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異世界の神様に選ばれました。  作者: 松本 彰
第3章 あなたは神を信じますか?
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19 あれ?ちょっとアレですよ

今の状況じゃ村に受け入れられるハズもなく、家の準備も終った現在では何もする事がなくなった。

仕方がないのでロールドの言葉を採用して狩りに出掛ける事にした。


村人達との接点作りと懐柔作戦である。

決して、口利きや斡旋の御礼に足が付かないように手渡しで!という訳では無い。『いつもお世話になっているお代官様に黄金色の菓子を』じゃないよ?


この村に来るまでに狩った魔物を出しても良かったが、出した後の補充も必要だし前か後かの違いだ。

村の外に出る魔物を見たいという事もあるし、ゴブリンの巣の事もある。



そう言った事もあり、村の出入り口に向かう。

レクはニアに抱えられて運ばれて居る。


門番をしているロールドに一声かけておくか。


「それではちょっと狩りに行こうかと思います。狩った魔物は村長さんの所で?」


「おう、さっきの今で早いな………恩に着る。村長の所で問題ない………」


ロールドは何か言いたそうにニアを見る。

正確にはニアに抱えられたレクをだ。


「………あまり言いたく無いが、それは何だ?」


チッ『人形』で誤魔化そうと思ってたのにダメか、流石は現地人。


「ニアのペットです!ロールドさんならコレが無害だって事は知ってますよね?」


ペットで押し通そう!


「確かにスライムなんざ、脅威処か触ったら死ぬかもしれん位弱いが、一応村に入れるんなら一声かけてだな……」


触ったら死ぬってどれだけ?

まぁレクはドラゴンブレスでも大丈夫だけどな。


「配慮が足りなくて申し訳ないです、村の中で徘徊させるような事はありませんので。」


「村の中を動き回ってて殺されても責任は持てんからそうしてくれ。それでだ、どれ位まで狩りはやるつもりだ?」


「食事の事もありますし、夕方には戻って来ます。とりあえず今日はあちらの方に。」


ゴブリンの巣の方向を指差す。


「あっちか……夕方までなら問題ないだろう。向こうの方はここから2日程の所でゴブリンが巣を作ってやがるからな。」


「そんな遠くまで行く気はありませんよ」


ここから2日か、俺達なら1日あれば余裕だな。途中で写真撮って何時でも行けるようにしとこう。


「巣まで行かずともゴブリン共はちらほら出るから気を付けろ。まぁ言うだけ無駄だな。」



ロールドと別れ森の中に入る。

出入り口から見えない位置で空間転移用の写真を写す。


ニアに抱えられたレクは地面に降りてニアの前を行き、俺はいつも通りニアと手を繋いで歩く。


「ゴブリンの巣を『ぷちっ』ってするデスカ?」


「今日は時間的に無理だが行ける所までは行っておこうと思う。」


「あい!」


ゴブリンの巣を潰す事を示唆して俺達は森の中を進む。

ロールドの言っていた通り、出てくる魔物はキノコ、キノコ、キノコ、犬と、たまに猪って感じで殆ど歩くスピードを変える事無く狩って行く。


途中で居なくなったって言っていた鬼ウサギが出たけどな。


鬼ウサギは体長40cm位で頭に2本の角が生えていて………毛は頭の方は赤黒く体は虎縞だった。


「…………それで鬼な」


「あい?」


脱力する俺と不思議そうに眺めるニア。

そんな俺達に鬼ウサギが先に攻撃してきた。


2本の角から雷みたいな雷光が発生し俺達に向かって伸びて来る。

驚いた俺は慌てて盾を構えてやり過ごす。

チタンは電気伝導率が低いから問題ないっていうか全然感じない。

これは電気自体が弱い?


俺は鬼ウサギの電撃魔法は脅威では無いと考えた。

この世界に来て初めてみる魔法攻撃に、情報を取り込めれば魔法が使えるようになるかもしれないと試す事にした。


盾からわざと左手を出して鬼ウサギに攻撃させる。


「やっぱりピリッと来るが大した事は無いな。ゴブリン達が狩れる位だから威嚇程度なんだろう。急に襲われたら驚くだろうしな。」


目的は果たせたので、逃がさないように石を投げて倒す。

安定の石の創造はキノコで慣れていて、殆どMP消費は無くなっていた。


念のため左手で鬼ウサギの体を触り水晶に送る。


ステータスを確認するとスキルに雷魔法が追加されていた。


「とっても簡単!とってもお得!って感じだな。」


早速試す事にした。

結局イメージだろ?手から電撃が出る……さっきの鬼ウサギのような電撃……。

鬼ウサギの2本の角から出るイメージをしたためか、両手から雷光が輝き始めた。


「これは左手じゃなくても大丈夫なのか?」


試しに右手だけで出るイメージをする。

左手の雷光が消え失せ、右手だけ残っている。


「出来るみたいだな。こうやって力を溜めるようにして……」


右手を前に伸ばすと雷光が前に迸った。

『ピシャッーーーーーンッ、ゴロゴロゴロ、ドガッァ!』

物凄い電撃が目の前の木々を薙ぎ倒す。電撃の触れた所は真っ黒に炭化しているようだ。

目算で1OOm位先まで電撃が届いている。


「…………威力強すぎじゃね?」


あまりの威力に硬直している。

ニアも大きく目を開いてビックリ顔で固まっていた。


「………えっとMP消費量は……ゲッ、半分も使ってるじゃねぇか!これは威力もキッチリとイメージしないと使えんぞ。」


要、練習だなと考えているとニアが復活したようだ。


「……す、凄いデス!さっきのウサギさんと全然違いマスヨ!『ごろごろごろ~』って格好いいデス!」


何か玉転がしみたいな表現だが、ニア大興奮である。


「ニアも出来るようになるデスカ⁉」


「良くは判らんが頑張ればイケるんじゃないかな?」


ニアは『う~ん!う~ん!』と手を前に出して唸っていた。


「すぐには無理だろ?俺が理解してキッチリ使えるようになったら教えてやるよ。」


「本当デスカ?絶対デスヨ!約束デス!」


大興奮のニアを落ち着かせてから先を進む。

鬼ウサギ以外は変わった事も無く、同じような魔物を狩って日が暮れて来たので、空間転移用の写真を写してから村の近くに転移する。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「おおっ、帰って来たか。お前らが向かった方向から、物凄い音がしたんで心配したぞ!」


あの電撃魔法の音がここまで聞こえていたらしい。

ここはもう誤魔化すしかないよね?


「そうですね、凄い音だったんで慌てて引き返して来ましたよ。それでは狩った魔物を村長の家に持って行きますね。」


「助かるぜ!話がすぐに通るように俺も付いて行ってやるよ。」


確かに手が省けるのでお願いする。

しかし本当に門番はいいのか?



先にロールドが村長の家に入ってから家の前まで連れてくる。


「また村の為に魔物を狩ってくれたそうじゃの。早速見せてくれんか。」


俺は言われた通り、鞄から次々に魔物を取り出す。

どんどんと積み上がる魔物達を見て村長達は固まっていた。


途中から村人も集まって来たしな。


「こんな物ですか。踊るキノコが83匹に大牙猪が12匹。森犬34匹ですね。あっ、キノコの毒胞子は取ってますので。」


鬼ウサギも出そうかと考えたが、レクに吸収させれば水魔法に次いで、雷魔法が使えるようになるかもしれないので止めておいた。


「…………凄まじいのぅ。これだけあれば半年は暮らせるわぃ。」


「俺らが狩っても絶対無理だな、この数は………」


あれぇ?またやっちゃったか?

この村は目算で100人位だったから良いかと思ったんだけどな。

よし!ここも誤魔化すしかないよね!


「これもきっと神様のお導きでしょう。」


「………………………」


みんなが無言になった。解せぬ。


「……まぁよい、今日はもう遅いでな、全員で片付けてから明日二人の歓迎の宴をするとしよう。」


歓迎しないと言ってたが気が変わったようだ。

一応目的達成かな?


みんな宴と聞いて嬉しそうだ。


ワイワイと喋りながら村長の家の裏にある倉庫に手分けして魔物を運び込んだ。

この倉庫に村の食料を全て集めて管理しているようだ。

みんなで分け合わないと生活が成り立たないのだろう。


村人達もぎこちないが俺達に笑って感謝の言葉をくれる。

食料不足に悩まされていただけにみんなの顔は明るい。

これで明日の宴でもっと打ち溶けたらいいかなと思っている。


魔物を片付け終わった頃には日がとっぷりと沈んでいたので、各家々に戻って行った。


俺達も与えられた家に向かう。

村を見ると月明かりはあるが暗くて歩き辛い、どうにか窓からこぼれる家の灯りで道を確認出来る位だ。


「これなら家の灯りを消せば中は全く見えないな。」


心置きなく異空間部屋を使えそうでひと安心だ。



俺達は家に入って直ぐに、用意してあった粗末な毛布を、適当な荷物の上に被せて寝たように偽装してから異空間部屋に入った。


ニアの大好きな魔法少女アニメを見ながら、今日の雷魔法の事で盛り上がり、ワイワイと楽しく晩ご飯を食べた。

もちろんこの時レクに鬼ウサギを取り込ませるのも忘れない。


残念ながらスキル欄に雷魔法は追加されてなかった。



食事も終わり、ニアも寝かしつけたので俺もお風呂に入ってから寝るか!と風呂場へ移動しようとした時に、何気なく見たステータスに固まった。




【信仰心】

更正中の極悪人の良心

お読み頂き有難うございます。

良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。


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