表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンドロール・サガ  作者: 網笠せい
第八章 冥龍吠ゆ
62/76

第八章 冥龍吠ゆ 第七話

 ロイス・ロッシュの母、ステファニー・ラトゥールは、皇都一と呼ばれた歌姫だった。細い体からは信じられない声量で、この世のものとは思えぬきらびやかな声を出した。自慢の銀髪にオペラハウスの照明を受ける姿はまさに、稀代の歌姫にふさわしかった。銀の歌姫と名高い彼女を誰もが欲しがったが、彼女の心を射止めたのは決して美男とは言えない、冴えない中流貴族ミシェル・ロッシュ──ロイの父であった。しかもステファニーは正式な夫婦ではなく、妾であることに甘んじたのである。

 歌は巧い。けれども性格に難がある。

 当時の新聞が、ロイの母、ステファニーへ下した評だ。給料をもらえば、その日の打ち上げで半分は使ってしまう。舞台の本番直前に消息を絶ったと思えば、畑で笑いながらモグラを追いかけていたりする。干上がった池からヤゴを救出することに熱中して、パトロンの開いた宴席をすっぽかすような真似をする。おかげで汚れた衣装代や、代わりの歌手を出すための代金を立て替えねばならなかった。結果、幼い頃のロイは相当貧乏な思いをした。

 現在ロイス・ロッシュと名乗っている男は初め、母にイジドールという名を授けられた。彼は母親譲りの美しい容姿をしていたが、ステファニーとは逆の意味で性格に難があった。親が幼ければ、子が大人びる。現実的でこまっしゃくれた少年は、母の代わりに様々な雑務をこなした。


「俺の母さんは、子供のような人というよりも、子供そのものだった」


 ロイがのぞきこむと、少女の唇が少しもちあがった。泣き笑いでもいい。少しでも笑ってくれたことに満足して、ロイは言葉をつづけた。


「よく呆れさせられたよ、ほんと」


 ロイが八歳になった年、ステファニーが死んだ。山にきのこを取りに出かけ、足を滑らせたのである。大怪我を負ったステファニーは診療所に運びこまれたが、三日後に息を引き取った。

 少年はやっぱり困った母親だと呆れた。けれどもそれ以上にひどく悲しくて、泣きじゃくった。そんな少年に、母はある遺言を残して逝った。


 ──つらいことも悲しいことも忘れて、笑っていなさい。そうすればそのうち、本当に楽しくなってくるから。私が死んでも忘れてね。お葬式の歌は悲しくなるからいやよ。楽しい歌を歌って。旅立ちの歌がいいわ。


 この言葉が、少年ロイの心に影を濃く落とすことになる。


「八歳のときに母さんが亡くなって、母さんの知り合いに引き取られた」


 父であるミシェル・ロッシュは少年を引き取らなかった。少年が物心つく頃には、妾宅へは一切足を運ばなくなっていたのである。少年はヒューイ・ミントンという、銀の歌姫に惚れこんでいた男に引き取られた。そこで少年は、新たにステファンという名をつけられた。ヒューイ・ミントンは、少年に銀の歌姫の面影を見ていたのだ。酒癖が悪いくせに毎日浴びるように飲み、少年に歌を歌うことを強いた。

 少年を、母である歌姫のようにしようと企むヒューイと、遺言通りに母を忘れようとする少年との間に軋轢が生じないはずがない。ヒューイ・ミントンの少年に対する行動は、少年が思うままにならないことで余計にエスカレートした。少年に髪を伸ばさせ、女装させて歌わせるようになったのである。少年は二年で家を飛び出した。


「でも俺は母さんに似てた。母さんのことが好きだった中年の小汚いおっさんに、じっとりと見られるんだ。生きた心地がしなかったな」


 ロイは一度言葉を切って、ほんの少し笑った。きっと少女にとって、自分も中年の小汚いおっさん……いい歳をした大人なのに違いない。少女は鼻をすすりあげては目をこすった。少し落ち着いてきたようだ。


「基本的には優しい人だったんだ……酒さえ飲まなければね。そのうち年がら年中酔っ払うようになって、我慢できなくて逃げ出した」


 少年は皇都のスラム街に逃げた。泥水や川の水を飲んで喉の渇きを癒し、雑草や木の皮を食べた。街角で歌って稼いだ小銭では、パンも買えない。盗んでは殴られた。娼婦と間違えられて声をかけられたこともある。すでにボロきれのようになってはいたが、少年はミントン家を出てきたときの、女物の服をそのまま着ていたからだ。

 親切な人間には、警戒しなくてはならない。

 少年が頼りない母との生活で身につけた教訓は、スラム街でもそのまま役に立った。誘いに応じて男の首筋に腕を絡め、そのまま手刀をくれてやった。泡を吹いて倒れた男には目もくれず、少年は金目のものを漁って逃げ出した。


 ──何があっても生き抜く。簡単に死んでやるものか。


 なによりも強く、少年はそう思った。もはや意地だった。いくら母が「死んだ者のことを忘れろ」と言っても、忘れられるものではない。自分にとって母が大切な人だったからだと、少年は持ち前の冷静さで分析した。


 ──今、俺が死んだらどうなるのだろう?


 少年はよく、そんなことを考えた。浮浪児が一人、路地裏でのたれ死んだところで、誰もなんとも思わない。誰一人として、自分のことを思い出す者はいなくなるのに違いない。夜中に恐怖で何度も目覚めた。夏でも身体が震え上がった。


 ──そうか。死ねば忘れられてしまう。


 母の遺言は大きく形を変え、少年を生に縛りつけた。

 生き残るには金がいる。飢えは切実な問題だったし、冬には凍死する者もいた。凍傷で両手足の指を失った者、地面をはいつくばって生きている者など、スラム街には掃いて捨てるほどいる。


 ──生き残らなくてはならない。


 その思いは、少年の中でますます強くなった。美人局に遭遇しても、あわてることがなかったほどだ。卑猥な言葉を口にしながら女を縛りあげ、ごろつきが出てきたところで、今度は男を巧みに誘った。元が美しい顔をしているから、多少強引にでも迫ればすぐに相手は誘いに乗る。美人局役の女のプライドが粉々になって美しい顔が醜く歪むのを横目で見ながら、男に腕を絡めた。大抵の女は、自分を混ぜろと言い出す。女としての沽券に関わるらしい。縛った女の縄を切ると言ってナイフを手にすれば、あとはごろつきに刃物をつきつけるなり、女を人質にとるなりすればいい。

 銀髪の少年は才気と美貌、そして度胸で、すぐにスラム街の有名人になった。集団を作って、互いに助け合うシステムを作りだした。そうして少年は、いつしか浮浪児たちの英雄に祀り上げられるようになった。少年は決して名を明かさなかったが、それが余計に人気を煽った。

 これを大人たちが面白く思うはずがない。大々的に少年を狩って、見せしめにしようということになった。


「生きるのは、本当に大変だった。スラムはそう広くないから、そのうち会っちゃうんだ。財布を盗んだ相手とさ」


 ロイは遠まわしに表現する。泥臭い昔話を自慢げに聞かせてふんぞり返る趣味はない。

 少女の身体がびくりと震えた。心配するように見上げた瞳がまだ赤い。ときどき小さなしゃっくりが出る。


「見境いのなくなった大人ほど怖いものはないよ。さすがに焦ったんだけどね」


 少女の小さな手のひらに力がこもったのに気付いて、ロイは笑った。少女の手を包みこむ。決して暖かくはなかったが、ひんやりした感触が気持ちいい。


「たまたま通りかかった軍人が助けてくれた。レイド・ライエルっていう……最近まで陸軍中将をやってた人なんだけど……この人が、とにかくお人好しでね。その上奇人で金持ちときたもんだ。俺はきっと、そういう人に縁があるんだろうね。軍人なんだけど、孤児院を経営してる人だった」


 レイド・ライエル大尉は追っ手から銀髪の少年をかくまった。助かってから、なぜ助けたのかと聞いたら「ローズちゃんって呼んだら返事したから」と訳のわからない答えが返ってきた。スラム街の人間は軍人に弱い。少年の後ろ盾に軍人がついたことが知れ渡ると、あっという間に包囲網がとけた。

 ライエル大尉は変わった男だった。媚を売るとすぐ見破る。建前を言うと、たった一言で覆される。少年にとっては、常に本音で向き合わねばならない厄介な相手だった。

 そのくせにいつもニヤついていて、突然何かをひらめいて走り出す。呪文としか言いようのない節回しで歌い出す。少年が名乗らなくても一向に気にする気配もなく、ローズちゃんと呼びつづけた。

 これで結婚しているのだから、世の中は不思議だ。少年はライエル大尉を、母、ステファニーを見るような気持ちで見た。


 ──うちに赤い子犬がいるんだけど、全然懐いてくれなくてねぇ。ローズちゃん、うちに来て友達になってやってくれない? ローズちゃんは美人でずる賢いけど、まだ十二歳だろう? このまま娼館で働きつづけるわけにもいかないと思うんだけど。


 大尉にそう声をかけられたのは、寒さの厳しい日だった。どうやら少年が娼館で小間使いをしているのを苦々しく思っていたらしい。


「すごく変わった人で、バカなことばかりしてるんだけど、絶対に勝てない。そう思ったら軍人になりたくなったんだ。でもライエル大尉みたいな軍人になるには勉強しなきゃいけないだろう? それで、スラム街での仕事をやめて孤児院に入った」


 赤い子犬はカイルロッド・フレアリングという名前で、後に海軍准佐となった。銀髪の少年は《ローズちゃん》のかわりにローデリヒという名をつけられた後、父親であるロッシュ家に引き取られ、陸軍中佐となった。


「そこから父の家に引き取られて、軍人になった。昔話はこれでおしまい」


 ロイはそこで話を打ち切った。これから先は、少年の愛した人の話になる。照れくさいから、これ以上話をつづける気はない。

 初夏に訪ねてきた、優しいけれど凛とした声の主のことを、少年は一生忘れない。


 ──ごめんなさい。私はあなたを、ステファニー・ラトゥールの子を愛せる自信がなかったのです。けれどあなたはその間、ひどくつらい思いをしたのですね。あなたに罪はないというのに、私が探さなかったことで、苦しい思いをさせてしまった。どうか世でなく、私を恨んで。


 父であるミシェル・ロッシュの正妻、アルベルティーヌは、そう言って少年を抱きしめた。その言葉に嘘はない。後ろで手をふるライエル大尉を見て、少年はそう直感した。事実、アルベルティーヌは白い薔薇のように高潔な人で、少年はすっかり心を奪われた。

 少年は貴族として生活することになった。貴族となる以上、スラムでの生活は捨てなければならない。食べ物を盗んだことも、人を欺いたことも、同じ境遇にある仲間のことも……なにより強く誓った、生き抜くという思いもすべてだ。けれどもスラム街から出るとき、少年は過去を否定しないことを心に決めた。つけられた名はすべて、自分の歴史だ。それ以来、ローズちゃんというあだ名以外の、つけられたすべての名を名乗ることにした。そして養母アルベルティーヌは、それを許した。少年期の紆余曲折も、死ねば忘れられてしまうという恐怖も、養母への恋心も抱いたまま、ロイは大人になった。


「死んだ人を忘れられないのは、自分が死んだ後で誰かに忘れられるのが怖いからだ。結局は子供のままなんだ」


 珍しく弱音を吐いている自分に気付いた。どうせ村を出たら、二度と顔をあわせない相手だ。少女の様子を伺って、ロイは小さな手のひらから力が抜けていることにようやく気付いた。小さな寝息が規則的に聞こえた。


「……寝ちゃったか。長くてつまらない話だもんな」


 このまま朝まで置いておくと、ややこしいことになる。実際に何もしなくても同じことだ。

 ほどよく、暖炉の火が小さくなっていた。ロイはブーツを履いて、コートを着込んだ。少女にも同じようにコートを着せ、さらに毛布をかぶせると、横抱きにして立ち上がる。扉を足で蹴り開けた。

 ひどく強い風と同時に、雪が宿舎に吹きこんだ。目の前が真っ白く染まるのを、ロイは薄目で見た。

 雪嵐の中に一歩踏み出す。はっきりとは見えないが、淡く優しい光が、人家がそこにあるらしいことを知らせる。黄色い光を目指し、家と家の間をたどるように歩いて村長の家に向かった。

 奥歯を噛みしめても歯が鳴るほどの寒さだった。村長の家は雪嵐のせいで、昼間に見た家とはまったく別の家に見える。


「こんばんは」


 あいさつをしても、この吹雪では聞こえないだろう。それでも一声かけて、ロイは扉を蹴り開けた。明るい部屋の中で、少女を除いた家族は団らんしていた。ロイは小さく舌を打った。娘は決死の覚悟で自分の元にやってきたのだろうに、この家族ときたら、のんきなものだ。


「ロッシュさま! うちの娘が、何か粗相を……? それともお気に召しませんでしたか」


 ロイの姿を認めて血相を変えた村長に、ロイはいつもの笑みを浮かべることを忘れた。あまり大きな声を出すと少女が起きる。腹の底から搾り出した声が、静かに怒気を伝えていた。


「こんな子供に無理をさせて、取引に使うような真似をして、恥ずかしいとは思わないのか」


 一瞬戸惑った村長は、痩せた身体を不安げにゆすって、青白い顔をロイに向けた。


「取引とは、一体なんのことですか」


 村長の反応に、ロイは外の吹雪と同じくらいに冷たい視線を返す。


「年齢がもっと上で、自分の意思で来たのなら、いくらでも喜んで相手をしたさ。でもこの子は違う」


 スラム街で暮らしていた頃の目をしたロイは、そっと一歩踏み出した。

 厳しい冬の中にあるにも関わらず、村長の家ではあたたかいシチューの匂いがしていた。わずかに漂う酸味を帯びた匂いは、きっとトマトだ。


 ──夏の野菜がなぜ、極寒のハルシアナにある?


 夏の終わりにとれたものをペーストにして瓶詰めにしたとしても、それほど長くはもたないはずだ。ならば缶詰か。軍用食料として開発されたばかりの缶詰を、一般庶民が手に入れられるはずがない。


「やましいことがあるだろう?」


 少女を抱えていなければ、村長の襟首くらいは絞めあげている。後ずさる村長には直接手を下さずに、ロイは、ふんと鼻を鳴らした。


「あんたはそれを隠すために、この子を俺のところによこしたんだ」

「許してください! この人はただ、家族と村のことを思って……軍にとって、物資がどれほど大切なものかは重々承知しているんです!」


 側で見ていた妻が走り寄って、村長とロイの間に入る。冷たい銀色の髪をした男はためらうことなく、村長の妻を押しのけた。


「うちの物資管理担当が手を抜いて管理するわけがない。俺たちがここに着く前に、物資をちょろまかした。違う?」


 よろけた村長の妻がじゅうたんの上に座りこんだ。激しくうろたえる視線が、ロイの言葉を裏付けていた。


「もちろん腹は立つさ。トゥール・シルバリエ大佐が苦心して送ってくれたものだからな。でも、怒ってるのはそのことじゃない」


 ロイの身体の奥から、無尽蔵に怒りがわきあがる。


「俺のところに来るのは、娘よりあんたの方がよかったんじゃないの?」


 少女と同じ栗色の目を一杯に開いて、村長の妻は身体をかき抱いた。

 ロイにその気は毛の先ほどもないが、相手に勘違いさせることはいくらでもできる。


「自分の身体に、物資と交換するほどの価値がないと知っていたから、娘をよこしたの? それとも、自分が火の粉をかぶりたくなかっただけ?」


 スカートの裾からのぞく脚はすっかりかさついて、みずみずしさの欠片もない。視線に気付いた村長の妻は、あわてて体勢を変え、脚を隠した。


「ハルシアナの惨状は聞いてる」


 おびえきって声の出ない村長に顔を向ける。眠ったままの少女が小さく身じろぎした。落とさないよう、そっと抱きしめる。

 たったそれだけのことで落ち着く自分がいる。

 きっとユーミリアを副官にしているのと同じ理由だと直感して、ロイはこれ以上ないほど深く自嘲した。どれほど自分勝手なことだろう。


「状況によっては、物資を分けてもいい。帝国軍はしばらくハルシアナにいるつもりだ。地元の人間の助けを借りずに、この寒さを乗り切れるとは思ってない。ハルシアナの人々とは、友好的な関係を築きたい」


 ──汚い手を使って勝てるのなら、いくらでも使ってやる。何があっても生き抜く。簡単に死ぬものか。死なせるものか。


「……帝国軍への全面協力、頼めるよな? 金銭面、物資面、人員面、すべてにおいてだ」


 村長とその妻がくりかえし首を縦にふったのを確認して、ロイは少女をじゅうたんの上にそっと横たえた。すぐに背を向けて雪の中に出る。冷たい空気の中に身を置いて、ロイは一人、宿舎に向かった。

 銀色の月は白い雪に覆われて見えない。身体の中でぎしぎしと嫌な音がした。


「……」


 咳きこんで、吐血する。手のひらに乗った血はすぐに冷たくなった。この程度なら日常茶飯事だ。コートでぬぐって、吹雪の中をまた一歩進む。


「ロッシュさま!」


 声にふりかえった瞬間、少女が身体ごと飛びこんできた。雪明りでくすんだ金色にも見える髪が、目の前で踊った。抱きしめられる。


 ──この小さな身体のどこに、それほどの力があるのだろう。


 思わず雪の中によろけそうになるのを堪えた。


「私、ロッシュさまについていきます」


 少女の両目はしっかりと前を向いていた。

 何を言っているのかと口を開きかけたところで、少女はにっこりと微笑んだ。


「私に自分の意思があるなら、いくらでも相手をしてくださるんでしょう?」

「や、無理。あれは言葉のあやっていうか……絶対ダメ。年齢がもっと上でって言っただろ。それは色々とまずい」

「お側に置いてくださるだけで構いません。身の回りのお世話をする人間も、必要でしょう?」


 栗色の瞳がじっとこちらを直視するのに耐え切れなくて、ロイは視線を逸らした。


「……そういえば名前、まだ聞いてない」

「つれていってくれるんですか?」


 本当にこの娘には勝てない。ロイは肩から力を抜いて、素直に負けを認めた。


「こんな俺のために泣いてくれる、将来美人に育ちそうな女の子がいてくれたら、日々が華やぐよね。早く名乗らないとおいてくけど」

「アルベルティーヌです!」


 あわてたように少女が名乗る。ロイは一瞬我が耳を疑った。


「アルベルティーヌ・へーゼルです。つれていってください!」


 昔話はした。けれども養母のことは、一切話していない。

 次第に笑いがこみあげてきて、ロイははじけるように笑った。


「道理で俺が勝てないわけだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ