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両隣の幼馴染が交代で家に来る  作者: みらいつりびと


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28/47

開示

 まだ雨が降っている。

 顔を窓に向け、静かに降りつづける雨を眺めながら、秘密について考えた。

 俺はふたりの幼馴染に似た女の人のエロい本を持っている。


 あかりちゃんは机の1番上の引き出しに激しく興味を示した。

 俺は絶対に開けまいとした。

 彼女に秘蔵のエロ本を見られるのは恥ずかしい。

 特に空のお姉さんのヌード写真集を発見されるのはまずい気がする。

 でも、カノンの水着写真集を俺が持っていることは、別に隠し通すことはないんじゃないか?


 あかりちゃんは従姉の天乃夏音さんがグラビアアイドルだと教えてくれた。

 彼女自身の水着姿の撮影までさせてくれた。

 お返しに俺の秘密の一部を開示するくらい、なんでもないことのように思える。

 そんなことであかりちゃんの好奇心を満足させられるなら、かまわないんじゃないか。

 そして、引き出しへの執着をなくしてくれるのなら、かえって好都合なのでは?


 彼女が2階から下りてきた。

 もう黒い水着姿ではなく、きちんと服を着ている。

「撮影、楽しかったね。なんだか夢中になっちゃった」

 軽く笑みを見せながら、あかりちゃんは言った。

 俺にとっては夢のような時間だった。彼女も楽しかったのなら、本当によかった。

「そうだね。あかりちゃん、すごく綺麗だった」

「あ、あはは、そう言ってもらえると、水着になったかいがあったよ」

 彼女は照れて赤くなっていた。 


「お腹すいたね」

 すでに正午を過ぎていた。12時20分。

「確かに空腹だね」

「お昼は焼きそばをつくろうかと思ってるんだけど、それでいいかな?」

「いいよ。一緒につくろう」


 あかりちゃんが豚肉を炒め、俺はもやしを洗い、キャベツをきざんだ。

 肉を焼いている中華鍋に野菜と麺を加えて、さらに炒める。

 仕上げにソースと胡椒を絡めると、キッチンに香ばしい匂いが立ち昇った。

 ふたつのお皿に取り分け、青海苔をふりかけて、焼きそばの出来上がり。


「いただきます」と声を合わせて、ソース焼きそばを食べ始めた。

 あかりちゃんはもりもりと食べ、俺は考えごとをしながら、ゆっくりと麺や具を口に運んだ。 

 また秘密のことを考えている。


「ねえ、俺の机の鍵がかかっている引き出しのこと、気になる?」

「すごく気になる!」

 あかりちゃんは焼きそばが口から飛び出しそうな勢いで言った。

 やっぱり気になっているのか。

「なにが入ってるの?」

「教えてほしい?」

「知りたい!」

 秘密を開示しよう、と俺は思った。ただし一部だけだ。

「わかった、教えるよ。食べ終わったら、引き出しに入っていた物を持ってくる」


 食後、あかりちゃんにリビングのソファで待っていてもらい、俺は自分の部屋へ行った。

 机の引き出しの鍵を開け、クッキーの缶からカノン写真集だけを取り出す。

 缶の中身をすべて見せるわけにはいかないから、こうするしかない。


 ソファは3人掛け。

 写真集を持って、あかりちゃんの隣に座った。

「これから見せる物は、男子の秘密のブツなんだ。俺がこれを持っていることは他言無用だよ」

 彼女はこくっとうなずいた。

 俺は本を渡した。


「なにこれ、カノンちゃんの写真集じゃん!」

 表紙を見て、あかりちゃんが叫んだ。

「ふゆっちって、写真集を買うほどカノンちゃんのファンだったんだ!」


 そういうわけではない。

 あかりちゃん似の女の子がきわどい水着を着ている表紙の本を書店で見つけて、衝動買いした。

 だが、ファンだったと言っておく方が、あかりちゃんには印象がよいかもしれない。


「実はそうだったんだ。カノンのこと、可愛い子だなと思ってた」

「ひょええ、そうなの? カ、カノンちゃんとあたしって、似てるってよく言われるんだよね。ふゆっちはあたしのことも可愛いって思ってるのかなあ? さ、さっきも同じような会話をしたけれど……」

「思ってるよ。あかりちゃんは可愛い」


 ことここに至れば、そう言わざるを得ないだろう。

 別にかまわない。

 あかりちゃんは男子が100人いたら、99人までが可愛いと思うような美少女なのだから。 


「あ……うれし……い……かも」

 あかりちゃんは口の中でもごもごとつぶやいた。

 顔中を真っ赤にしながら、彼女はカノン写真集をめくった。


「これ、かなりきわどい水着だね。布面積少なっ! カノンちゃんがこんな写真集を出してたなんて知らなかった……」

「ちょっとエロい本でしょう。だから秘密にしてたんだよ」

「うわー、男子が欲しがりそうな写真ばっかり。こ、これなんて、隠れてるの乳首だけじゃん! ひゃあー」

「声に出さないでよ。こっちが恥ずかしくなる」


 あかりちゃんは「ほわあ」とか「ヤバい」などとつぶやきながら、食い入るように写真集を鑑賞した。

 きっちりと最後のページまで見てから、本を閉じた。


「この本、激ヤバ! あたし、ときどきカノンちゃんの家に行くんだけど、この写真集の話題が出たことはなかったよ。もしかしたら、親にも内緒で出したのかもしれない」

「まあ、親には言いにくい本かもね」

「ふゆっち、このことは絶対に秘密にしておいて! カノンちゃん、親にはモデルとして芸能活動をしてるって言ってるだけで、あんまり詳しくは話してないみたいなんだよ!」

「だから、最初から他言無用だって言ってるでしょう。もちろん秘密にするよ」


 カノン写真集のことは、俺とあかりちゃんの共通の秘密になった。

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