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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第3章 あなたは神を信じますか?
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22 あなた様の仕事は勇者じゃありません

章の終わりに近づいて来たのでちょっといつもと様子が………

ゴブリンの巣を壊滅させようと巣の様子を伺っていた秀一達だったが、中にオークが混じっていたため、もう少し様子を見る事にした。


オークの見た目は豚が粗末な防具を着て二足歩行している……ってあれっ?なんかロールド達狼人族を初めて見た時と同じ印象だぞ?

オークも魔物じゃないとか?


『魔物です。』


そうだよなアイツらってば『ブヒブヒッブヒヒ』とか言って知性とか感じられないもんな。


「お前達は栄えある魔王軍の先鋒として…………」


メッチャ喋ってるやん⁉知性あるやん!


(魔王軍とか言ってるがこの世界の魔王も世界征服的な野望持っているとか?)


『いえいえ、実直で真面目な方ですよ。』


(魔王が実直で真面目って………)


『ああっ、そう言えば最近神様達の後始末のせいで、かなり振り回されていたハズです。キレて暴れてもおかしく無いですな。』


(おいいいぃ~!)


『とにかく神様達の評価としては「このような有望な人材が居れば、この世界の未来は明るいな!」ですな。』


評価高ぇなオイ!この世界の未来を担う人材って感じじゃん!そんな奴をキレさせるなよ。


しかしその有能な魔王がこんな森の中にゴブリンの巣を作ってどうするのだろうか?

今のマニュの口振りから考えると神様達と接点があるって事だから、この世界の状況も判ってるハズ。

崩壊を防ぐ為の行動とはとても思えんな。

頭が悪すぎる。


『今のあなた様の行動をご自分で否定なさる⁉』


……そう言えばこの世界をどうにかする為にゴブリンの巣を潰そうとしてたんだっけ?


(……そうだな、一見判りづらいかもしれんが、何か壮大な計画に繋がる第一歩なのかもしれないな!)


『魔王様の性格と行動力を考えますとありえませんな。こんな頭の悪い発想をされるのはあなた様だけです。』


(どっちやねん!しかも言い出したのはお前だ!)


やはりマニュと話をしても先に進まず混乱するだけだと諦める。


マニュを信じて魔王が一応こちら側だと考えると話を聞いた方がいいかもな。

連携した方がいい場合もあるしな、魔王軍って言うのなら何らかの軍事行動だろうし。

とりあえずアイツと話してみるか。


俺はニアにオークと話して見る事を伝える。

4歳児だがニアはレベル上げのお陰でINT(賢さ)70で最初にこの世界へ来た時の俺とそんなに変わりはない。


「周りにゴブリンが居るけど大丈夫デスカ?」


「もし話が出来ずに襲われたとしても二人……レクも入れて3人か。余裕だろ?」


「あい!」


二人と言った所でレクが抗議するように激しく左右に揺れたので訂正した。

今は納得したように『ぽよんぽよん』と跳ねている。

レクもスライムなのにINT(賢さ)80で初期の俺と一緒だったりする。

喋れ無いのが残念すぎる。


最初の予定を取り止めてオーク率いる?ゴブリン達に近づいて行った。


「誰だ!……何だぁ⁉猫人の餓鬼共か、こんな所に自ら殺されに来たのか?」


「魔王軍だと言ってるが、この行動の理由は?神様の使徒として問う。」


「神様の使徒だぁ~?お前は馬鹿か!神様なんて居るわけ無いだろう!魔王や取り巻きの馬鹿共みたいな事を言いやがって!」


なんか魔王や取り巻き……(側近だろうな)を普通にディスってるけど、こいつの行動に魔王は関係無い⁉

…………なんか猛烈に残念臭が漂ってきたぞ。


「この行動に魔王の意志は無いと?」


「当たり前だ!あんな腑抜け共に、魔王軍一勇猛な俺様の崇高な行為など考え付けると思うな!」


ああっ、この残念臭は強烈すぎる………。

もうさっさとコイツら片付けて異空間部屋で『まったり』したい。

でも一応確認は……要らないだろうけど念の為に……。


「因みに何を?」


「はっはっはぁ!コイツらゴブリンを使って、この森に住む奴等を制圧し、森を支配したのちに世界を蹂躙して俺様は王となるのだ!」


「…………神の鉄槌(ケラヴノス)!」


『ピシャッーーーーーンッ、ゴロゴロゴロ、ドガッァ!』と前回より更に威力のある雷魔法が炸裂する。

雷撃はゴブリン達を蹂躙して瞬く間に消し炭に変えて行く。


オークは無事のようだ。

上手く避けたと言うか運よく当たらなかったんだろう。

あちこち火傷しているみたいだけどな。


あっ、思わず全力で雷魔法使っちまった。

おや?思ったよりMP消費が少ないぞ?適当に思い付きで魔法名を言ったのが良かったのかな?覚えておこう。


ちなみにこの『ケラヴノス』はギリシャ語で落雷を意味する言葉だ。


しかし余りにも残念すぎる、こんな小物に振り回されるなんてあんまりだ。



元々レベルアップの為のゴブリンの巣の殲滅であり、そこにオークは関係無い。

むしろ今のレベルがあるのも、このオークのお陰と言えない事もない。

しかし残念臭漂う小物の言動に一連の行動原理をスパッと忘れたようだ。


「きっ、貴様!一体なんなのだ⁉この力は一体なんなのだ!」


「神様の使徒だと言ったハズだが?」


「馬鹿な神が俺様の崇高なる行いを讃える事はあれど、邪魔するハズが無いではないか!俺様こそが神に選ばれた至高の存在だぞ!」


神の鉄槌(ケラヴノス)!」


「うぉおおおおっ~~」


ゴロゴロ転がって上手く避けている。


「チッ、弱めに撃ったから避けやがった。」


「貴様っ!覚えておけよ!」


慌てて起き上がり、いかにも小物の捨て台詞って感じの台詞を吐いて逃げて行く。


神の鉄槌(ケラヴノス)!」


「ぎゃっあ!」


最後は当たったようだ、小物の癖に耐久力は有りそうだから死んではいないだろう。

残念な奴でも魔王軍であれば、殺すのは面倒事にしかならず最終的に自重した。


「全くなんなんだ⁉」


そう思いつつ、深いため息を吐きながら後ろを振り返ると『ぷぅっ!』とホッペタを膨らまして判りやすい程に、ご機嫌ナナメなニアが立っていた。


本当の面倒事はこっちか!


「ニア達みんなで倒すと言ってたデスヨ!」


「悪い……ついな。」


「知らないデス!」


ニアの機嫌を直すため秀一も村長譲りのフライング土下座をして謝った。

ちなみに足は物凄く痛かった。


結局ニアに押し切られるように次のゴブリンの巣へ向かう事になった。

もちろんレクが前を行きニアと手を繋いでの移動は変わらない。



ゴブリンの巣は、前に調べた時にマップで見える範囲で4つ。

その内2つは潰して、1つは今から向かっている。

ここは今の俺達の位置からだと夕方位には着くだろう。

最後の1つは更にここから一週間って所にあるので狼人族の村の脅威になるのはこれで最後になる訳だ。


まぁ、さっきの残念小物……名前は聞いて無いな!必要性は感じないが、あいつを見る限り森の異変とは無関係みたいだしな。

ゴブリンに関しては物凄く迷惑だが。


森の異変は魔素が関係してるんだろうな………どうしよう。


しかしニアはどうしたんだろう?

一緒にゴブリンの巣を壊滅させる所を俺一人でやった事に怒っても、次のゴブリンの巣まで慌てて壊滅させるには無理があるよな。

1日2日でどうなる物でもないしな。


「ニア、さっきは本当に悪かった!でも一体どうしたんだ?急に次のゴブリンの巣を壊滅させるとか言い出したのは?」


「……………………………」


「おーい、ニア?」


「………ミーシャちゃん。」


ボソッとミーシャちゃんの名前を言う。


「ミーシャちゃんにはニアのように悲しい思いをして欲しく無いデスヨ。ニアの村は無くなってみんなとお別れして悲しかったデスヨ。」


ニアは涙声になりながらポツポツと語ってくれる。

俺の手を『ぎゅっ』と握り締めながら話続ける。

顔は伏せていて見えないがきっと泣いてるのだろう。


「ニアは秀一お兄ちゃんに会えて幸せデスヨ。でもパパとママが居ないのは悲しいデスヨ。」


「………そうか。」


「ミーシャちゃんは秀一お兄ちゃんに会えてもっと幸せデスヨ。家族みんなと優しい村の人達と一緒だからもっともっと幸せデスヨ。」


もうちょっと早ければ、もうちょっと早くニアに会えてればなんて事を考えても無駄だな。

俺がグダグダして渋って居なくても日数的には終った後だった。

この事実は変えようが無いし終った話をしてもどうしようもない。


でももし……………これは今考える事じゃないな。


「だからミーシャちゃんが悲しく無いようにニアは頑張るのデスヨ!秀一お兄ちゃんと一緒!強くなってみんな幸せにするデスヨ!」


「そうか!」


俺はニア前に回り込んで、屈みながらニアを引寄せて、そっと抱き締めてやり、左手(・・)で頭を優しく撫でてやる。

ニアは『ぎゅっ』と俺にしがみついて顔を『ぐりぐり』擦り付けてくる。


ニアが泣き止むまで暫くそのままで居てやった。




………何か判りやすい敵が居て、ソイツを倒せば皆がハッピーエンドになるって言うんなら簡単なんだけどな。

悩まずに済むし。


『そう言った仕事(脳筋)は勇者のやる事であなた様がやる事ではありませんな。』


(じゃあ聞くが、今俺がやってるコレは何だ?)


『……………………』


(ふん、クソ神様達と一緒でお前も喰えないな………まぁそう言う事にしといてやるよ)


『………あなた様程では無いかと。』


(俺か?俺はノリとツッコミで神様やってる。ただのいきものがかりさ。)


『私もそう言う事にしといてあげますよ。』



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


泣き止んで、いつも以上に明るくなったニアは、夕方位にゴブリンの巣に着いた途端に、俺の制止を振り切ってレクと一緒にゴブリンの巣に突っ込んだ。



なんかもうさアレだよ『ニア無双』って感じじゃん。

レクも『レク⁉パネェ!』って言葉しか出てこない。

これって俺、要らなくね?


ニアは近づいて来るゴブリンを、ただ刀の素振りしているような軽いかんじで、バッサバッサと切り裂いて寄せ付けない。


レクはレクで俺の雷魔法で覚えたのか、目の前に直径10cm位の水球を造り出して、ゴブリン目掛けて飛ばしている。


水球は麻痺毒なのか、当たったゴブリンはバタバタと倒れている。

レクは倒した踊るキノコを結構吸収していたから、毒が即効性に変わってるみたいだ。


俺は『うわぁああ~』って感じで見てるだけだったよ。


ニアが『ムフッー』って鼻息荒く俺の方に振り返ったら全部終わっちゃってたよ。


あと、倒したゴブリンはレクが美味しく?頂きました。




……………さ、さて無事?終った事だし予定通り異空間部屋で、まったりゆっくりしよう!


お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


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