うらみち太郎
昨夜の出来事をネタにしてみました。
むかしむかし……
あるところに「うらみち太郎」という、小説家になろうへ山のように小説を投稿しても全くアクセスされない「底辺作家」がおりました。
あぁ、何でオラの小説は評価されないんだろう……そう思いながら太郎がいつものようにネットの海でサーフィンをしていると、砂浜でカササギという鳥が海外のPCにいじめられている姿を見つけました。
「えぃ、えぃ! F5アターック! F5アターック!」
「やめてください! この前不具合がやっと修正されたばかりなんです!」
太郎は「ユニークアクセスなんて自分には縁のない存在」と思いつつ、カササギを助けてやることにしました。
「もしもしそこのbotたち、カササギをいじめちゃいけないよ」
太郎はPCから回線を切断したのです。すると
「私はロボットではありませーん!」
と言ってPCは逃げていきました。
「ありがとうございました、このお礼は必ず……」
カササギは太郎に礼を言うと、そのまま去っていきました。
※※※※※※※
「あぁ、今日もアクセス0かぁ……」
太郎の書く短編小説は、今日もポイントどころかアクセスすらつきません。と、そこへ……
「太郎さん、先日はありがとうございました」
声をかけたのは、太郎が助けたカササギでした。
「今日はお礼に竜宮城へ招待します! ここではどんなクソ底辺作家でも人気作家になれるんですよ」
人気作家……という言葉に食指を動かされた太郎は、カササギの案内で竜宮城へ向かって行きました。
※※※※※※※
「いらっしゃいませ太郎様、どうぞごゆっくりくつろいでくださいませ」
太郎を出迎えたのは「乙ヒナ様」です。太郎は生まれて初めて見る光景に感動しました。
そこにはタイやヒラメ……ではなく、タイトルに大量の【】が舞い踊っていたのです! 具体的には【書籍化決定】や【○○万PV達成】といった、底辺作家にしてみればただの「自慢」や「イヤミ」にしか聞こえないワードです。
「オ……オラもこの【】を付けていいのか?」
「はい、今後はどのようなクソ小説でも付けることが可能ですわ」
太郎の下には「いいね」や「ブクマ」や「★★★★★」と書かれたお膳が大量に運ばれてきました。太郎の書いたクソ小説は見る見るうちにアクセスが増え、評価ポイントもうなぎのぼりに上昇したのです。
「こっこれでオラにも書籍化やコミカライズ化の話が舞い込んでくるんだな!?」
太郎は何の苦労もなくニート生活から脱却する夢を掴もうとしていたのです。
「では一流ラノベ作家の太郎様、こちらをお土産にお持ち帰りくださいませ」
と言って乙ヒナ様は玉手箱を手渡し、太郎は元いた場所に帰って来たのでした。
「こっ、これは何だろう? もしかして出版社の連絡先かな?」
太郎ははやる気持ちを抑えながら玉手箱を開けました。すると……
『この作品は二次創作ガイドラインに反しているため強制削除となります』
というメッセージが!
太郎はショックで一気に老化……その後は読み専に徹してしまったのでした。
……めでたしめでたし。
教訓・不正はダメだよ……おしまい!
ま、こんな作品書いてるから私は底辺なんですけどね……。