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失われた断片ーー旧作  作者: 半々月光
第1章─ビグトラス島
26/41

25─鉱石の巨人

突然思いつきましたが、星雨せいうの読み方が読者の皆さんを困惑させてしまうかもしれませんので、今回は特別に読み仮名を付けました!今回の更新も楽しんでいただけたら嬉しいです!





ドン──!


 突然、外から大きな音が鳴り響き、ドアが勢いよく開けられ、星雨せいうは深い眠りから目を覚ました。


 彼女が目を開けると、次々と避難民が小屋の中に入ってくるのが見えた。彼らの服装や外見は様々だが、共通していたのは、全身が砂や土で汚れていたことだった。


 誰もが土人形のように見え、生気を失っているかのようだった。


 星雨は、自分もまたその一員であることを理解していた。


 「ここです! 皆さん、早く中に入ってください!」ドアの方から聞き覚えのある声がした。先ほどの学園の弟子だった。


 彼は残りの避難者を連れて小屋に入り、彼らを一時的に避難させた。


 弟子は扉の前に立ち、外で何かの動きを確認した後、皆に言った。


 「今、前方にある避難所に向かわなければなりません。そこには高位の術士が守っています。ただし、交戦区域を通る必要がありますので、絶対に私についてきてください。」


 「交戦区域?」


 難民たちの顔色が一瞬で青ざめた。恐怖が部屋の中に広がっていく。


 「どうしたらいいんだ……私たちはもう危険に耐えられない……」若い女性がすすり泣きながら言った。


 「安全に通り抜けられるのか?」と、別の者が声を震わせた。


 「私は……さっき、子供も夫も失って、今は自分がどうなるかさえわからない……」中年の女性は涙を浮かべながら、震える声で言った。


 その時、部屋の空気は一層重苦しくなり、恐怖に包まれた。


 その時、星雨は静かに立ち上がり、しっかりとした目つきで皆を見渡した。彼女は、ここで言葉を交わしても意味がないと悟り、深く息を吸い込んだ。


 「行きましょう。」


 その一言が、緊張を打ち破り、他の者たちも少しずつ弟子の元へ集まり始めた。


 星雨の冷静な行動が他の人々を鼓舞し、彼らは互いに視線を交わし、やがて行動を開始した。


 「しっかりついて来て、行くぞ!」弟子は大声で叫び、先頭に立ってドアから飛び出した。


 彼に導かれ、一行はピックト小路を進み始めた。小路は曲がりくねって狭かったが、彼らは弟子の足取りをしっかりと追いながら、慎重に進み続けた。



 次第に、遠くから轟音が聞こえ始めた。交戦区域はもうすぐそこだった。


 彼らがその場所に到達すると、目の前に広がる光景に全員が息を呑んだ──



 奇妙な生き物たちが、まるで別の世界から来たかのように、凶悪な姿で戦っていた。異形の怪物たちは大小さまざまで、紫色の体にトゲや甲殻、鱗をまとい、不規則な筋肉が波打っていた。



 その怪物たちに対峙していたのは、光り輝く巨大な鉱石の人型の存在だった。


 鉱石の巨人たちは、月光に照らされて輝きながら、数十フィートもの高さで、圧倒的な力で異形の怪物たちと戦っていた。



 鉱石の巨人は、巨大的な腕を振り下ろし、怪物たちに猛然と攻撃を加えていた。その一撃一撃は地面を揺るがし、破片が四方に飛び散っていた。


 この戦いの光景は恐ろしいと同時に壮大だった。異形の怪物たちは次々と打ち倒されていったが、そのたびに新たな怪物が湧き出してくるようだった。


 「何あれ……?」一人の旅客が恐怖に震えながら呟いた。


 弟子は急いで振り返り、「あれは……我々の守護者だ。だが、ここで留まっているわけにはいかない。今のうちに通り抜けよう」と声を低くして言った。


 星雨は拳を強く握りしめ、目の前の戦場を睨みつけながら深呼吸した。何としても、この危機を乗り越えなければならない。


 「気をつけて! あの揺れる石に足を乗せるな!」弟子は叫んだ。


 「早く! もう見つかりそうだ!」誰かが震える声で低く叫んだ。


 鉱石の巨人たちと怪物たちが激しく戦うたびに、地面がさらに激しく揺れ、瓦礫や石片が頭上から落ちてきて、いつ致命的な危険が訪れてもおかしくなかった。


 彼らが瓦礫の山を越えて進んでいると、突然、異形の生物の一体が彼らに気づき、鋭い咆哮を上げて彼らに向かって突進してきた。


 「来たぞ!」一人の旅客が前方を指差し、叫び声を上げた。


 弟子は素早く反応し、手を一振りすると、強力な風刃が彼の手から放たれ、怪物を直撃し、力強く吹き飛ばした。


 「急げ! 止まるな!」弟子は焦った声で叫んだ。


 一行は弟子の指示に従いながら、交戦地帯を慎重に進んだ。鉱石の巨人たちは依然として怪物たちと激しく戦い続け、地面は絶え間なく揺れ、周囲には危険が満ち溢れていた。


 彼らの頭上には、一匹の巨大な怪物が鉱石の巨人とほぼ同じ大きさで鎮座し、その口からは腐敗した粘液が滴り落ちていた。その異様な光景に、旅客たちは恐怖を隠せなかった。


 彼らが見上げると、鉱石巨人の体が月光に照らされて輝いているのがはっきりと見えた。巨人の石塊の隙間からは、正体不明の光が流れ出していた。


 「見て! あの粘液だ! もし落ちてきたら……」


 その時、一人の豪華な服を着た商人風の男が、その輝く鉱石に目を奪われていた。彼は自分の世界に入り込み、つぶやいた。


 「もしこれを本国に持ち帰ることができれば……ぐふふぅ……」


 弟子は急いで反応し、「急いでここを抜けなければならない。巻き込まれたら助からない」と言った。


 話音が終わると同時に、あの商人はついに自分の「発財の夢」を叶えた。


 一隻の巨大な足が、商人の上に無情に振り下ろされ、彼の体を粉々に押し潰したのだ。


 商人は一瞬で肉塊となり、叫び声すら上げる間もなかった。


 その光景を見た他の旅客たちは、一瞬で顔色を青ざめさせ、足を速めた。彼らは次は自分かもしれないという恐怖に駆られていた。


 弟子は商人の無惨な姿を見て、心の中で悔しさが込み上げてきた。「くそ……」と、小さく呟いた。


 もし、もう少し早く彼に警告していれば、彼は死ななかったかもしれない……。そんな考えが頭をよぎり、弟子の足が一瞬止まった。


 しかし、その時、優しい顔をした老婦人が弟子に近づき、静かに言った。「若い術士さん、あなたはよくやっているわ。自分を責めないで。私たちには、あなたが必要なのよ。」


 老婦人の言葉は暖かく、弟子の心に再び使命感が燃え上がった。彼は深く息を吸い込み、再び全員を前へと導く決意を固めた。


 

やがて、彼らは交戦区域を無事に通り抜け、安全な場所にたどり着いた。


弟子は後ろを振り返り、生存者たちが無事についてきたことを確認し、ようやく安堵の息をついた。「もうすぐ避難所に着く。あと少しの辛抱だ。」


 旅客たちはこの言葉に少しだけ心を安らげた。恐怖はまだ残っていたが、避難所が近いという事実に、わずかな安心感を抱いていた。


 その時──


 彼らの前に、蛇のような黒い影が現れた。


 「気をつけろ!」


 弟子は素早く反応し、前にいた避難者を押し退け、呪文を唱えた。


 【バンナイン-バタンディク-モルゴルン】



 「風の呪術——穢れよ、現れろ!」








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