15─ 消失の行進曲
ゴロゴロ!ドンドン——
さっき攻撃された場所が瞬時に半分に欠けた。
まるでSWEETの再オープンの夜に起きたことと同じだ。
「僕は……戦う……」
イランはかすかな声でそう言うと、突然力尽きて倒れた。
「ルキ、イランを守れ!」
キリム教授が叫ぶ。
「戦いは私とミドに任せろ!」
「はい、教授。」
ルキはすぐに答えた。
「まさか、召霊まで失敗するとは……!」
キリムは驚きの声を漏らした。
「火の守護神モファイクスは倒されたのですか?」
ミドが不安げに尋ねた。
「モファイクスはこの世界に一時的に姿を現しただけだ。さっきの攻撃で再び眠りについただけだ。」
キリムはそう答え、ミドは少し安堵の表情を浮かべた。
「じゃあ、これからどうすればいいんですか?」
ミドはキリムに問いかける。
「あいつには必ず弱点があるはずだ。あの奇妙な光を避けながら、弱点を探すんだ!」
「了解です、教授!」
ミドは力強くうなずいた。だが、敵の幻獣の攻撃を避けるために、なかなか反撃の隙を見つけられない。
こうして膠着状態が1時間近く続いた。ルキはイランを守りながら見守っていた。ミドとキリム教授の体力も限界に近づいていた。
「くそっ!あいつに近づけない!」
ミドは息を切らしながら叫ぶ。
「このままじゃ……」
キリムが眉をひそめ、何かを思い出したように呟いた。
「待てよ、もしかして……」
「ミド!あの透明な物体に触れるな!触れたら侵食されてしまう!」
「くそっ!触れられないものをどうやって攻撃すればいいんだ、教授!」
「透明なものは私が引き受ける。本体を探して攻撃するんだ!」
「本体……どこにあるんですか?」
「幻獣は操縦者が意思で作り出したものだ。本体を倒せば、幻獣も消える!」
「わかりました、教授!やってみます!」
ミドは一瞬ためらったが、すぐに決心を固めた。
「でも、本体はどうやって見分けるんですか?」
「実体が現れたら、俺が知らせる。お前はその時、全力で攻撃しろ!」
キリムが力強く指示を出す。
「ガトラド・サンダミラ・バシシ!」
キリム教授が呪文を唱えると、数えきれない岩石や土塊が炎に包まれ、球体となり、一斉に同じ方向へ飛び始めた。
「うわっ!熱い!」
謎の細長い影が叫ぶ。
「そこだ!これで俺の『超微粒烈風雷撃拳』を食らえ!」
ミドは左手に力を集中させ、全身が赤く輝いた。彼は右手で風の術『縛り』を使い、驚異的な速さで左拳を連打する。
「うわっ、ぎゃあああ!」
謎の影はミドの連続攻撃に倒れ、地面に崩れ落ちた。
「どうして……幻体だとわかったんだ……?」
影が震え声で問いかける。
「お前は攻撃中、わざと動き回っていた。幻獣を維持するために、攻撃に集中できていなかったんだろう。」
キリム教授が冷静に言った。
「く……くそ……」
影は悔しそうに呻く。
「教授、『神』を倒しましたよ!」
ミドは勝ち誇ったように言った。
「『神』だって?ハハハ……俺を神だと思っているのか?俺はただ、神の遺伝子を少し持っているだけだ。本当の幕開けは、これからだ……ハハハ……」
「幕開け?それはどういう意味だ!」
キリム教授が問い詰めるが、影は倒れ、幻獣も消え去ってしまった。
「どうやら、事態は想像以上に深刻なようだ……」
キリム教授はため息をつきながら呟いた。
「教授、あいつはどうなった?」
イランが弱々しく目を開け、キリムに問いかけた。
「イラン、お前、目が覚めたのか!」
ミドはイランの元へと駆け寄った。
「ミド?君は大丈夫か……また君に守られてしまったな……」
イランは申し訳なさそうに呟いた。
「うん!俺と教授であいつを倒したんだぞ、イラン!お前が弱すぎるんだよ、ハハハ!」
ミドは満面の笑みを浮かべ、自信たっぷりに言った。
「本当か……それは良かった……」
イランは少し安堵し、深く息を吐いた。
「イラン、大丈夫ですか?」
ルキが心配そうに尋ねた。
「ああ……だいぶ良くなったよ。ありがとう、ルキ。」
イランは微笑んで答えた。
「教授、見てください!」
ミドが突然、興奮気味に叫んだ。
「なっ!これは何だ?」
キリム教授は驚いて振り返った。先ほど倒した謎の細長い影が、壊れた白い扉の隙間から光を放っていた。その姿は鳥のくちばしを持つ人間のようで、全身が黒い羽毛に覆われていた。胸には奇妙な模様が焼き印されており、4つの円が交差し、その中央には正三角形と逆三角形が描かれていた。
「教授、これは何の模様ですか?」
ミドが不思議そうに尋ねた。
「私にもわからない……もしグモ教授がここにいれば、もっと詳しい説明ができただろうに……」
キリム教授は深く考え込むように言った。
「さあ、中へ進もう。前方にはもっと危険な敵が待ち構えているかもしれない。慎重に進むんだ。」
「了解です!」
三人は息を整え、扉を押し開けた。
その時、外からは島全体が見渡せた。
夜の任務が終わり、朝の金色の光が柔らかな風と共に爽やかに吹き抜けたが、見慣れた風景はそこにはなかった。
かつての喧騒も市場の活気も失われ、目に映るのは崩壊した瓦礫と荒れ果てた残骸だけだった。
この光景は、その場にいる全員に衝撃を与えた。誰もこれを止めることはできず、これはただすべてが消え去り、崩壊していく序章に過ぎなかった。




