニアをずっと一人にしなくて済む事だな。


デメリットはこちらに居る間、時差が広がって行く事。

仮に夕方に向こうから戻って、朝までこちらで過ごしても向こうは時間が経ってないから起こる問題だ。

向こうに一週間いるとしてこちらが二週間とか三週間も過ぎる可能性も否定出来ない。

時間的に余裕の無いこの世界でのデメリットは大きい。


このデメリットに対する解決法もあることはある。

それは時間調整を止める事、そうすれば同じ時間が流れるからこの問題は解決する。


でもこちらの世界に居る間、

俺は向こうで行方不明か失踪扱いになるけどな!

無理無理!



●ニアに世界の境界を越えて貰う。

向こうの神様にお願いしてニアを異世界召喚してもらえれば世界の境界を渡れる。

仕組みはイマイチ判らないが一度世界の間に路を開けばあとは殆ど力は必要無いらしい。

世界間における、世界の秩序の為の異端分子判定で壁が存在し、お互いの世界を守ってるとかなんとか。


異世界召喚で一度、その世界に存在を認識させれば、あとは存在する二つの世界を往き来出来るらしい。


あくまで、それも向こうの神様が許可を出せばという注釈が付く。

向こうが拒否すれば路は開かれ無いので再度莫大な力を使って再召喚しないといけなくなる。


メリットはニアも向こうに連れて行けて、路を開くので何時でも日本に帰って来れる。

異空間部屋を経由して異世界間転移が出来るようになるって事だな。


デメリットは全て向こうの神様頼りでどうなるか判らないのと、転移時の時間調整がどうなるのか?だな。



●そもそも日本に戻らない。

ニアの心配も必要無いし、力も使わずに済む。


これは却下だな。論外だ!


結局の所はどうにかしようと思えば全て向こうの神様次第ってことだな。


『そうですね。世界に迎い入れる場合はその世界の神様が認めないといけないルールなので。』


俺が戻ってる間は現実的に言って、ロールド達に少しの間預かって貰って、時々俺が様子を見に短時間戻って来るって所か。

これも異空間の部屋を使える前提だけどな。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

それから、ロールドに神の神託という事にして、少しこの地から離れなければならない間、ニアを預かってくれと頼んだ。


ニアは大泣きして嫌がった。

ミーシャも貰い泣きして、俺がロールドに睨まれた。


ずっと宥め透かし、お菓子を大量に創ってご機嫌をとったりと大変だった。


結局、何も言わなくなったが、俺が出発する時はロールドの家に籠って出て来なかった。


すまんニア!これからの為に日本、いや世界の知識を手に入れてこの世界に役立てないといけないんだ!

出来るだけ早く戻って来るからな!

と心の中で謝った。



ロールドとミーシャが村の出入り口の所まで見送りに来てくれている。

ミーシャは相変わらず、ロールドの足にしがみ付いて『ぐすぐす』と泣いている。

ミシュレさんはニアの為に家に残ってくれている。


「そんなに長い間じゃないんだろうけど気を付けろよ!ニアちゃんの事は任しておけ!」


「すまん頼んだ。もし時間が許せるようなら様子を見に帰って来るからな!」


「あんまり無理すんなよ!」


「うっ、うっ、えぐ、しゅういちお、おにぃちゃ!えっぐ、い、いっちゃ、やだぁ………」


「ごめんな!ミーシャちゃん。これからのみんなの為にも行かなきゃならないんだ」


「うえええぇぇーーーんっ」


だから、ミーシャちゃんも、ニアも泣かないでくれ!

こっちが泣きたくなってくる。


「それじゃ行くから………」


俺は足早く森の中に入った。


そして、日本……異世界地球への転移の呪文を心の中で唱える。


(此の地、我、治る地エンデフィールより彼の地、治むる神へ願わん、彼の地、地球への道求めん!)




こうして俺は日本に戻った。

(どうしてこうなった?)

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ