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失われた断片ーー旧作  作者: 半々月光
第1章─ビグトラス島
33/41

31─巨大な手



 「まだ足りない……」



 その一撃は効いたが、虚像のバリシャーハは身体が揺れていたものの、それでも原地にしっかりと立ち、怒りに満ちた咆哮を上げていた。



 「ベダ-アーリマン-ブトゥラダ、古の神よ、我が命令を聞け、汝の力を我と一体化せよ!我らを絶対の刃となり、この世のすべての邪悪を断て!」


 ガサンは低く吠え、彼の目には揺るぎない光が宿っていた。彼は霊獣アリマンと完全に融合し、体内の力が絶え間なく膨れ上がった。彼の全身は瞬く間に変異し、人間と霊獣の間の形態へと変わり、人の力と霊獣の速度と敏捷さを兼ね備えた無敵の威圧感を放った。


 彼と霊獣の結合体は、もはや単なる人間の姿ではなく、凡人を超えた存在だった。この瞬間、彼の体は古の神のごとく巨大で強靭になり、その輪郭は風の神の霊獣の要素と見事に交じり合い、四肢はさらに長く、力強く、筋肉の線はまるで彫刻のように明確で動きに満ちていた。



 彼の背後には、純粋な風のエネルギーから凝縮された巨大な翼が広がっていた。羽根は透明な水晶のように空気中で青と藍の光を放ち、わずかな振動で周囲の気流を引き起こしていた。この翼は単なる装飾ではなく、力の象徴であり、風神霊獣の真の威厳を示していた。


 ガサンの顔つきも変化し、目には雷のように明るい光が輝いていた。その瞳孔は、まるで天地万物を見通せるかのようだった。彼の髪は風に舞い、元の色を超え、淡い青い光を帯びて霊獣のエネルギーと完全に融合していた。彼の両手は鋭い爪の形に変わり、指先には高速で回転する風刃が渦巻いており、すべての障害を切り裂けるかのようだった。


 彼の下半身は漩渦のように地面と一体化し、足元の一歩一歩が気流の動きを伴い、まるで彼の周囲の地面が自然に割れていくように見えた。裸の体には風暴を象徴する符号が刻まれ、それらの符号は生きているかのように彼の肌を流れ、青い光を放ち、神秘的で威厳に満ちた雰囲気を漂わせていた。

  


 強力で猛烈な攻撃が、暗紅の光点に向かって再び突進していった。彼の拳はまるで神獣の爪のようで、無限の嵐の力を携え、人と獣が融合した体術となり、その光点に向けて猛烈に打ち込んだ。この一撃で、彼の全身の力が洪流のように溢れ出し、霊獣アーリマンとの結合によって瞬時に頂点に達し、天地の全てのエネルギーがこの一撃に集まるかのようだった。


 ガサンが人獣融合の強大な形態で、全ての力を凝縮した拳を虚像バリシャーハの胸の暗紅の光点に重く打ち込んだとき、空間はその瞬間、静寂に包まれた。拳と光点が衝突する瞬間、言葉では表現しきれないエネルギーが接触点から爆発し、天地の全ての風の力がその一点に集中した。


 暗紅の光点がこの強大な衝撃を受けた瞬間、突然激しく震え始め、続いて眩しい赤い光が迸り、周囲のすべてを照らし出した。その光は、バリシャーハのエネルギーコアを引き裂くように内部から爆発した。赤い光の衝撃波が四方八方に広がり、破壊的な力を帯びて、空気中には鋭い音爆の音が満ちていた。



 この一撃が空間を貫通した──


  

 ガサンの不屈の意志に応えるかのように、現実のバリシャーハの巨大な体がこのエネルギーに貫かれて、猛然と後方へ倒れ込んだ。


 胸の暗紅色の光点は、まるで破壊されたコアのように急速に崩れ始め、巨大な穴が開いていった。その周囲の亀裂は次第に広がり、まるで無数の細い赤い雷光が皮膚の下を這い回っているかのようだった。暗紅色の粘液が胸の穴から噴き出し、刺激的な腐食の臭いを放っている。それはまるで彼の生命力が急速に失われているかのようだった。


 バリシャーハの唯一の頭は、苦痛に満ちた耳障りな咆哮を上げ、その声には怒りと不満が混ざっていた。彼の目は血のように赤くなり、怒りの光を宿していたが、その目には以前の威圧感はもうなかった。


 彼は再び姿勢を安定させようと試みたが、その巨大な穴が彼の力を侵食し続けるため、動きは鈍く不器用に見え、元々の破壊力と侵略性を失ったように感じられた。


 その時、ガサンは体内に強力な風の精霊の力が渦巻いているのを感じ、再び召喚の限界を突破しようとしているようだった。彼の目はわずかに震え、体内の力が臨界点に集まっていく。しかし、その瞬間、彼は突然強大な抵抗を感じ、まるで見えない壁に阻まれ、すべての進展が妨げられた。

 


 「ダメだ……もう少し……」



 ガサンの心の中で歯を食いしばり、この障壁を突破して力を完全に爆発させたいと思ったが、どれだけ努力しても、その最後の境界を越えることはできなかった。


 「お前……よくも……」


 彼は歯を食いしばり、低く怒鳴った。その声は痛みで震えていたが、なお計り知れない脅威と怒りを帯びていた。彼の身体は制御できずに震え始め、貫通した穴からは暗紅色の光が絶えず滲み出ているものの、すぐには癒合せず、ガサンの一撃の破壊的な力を示していた。


 バリシャーハの唯一の頭部は、重傷を負った後、苦痛の表情を歪ませ、ひび割れた目で空を凝視し、まるで最後の祈りをしているかのようだった。彼は心を引き裂くような悲鳴を上げた。


 「我が主,さらなる力を賜れ!」


 ガサンがバリシャーハに致命的な一撃を与えようとしたその時、空が突然裂け、一つの毛むくじゃらの恐ろしい巨大な手がその裂け目から現れた。その手はまるで古代の異界から来た存在のようで、素早くバリシャーハの震える心臓を掴み、強く絞りつけた。空間全体がこの突如として現れた力によって揺れ動き、天地までもがこの力に震えているかのようだった。


 巨大な手の圧力はバリシャーハに苦痛を与え、彼の身体は激しく歪み変形した。




  

 「ダメだ……もう少し……」


 ガサンの心の中で歯を食いしばり、この障壁を突破して力を完全に爆発させたいと思ったが、どれだけ努力しても、その最後の境界を越えることはできなかった。


 「お前……よくも……」


 バリシャーハは歯を食いしばり、低く怒鳴った。その声は痛みで震えていたが、なお計り知れない脅威と怒りを帯びていた。だんだん身体は制御できずに震え始め、貫通した穴からは暗紅色の光が絶えず滲み出ているものの、すぐには癒合せず、ガサンの一撃の破壊的な力を示していた。


 バリシャーハの唯一の頭部は、重傷を負った後、苦痛の表情を歪ませ、ひび割れた目で空を凝視し、まるで最後の祈りをしているかのようだった。彼は心を引き裂くような悲鳴を上げた。


 「我が主,さらなる力を賜れ!」


 ガサンがバリシャーハに致命的な一撃を与えようとしたその時、空が突然裂け、一つの毛むくじゃらの恐ろしい巨大な手がその裂け目から現れた。その手はまるで古代の異界から来た存在のようで、素早くバリシャーハの震える心臓を掴み、強く絞りつけた。空間全体がこの突如として現れた力によって揺れ動き、天地までもがこの力に震えているかのようだった。


 巨大な手の圧力はバリシャーハに苦痛を与え、彼の身体は激しく歪み変形した。


 その時、遥か彼方の空間を超えた声が天際から低く響き渡り、無情な威厳を伴って言った。


 「汝は生け贄であり、血肉が契約となる。吾は汝に無限の苦痛、無限の痛みを与えよう──」


 その恐ろしい巨大な手はバリシャーハの心臓を強く押しつぶし、鈍い音が響くと、彼の心臓は強大な力で完全に潰れ、血液が洪水のように彼の胸から噴き出した。周囲の空気は濃厚な血の臭いに満ち、まるで天地の息すらこの恐怖の一撃によって凍りついてしまったかのようだった。


 しかし、バリシャーハの体が徐々に崩れ始めると、散乱した血液が空中でゆっくりと凝縮し始めた。地面に落ちる血液も、空中に浮かぶ血液も、まるで何か無形の力に引かれるかのように、次第に一つに集まっていく。それらの凝縮した部分は常に蠕動し、拡張し、何か奇妙で邪悪な変化が進行しているかのようだった。


 血液が再び凝縮されるにつれ、各凝縮点から無数の新しいバリシャーハが現れた。これらのバリシャーハは大きさが様々で、巨大な塔のようなものから、人間の背丈ほどのものまであり、それぞれが恐ろしい面貌を持っていた。彼らの体からは眩しい暗紅の光が漏れ出し、その光は破裂した血肉から滲み出ているかのようで、無限の怨念と悪意を帯びていた。


 新たに生まれたバリシャーハたちが一斉に立ち上がり、その数は計り知れないほど多く、彼らの咆哮は次々と響き渡り、耳をつんざく音の波となって、まるで天地全てが彼らの怒りに飲み込まれるかのようだった。一体一体のバリシャーハは独立した意志を持ち、目には比類ない怒りと狂気が燃え盛っていた。彼らはもはや単独の存在ではなく、無数の邪悪な化身が集合した存在となった。


 目の前の光景はまるで終末が訪れたかのようで、バリシャーハはもはや単独の敵ではなく、無限の災厄の洪流が押し寄せていた。


 血液から凝縮して現れたそれぞれは、より強大な力を示し、この再生によってますます恐ろしい存在となり、絶望をもたらしているかのようだった。


 邪悪の異類の視線は刃のように鋭く、ガサンをじっと捉え、まるで彼を完全に引き裂くかのようだった。



 「これはあまりにも反則だろう……」



 ガサンは空中に浮かび上がり、新たに生まれた邪悪な大軍を見つめていた。先ほど燃え上がった希望の火が、無情な洪水に飲み込まれ、消え去ってしまった──




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