自由
朝食を食べ終わったあと、私は皆のいるリビングへと向かった
母と父、弟がそこでくつろいでいた
「あ、起きていたのね?朝ごはん食べた?」
母がコーヒーを飲みながら言った
「うん、食べたから、でも、片付けてないや」
「もう、ちゃんと片付けなさいよね、いつも言ってるのに」
「そうだぞ、お前も女なんだから、片付けぐらいはしろ」
父が割り込んできた
「はいはい、わかりました」
「とかいいながら姉さん、やらないよね」
弟まで割り込んできた
割り込み禁止令だそうかな
「五月蝿い、黙れ」
「はいはい、喧嘩はやめなさい」
「だって、こいつウザイ」
「そんなこと言わないの」
「まったく、お前らは仲悪いな」
「父さん!勘違いしないでよ!僕は…」
弟は何かを言いかけ黙り込んだ
「なんだ?」
「なんでもないや」
弟は苦笑した
「そうか?ならいいんんだ」
私は嫌な予感がした
本能で、何かを感じた
「自由に…出来たらいいんだけど」
弟はリビングから出て行った
自由か…この国では無理だろう
国教であるエール教である限りは
食べ物の制限はもちろん
衣服も限られる
恋愛だってそうだ
身分の違うもの同士はできない
親の決めたお見合い結婚にも逆らえない
ましてや、同性結婚、家族なんかと恋をしたりなんかするとどうなることか
特に今は、危険だ
魔女狩り
そういうものが最近起こっている
宗教の教えに逆らう者など容赦なく罰せられる
男女関係なく
昨日は隣に住むおばあさんが魔女として、火炙りにされた
幼い頃、お世話になった人だ
とてもじゃないけどおばあさんの最期の姿を見たいとは思えなかった
「この国に自由なんてない」
その一言が原因だったようだ
私も気をつけないといけない
普通に生きていれば生きられる
はずなのだから