12 レベルアップ頑張ります 2
お待たせしました。
本編になります。
本日はエープリルフールネタのSSを朝に投稿しています。
こちらは本日2話目になります。
まだ薄暗い夜明け前(異空間なので外は見える訳がない)、いつもの習性で目覚める。
なんか慣らされてるな………認めたくないが。
起きた物はしょうがない、スパッと起きよう!
今日も頑張ってレベルアップをしたい所だが、昨日盾が壊れたので変わりを創らなければならない。
そもそも、「どこにでもある片手剣」とか「みすぼらしい盾」。
「無いよりマシな革鎧」なんてネタ以外の何物でもないだろう。
『いつツッコミが入るかと待っていたのですが……スルーされて悲しいです。』
(うるさいわ!)
『さすが、笑いにかけた情熱は死をも怖れない!と感動しました!』
(命をかけてまで笑いをとる、趣味も熱意もないわ!)
なんでこんなヤツがナビなんだ?もうちょっとマシなのは居ないのか………俺を巻き込んだクソ神達の事を考えると居ないんだろうな。
『なにか失礼な波動を感じます。』
(お前の存在こそが、俺には失礼だよ!)
『冗談はこれくらいにして、さすがにあのジョークグッズではこれから先は厳しいでしょう。』
(ジョークグッズなんかぃ!……ブラックだな!)
『まぁミスリル等のレア金属は無理ですが、普通の鉄や銅と言った金属で創る事は可能でした。』
(最初からやっとけよ……過去形なのは何でだ?)
『ここ数日で少ないながらも力が増えていますし。あなた様も結構、創るコツを掴まれているみたいですので、あなた様が考えて創られた方がよろしいかと。』
(なるほど、自分で思うように創ってみろって事か。)
それじゃあ、早速創って見ようかと思った所でニアが起きる。
寝ぼけ眼を擦りながら、大っきな欠伸をしている。
「……んっ、しゅういちおにいちゃん、おはようデス。」
「おはよう、ニア。」
『きゅるるるるる~』と今日も元気にお腹も挨拶をしているみたいだ。
「今日も元気みたいだな。」
ニアのお腹を見ながら言うと、恥ずかしそうに「おなかがすきマシタ。」と照れながら囁いた。
創るのは朝食からか………
何を創ろうかと考えるが、今日は防具や武器を創ろうかと思っているので、MPを節約するために創るのは白ご飯と味噌汁だけにした。
味噌汁は、豆腐とワカメだ。
それで主菜は前に釣った銀葉魚を使って作る事にする。
作るといっても普通に塩焼きにするだけだが。
部屋に最初から備え付けられていたコンロの魚焼きグリルで焼けば完成だ。
もしかしたら魚が使えるかもしれんな。
あとでまた釣りに行こう。
魚を焼きながら何か思い付いたのか魚釣りを今日の予定に入れる。
狩りに行く時間は取れないかもしれないな。
でも、これもレベルアップの為に必要な事だ。
一日、二日遅れても別に変わらないだろう。
白ご飯と味噌汁を創り出してちゃぶ台の上に出して、焼いた魚を一緒に並べる。
一緒に「いただきます」をして仲良く食べる。
食べ終えた所で早速、防具とかを創り始める事にする。
。
今日は秀一が一緒に居るのが嬉しいのか『にこにこ』して、レクを抱きしめてちょこんと座って居る。
「これから武器とか危ない物を創るからな、見ててもいいけど大人しく座っていろよ。」
「あい!」
大人しく座っているが、しっぽは激しく振られていた。
まずは何から作るか……ここは最初に剣から創ろう。
形はどうするか?今まで使ってた剣と同じ形にしてもいいが、「どこにでもある片手剣」とかふざけた名前で渡されたせいで弱いイメージしか出来ない。
新しく強そうなイメージ……頭の中で強い剣を思い浮かべると、思い付いたのは、端午の節句の時に飾られていた刀だ。
模造刀でしっかりした重みがあり、子供の頃カッコ良くて憧れた物だ。
しかし、振り回すにはちょっと重いよな。
軽くて良く切れる物……再び考えて始めて思い付いたのは、チタン包丁。
軽くてスパスパ良く切れる。骨付き肉なんかも切れてキズ付かず、お手入れ不要で大変便利が売りの包丁だ。
初めて使った時の、あの切れ味と軽さにはびっくりした。
チタンっていうのもいかにも固そうなイメージで都合がいい。
最初に思い付いた刀の形で、チタン包丁のイメージを思い浮かべる。
固く固く、刃こぼれせずキズも付かない。
軽く軽く、持っても全然疲れない。
光の粒が集まり出して、目の前にイメージした通りの日本刀が現れた。
長さは90cm程、直刃ではなく少し反りが入ってる。
柄の部分は金糸柄巻きで巻いてあり、菱形の柄紋が綺麗だ。
鞘は艶消しされた黒の漆塗りで一番先に金の鐺がアクセントになっていて中々かっこいい。
鍔には桐紋が施されている……やはり日本人か。
鯉口を切って刀を抜くと、金色のはばきに銀灰色の刀身が見えた。
刃文はなく真っ直ぐでチタン包丁をそのまま細長くして反りを入れた感じだ。
とても軽くてずっと持っていても疲れなくて済みそうだ。
出来上がりに満足していると、黙って見ていたニアが
「とってもきれい!しゅういちおにいちゃん、すごいデス!」
とパチパチと手を叩いて褒めてくれるので嬉しくて思わず、
ニア用にも同じ刀を創ってしまった……。
同じと言ってもニア用なので、脇差位の長さで40cm位だ。
「ほらニア、俺とお揃いだ!良く切れるから気をつけるんだぞ。」
「あい!おにいちゃんといっしょ!うれしいデス!」
きゃっきゃと喜び、万歳の格好で刀を高く掲げていた。
刀は完成したので次は盾だ。
先程創った刀のお陰で、よりはっきりとチタンをイメージ出来るようになったので、そのまま盾をイメージする事にする。
形は楕円の五角形。
上が低い直角の三角形……斜線は緩いカーブになってる。
下に向かうと少し細くなり、門は丸く。
一番下は角ばって地面に突き刺せるように。
チタンで軽くて固く……あまり大きく無く、普段は腕の所に装着出来る。
具体的にイメージして創り出す。
銀灰色のボディーに回りを銅で補強したような感じだ。
こちらはシンプルな創りなのでニアの反応もよろしくない。
まぁ……実用第一という事で。
最後は鎧だな。
どういった物がいいのか判らないので形は、今まで来ていた革鎧を参考にする。
素材のイメージは理世が「これは役に立つ!」と言って某ジャングル通販で購入していた防刃パーカーだ。
ケプラー繊維を使用していて、防刃、耐火、耐熱に優れているそうだ。
胸当てや肩、腕、脛の所にはさっきのチタンで補強する形にする。
動きを優先でケプラー繊維のシャツにチタンの板で各部補強って感じかな。
創って見たものの、思い入れが無かったせいか、イメージが悪かったのか………モトクロスのプロテクターのような感じだ。
世紀末の拳法使いに出てくるザコキャラみたいだ。
………耐久性とか防刃性とかのイメージは完璧だから気にしたら負けだな!
ニアは………TVで魔法少女のアニメに夢中だ。
こんなもんかな?結構力を使ったけど大丈夫かな?
ステータスで確認する。
MPが90/260になってる。
これは今日、これから『癒しの魔法』の練習は無理かな。
ゲームみたいにMP回復ポーションとか在ればいいのに。
さすがに創れないよな?知らないし。
……………本当にそうか?
MPっていう概念は知ってる、ステータスがあるからな。
有るモノの情報が在れば創れるんだよな。
だったら有るモノにMPを回復させるイメージを合わせれば………イケるんじゃね?
水晶に集中して、MPの回復させるイメージを思い浮かべる。
回復させるのにイメージしやすい飲み物………アレかな。
光の粒が集まり茶色いビンが現れる。
試しにフタをきゅポッと開けて一気に飲む。
『元気ハツラツゥ~!』って感じだ。
炭酸なのも、味の方もイメージした健康飲料と全く変わりはない。
ステータスを再度確認する。
MPが140/260に変わってる。
………………マジかよ⁉出来てるよ……50回復してる。
この能力パネェな!
成功したのでMPを回復させながら、予備で沢山作る。
能力が上がれば回復量の多いヤツも創れるかもしれないな。
ついでに、HPを回復させるヤツもついでに創る。
HP回復ポーションは、『ふぁいとぉ~一発!』って感じのヤツだ。
回復量は同じ50だ。
ある程度創る物にメドがつき、そろそろ休憩しようかと思ったら、
ニア時計が『きゅるるるるる~』と正午のお知らせをしたので、お昼ご飯を食べる事にする。
ニアのお腹は時計よりも正確だな。
お昼はホットケーキだ。
卵を卵黄と卵白に分けて、卵白を泡立ててメレンゲにする。
卵黄に牛乳を入れてホットケーキミックスを入れてかき混ぜる。
薄力粉とベーキングパウダーを使って作るのは、作り方が悪いのか材料の配分がいけないのか、ちょっと苦味がするので苦手だ。
ホットケーキミックスの方が簡単で美味しいしな。
ホットケーキミックスが溶けた所で最初のメレンゲを投入して軽く混ぜる。
フライパンにサラダ油を薄く引いてバターを落とす。
バターだけだと焦げるんだ。
溶かしたメレンゲ入りホットケーキミックスを焼き上げる。
表面に気泡が出来たらひっくり返してフタを閉める。
数分後にフタを開ければしっとりふわふわのホットケーキの完成だ。
あとは枚数を焼いて、ハチミツ、生クリーム、チョコレート。
バナナや苺、キゥイとかもいいな。果物類をスライスしてお好みにデコレートだ。
飲み物は紅茶だな。
ニアはマウンテンなホットケーキを見て大興奮だ!しっぽが凄いぜ!
食べ終えたらニアはお昼寝タイムだ。
レクを抱っこしてお布団で『ねむねむ』してる。
俺はニアを寝かし付けて、創ったばかりの武器や防具を装備してから、川をイメージして部屋を出る。
イメージが強すぎたのかニアが住んでいた木の洞の所に出た。
先日釣りをした所は村に近いので、上流の方に歩いて行く。
30分程行くと河原に大岩があって、そこから支流になっているのか細い小川が森の方に流れていた。
「ここが判りやすくて目印にいいな。」
鞄から携帯を取り出して写真を撮る。
「とりあえず、一匹だな。」
釣竿を取り出して釣りを始める。
やはり、あまり魚を取らないのか、もしくは魚が多いのかすぐに釣り上げる事が出来る。
川の浅い所に石で囲いを作り、釣った魚を入れる。
刀を鞘から抜いて、魚を殺さない程度に浅いキズをつける。
「よし!ヒール!」
キズが治るイメージをしながら、魚に向けてヒールを唱える。
そう、自分自身を傷付けてヒールの練習はしたくなかったので、手っ取り早く簡単に沢山釣れる魚を実験台にすることを思い付いていた。
これで数をこなして経験値を上げる。
魚はいくらでもいるし、MP回復ポーションも創ってあるから心置きなく練習出来る。
数えるのも嫌になる程、繰り返したお陰でヒールを唱えると最初は5分程かかっていた物が瞬時に治るようになった。
時間が短縮した分、MPの消費量も大分減るようになって効率が良くなった。
ステータスで減り方を見ると、最初はMP10位減っていたのがMP2位まで減る量が軽減していた。
称号も『神の癒し(研修医)』になっていた。
……相変わらず意味の判りにくい表示である。
そう思っているとお馴染みのアラート音が頭の中で聞え、マップとステータスが自動表示される。
また猪か?と思いつつステータスチェック。
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名前 ゴブリン 年齢 3
種族 ゴブリン
性別 雄
JOB 忌み嫌われるモノ
LV 6
HP 60/100
MP 30/30
STR 10 DEF 10 AGI 50
EVA 10 INT 10 DEX 3
MAT ーー MDF ーー LUK 10
【スキル】
爆発的繁殖
【称号】
何処にでも居るモノ
【備考】
場所、環境を選ばず何処にでも居る。
身長1m、体重30kg
繁殖力が物凄く、爆発的に増える。
棍棒や石など手を使うが道具は何でも使うが威力は低い。
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なんか『黒光りするニヒルなアイツ!その名も「G」!!』って感じの説明だな。『振り返えればヤツが居る!』ってキャッチコピーの。
防具と武器の性能チェックとゴブリン狩りの前哨戦としては丁度いいか。
表示されているのは3匹。
レベルはゴブリンが上だが攻撃力とかはそれ程でもない。
装備もちゃんとしたヤツを創ったし、ポーション類もバッチリ。
怪我をしても癒せるし問題ないだろう。
半径50m以内に居る為にマップが反応したが、ゴブリン達は気が付いていないみたいだ。
俺はゴブリンに向かって駆け出して行った。
ゴブリン達も気が付いたのか『ギョギョッギョ』と変な声を上げて威嚇しながら、持っている木の棒を無意味に振り回す。
俺は腕の所に着けた盾で木の棒を受け止め、刀を横に薙ぐ。
刀はなんの抵抗も無くゴブリンを切り裂く。
「なんだこれは⁉全然、切った感触がないぞ!」
あまりの切れ味にやり過ぎたかな?と思うが、すでに創ってしまってるので今更だ。
盾もゴブリンの力程度では全然問題なく、木の棒を受け止めている。
動きも思ったより遅いのでこの程度の数なら問題ない。
「本家のGの方が手強いぞ!」
すでに秀一の中でゴブリンは『黒光りするニヒルなアイツ!』の仲間に分類されているようだ。
名前が同じ『イ○シャルG』なので問題ないだろう。
残り2匹もあっさりと倒せた。
これなら全然問題なく無くね?
でも数が数だから、準備をキッチリするんだな。
本番前に戦えてよかったとするか。
ゴブリンを相手にした事で自信がついた。
これで次の段階に進めるな!
そう思いながらニアの待つ部屋に戻っていった。
お読み頂き有難うございます。
良かったらブックマークを付けて頂けると嬉しいデス。
表現方法が難しいですね。
私の思考回路はショート寸前!デス。
ゴブリン回が終わったら、
幕間でニアのお留守番ネタやりたいな~。
癒しの回が欲しい。





