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両隣の幼馴染が交代で家に来る  作者: みらいつりびと


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灯2 アプローチ

 前日の夜にドーナツを買って、4月2日の朝7時に意気揚々とふゆっちの家へ行った。

 彼はあたしほど甘い物好きではないかもしれないけれど、確か甘味が嫌いではないはず。小学生のときは、あたしと一緒にお菓子を食べていた。

 ふゆっちの味の好みを把握しておきたい。

 彼はふたつ食べた。

 ドーナツはそこそこ好きといったところかな?


 ふゆっちと連絡先を交換する。

 前からしたいしたいと思っていたことがようやくできた。

 これまでは慎重すぎた。

 ふゆっちの家を1日交代で訪問できるようになったいま、攻めて攻めて攻めまくるのみ。

 彼の心を落とすのだ。


 ふゆっちはあたしが彼のお世話をするのを悪いと思っているようだ。

 遠慮しなくていいよ。

 きみに近づく口実ができた。むしろ好都合なんだよ。

「ひとつ屋根の下に男女ふたり。これはだめでしょう?」と彼は言った。

 男女間のまちがいが起こることを心配しているんだね。紳士だなあ。

 心配無用。

 そのまちがいが起こることを、あたしは望んでいるんだから。


「あたしを襲えるの?」と挑発してみた。

「できるんなら、してもいいよ?」

 彼はしどろもどろになって、「だめだよ。怒られる」なんて言った。誰も怒らないよ。

 あたしは歓迎なんだし、うちの母親ときみのお母さんも怒らないはずだよ。

 ふたりは天乃家と森川家の縁が深まるのを望んでいるんだ。

 あたしときみが結婚してもいいってことだよ。


 あたしは掃除をした。

 ふゆっちの部屋にも掃除機をかけようとしたけれど、部屋の中は本でいっぱいだからと言って、ことわられた。

 彼の部屋を見たい。

 小学生のときは入り浸っていた。でも、もう長い間入っていない。

 またあそこでごろごろしたい。


 強く頼んだら、見せてもらえた。

 確かに本でいっぱいだった。

 いっぱいすぎるよ。

 

 その日はお昼にサンドイッチを食べて、午後はたっぷりと散歩をした。

 あたしは食べるのが大好きなので、運動は必須なのだ。しないと太ってしまう。

 神社山の麓まで行った。

 この山の中には、あたしの聖地がある。

 ふゆっちがあたしの命を助けてくれた場所。

 彼を心から好きになった場所。

 行ってはいけないと言われて、立入禁止になって、もう長い間訪れていない。


 4月4日にはふゆっちの部屋に入り、ベッドにダイブした。

 きのうは浅香がこのベッドで漫画を読んだらしい。

 許せない。

 あたしだってふゆっちのベッドを使う。

 ベッドでごろごろして、彼をからかった。

「ねえ、この部屋の写真、SNSにあげていいー? 彼氏の部屋、とか書いて」

「だ、だめだよ!」

 そんなに大声で拒否しなくてもいいじゃんかー。

 彼とのツーショットを撮って、傷ついた心を癒した。


 昼ごはんにウスターソースオムライスをつくってあげた。

 それからまた散歩に出た。

 神社山に登って、かつて秘密基地をつくった場所まで行った。

 事件があったところだ。

 あの洞穴は土砂で埋められていた。

 もう入れないと思うと、けっこう落ち込んだ。

 それでもここは聖地だ。思い出の場所であることに変わりはない。


 彼があたしを救ってくれたことを思い起こし、熱い心を込めて、「ふゆっちはヒーローなんだよ。あの日からずっと、あたしのヒーロー」と伝えた。

 ふゆっちは首を横に振った。

 自分はヒーローなんかではないと思っているようだ。

 素直に受け取ってほしいなあ。きみはあたしにとって絶対的なヒーローなんだよ。


 4月6日の朝ごはんはパンケーキにした。

 ふゆっちは甘い朝食をちゃんと食べてくれている。

 あたしとの食生活に慣れてほしい。

  

 ふゆっちの部屋で過ごし、おしゃべりをしていたら、彼がグラビアアイドルのカノンを好きなことが判明した。

 カノンは実はあたしの従姉で、本名は天乃夏音という。

 夏音ちゃんはあたしにそっくりだ。彼女を好きってことは、あたしのことも好き同然ってことじゃん。

 そこを追求したら、「あかりちゃんのことは好きだよ」と彼は言ってくれた。

 その直後に「友だちとしてね」と言ったのは減点だ。照れなくてもいいじゃんか。正直になれよ。


 だが、ふゆっちがあたしの外見を好きなことは確定した。

 惚れさせてやる。

 攻めて攻めて攻めまくるんだ。


「ふゆっちのためだけに水着モデルになってあげよっか?」とあたしは言った。

「いいよ、そんなの悪い」と彼は言ったけれど、遠慮を真に受けていたら、いつまで経っても距離は縮まらない。

 あたしは黒のビキニを着た。

 持っている中で一番男ウケしそうな水着だ。

 カノンが撮影で着るやつほどではないが、これもかなり攻めているはずだ。


「綺麗だ」とふゆっちは言ってくれた。

 彼のスマホがあたしに向けられ、カシャッ、カシャッと撮影された。

 彼が夢中になってあたしを見て、シャッターを押している。

 けっこう快感だった。

 あたしも夢中になって、ノリでいろんなポーズをとってしまった。

 エロティックな写真も撮られてしまったかもしれない。

 ふゆっちに見られるだけならかまわなかった。


 写真撮影後、彼がカノン写真集を持っていることが判明した。

 やはりふゆっちはカノンが好きなのだ。そしてきっとあたしのことも。

「あかりちゃんは可愛い」と彼は言った。

 嬉しかった。


 写真集は攻めすぎなほどエロかった。夏音ちゃんも親には内緒にしているかもしれない。

 ふゆっちに、この本のことは秘密にしておいてと頼んだ。

 彼は「もちろん秘密にする」と答えた。

 あたしと彼の秘密だ。

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