企業国家
2275年、世界全土を駆けめぐった衝撃波による世界崩壊「ラグナロク」。
ラグナロクの後、100億いた総人口は1億まで低下、更には地下ドームでの生活や社会情勢の不安定さ故に巻き起こった暴動により、最終的に20年後太陽が出た頃地上に出ることが出来た人類は7800万のみであった。
しかし、いざ地上に出ても、国は既に無く、各地には荒野や砂漠が広がっていた。
その中で力を発揮したのが「企業」であった。
企業は様々な場所で保存されていたM.W.S.を「作業用」に変更、Wを「Weapon」から「Working」に変えたM.W.S.を使い、復興事業を積極的に行った。
結果、僅か30年の間に人口を1億にまで戻すと同時に、文化・文明レベルを20世紀後半まで引き戻すことにも成功する。
この驚異的な追い上げに残っていた主権国家は脅威を感じたが、もはや味方する者はおらず、2348年、ある企業が主権国家に対しクーデターを実施、企業が国家そのものとすり替わったのである。
こうして世界初の企業国家が誕生した。名を、「エスペラント」と言った。
このエスペラントの行動に各企業が続いた。ありとあらゆる箇所で企業国家が誕生する群雄割拠の世の中になると同時に、そこから発展する利権争いも激化、ついには聖戦後最大の混乱期にして記録の全くない「ロストセンチュリー」へと突入していくのである。
ロストセンチュリーによる混乱期が明け、経済も安定期に入り、企業国家の存在が当たり前になった2771年、東ユーラシア大陸全土を統一した巨大企業国家が立ち上がった。
名を「ラスゴー」という。最初は東ユーラシアの最東端である旧上海地区「龍走路」に出来た一企業国家に過ぎなかった。しかし、交易ルート兼補給路の確保を行ったことで当時の常識では考えられないほどの行軍距離を実施したと同時に、地中深くから聖戦時に使用されていた「空中戦艦」の発掘に成功し、これを復元。
結果、圧倒的な武力をもって地域の鎮圧を数十年掛けてやってのけたのである。これにより、ラグナロクより500年経って初めて、人類はある種の安息を手に入れることに成功したのである。
しかし、300年という歴史は人類にとっては長いもの。次第に国の腐敗は進み、ついに3141年にラスゴーは滅びた。
そしてこれを契機に、現在の三大企業国家の一翼である華狼が設立される。
続いてアフリカでフェンリル、そして西ユーラシアでベクトーアと、相次いで設立していった。
企業国家の停滞期はラスゴーの始まり、ラスゴーに終わったのかも知れない。
そして現在、三大企業国家を中心に、派遣業務専門企業国家「ダムド」や、傭兵・技術派遣・技術開発専門企業国家「日本」など、数多の国家が入り乱れる状況となっているのである。