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両隣の幼馴染が交代で家に来る  作者: みらいつりびと


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カノンとあかりちゃん

「あかりちゃんは人の嫌がることを無理矢理する人なの?」

 俺は少しきつめに彼女を睨んだ。

「う……」

「そんな人じゃないよね?」

「もちろん! あたしはふゆっちが嫌なことなんてしないよー」

 彼女は引き下がり、再びベッドに横になった。


 あかりちゃんはまたスマホをいじり出した。

「嫌なことはしないけど、ふゆっちが喜ぶことはする」

 彼女はスマホの画面を俺に見せた。

 そこにはカノンがショッキングピンクの水着を着て、砂浜を歩く画像が映っていた。

 グラビアアイドルの健康的な小麦色の肌とメリハリのある姿態に目が釘付けになってしまう。

 

「むふふ、ふゆっちはカノンちゃんがお気に入りかな」

 あかりちゃんは別の画像を表示した。

 プールサイドで寝そべっているカノン。身に着けている水着はヒョウ柄だった。

 あまりにも刺激的で、俺は直視できなくなって、目をそらした。


「うわあ、顔が真っ赤になってるよ、ふゆっち。カノンちゃんが好きなんだねー」

「す、好きじゃない。知らない人だもん」

「アイドルとして好きってことだよ。この容姿、好みなんでしょ?」

「まあそうかな……」

 むきになって否定するのは子どもっぽいと思ったので、ゆるやかに肯定した。

 あかりちゃんがにまあっと笑った。


「あたし、カノンちゃんとそっくりだって言われるんだよねー。カノンちゃんが好きってことは、あたしが好きってことだよね」

 なんという三段論法。

 カノンが好き→カノンとあかりちゃんはそっくり→あかりちゃんが好き。

 確かに俺はあかりちゃんが好きだ。その美しい容姿に惹かれているし、明るい性格もいいと思っている。

  

「あ、あかりちゃんのことは好きだよ」

 俺は彼女の目から微妙に視線をはずしながら言った。直視できないんだよ。

 あかりちゃんの顔面が紅潮する。

 こんなものが愛の告白と受け取られても困るので、「友だちとしてね」と付け加えた。

 とたんに彼女の頬が膨れた。


 あかりちゃんは黙り込み、不機嫌そうにスマホをいじった。

 俺もなにを話していいかわからなくなって、読みかけのラノベを手に取った。

 カノンの水着写真集のことやあかりちゃんとのいましがたの会話が脳裏をよぎって、読みやすいはずのラノベのストーリーが頭に入ってこなかった。


「ねえ、少なくともあたしの外見は好きってことだよね?」

 しばらく経ってから、あかりちゃんが話を蒸し返した。

 正直に答えようと思った。

「好きだよ」

 あかりちゃんの顔がぱっと輝き、口元がにまにました。


 俺はラノベを見ながら考えた。もはやまったく読んでいない。

 あかりちゃんは俺を恋愛的な意味で好きなのだろうか?

 熱心に俺の世話をしてくれているし、彼女の最近の言動を思い返すと、並々ならぬ好意を持ってくれているようにも思える。

 でも、あかりちゃんだぞ?

 とびきり可愛くて、学園のアイドルみたいな彼女が、俺のように地味な男を好きになるだろうか?

 なりそうにないとしか思えなかった。


 仮に、万にひとつ俺に好意を持ってくれているとして、俺の方はどうか?

 あかりちゃんのことを想うとき、どうしてももうひとりの少女のことも思い浮かべてしまう。

 浅香空のことを。


 自問してみる。

 俺は空とあかりちゃん、どちらの方がより好きなのか?

 どちらの幼馴染も同じくらい好きだとしか答えられなかった。

 ふたりとも大好きで、優劣なんかない。


「あたし、街角でスカウトされたことがあるんだよ。モデルにならないかって」

 あかりちゃんがまた話し出した。

 彼女くらい綺麗なら、そういうことがあっても不思議ではない。


「モデルになりたいとは思ってないし、なったとしてもカノンちゃんの二番煎じになるだけだろうから、ことわったけど」

「別に二番煎じじゃないと思うよ。あかりちゃんはカノンさんよりもっと輝けるんじゃないかな」

 俺は素直に思ったことを言った。

 天乃夏音というあかりちゃんの従姉を直接は知らないから断言はできないけれど、天乃灯は表情がくるくる変わる快活で美しい少女だ。誰にも負けない魅力があると思う。

 

「えっ、そ、そうかな?」

「たぶん」

「じゃ、じゃあ、ふゆっちのためだけに水着モデルになってあげよっか?」

「えっ、えーっ?」

「き、着てあげるよ、水着」

「いいよ、そんなの……悪い……」

「遠慮しなくていいよー。ちょっと待ってて。いったん家に帰るね」

 あかりちゃんは耳まで真っ赤になって、俺の部屋から出ていってしまった。


 あかりちゃんが水着姿を俺に披露してくれる?

 突然の展開に頭がついていけない。

 夢のようなイベントだけれど、本当にそんなことが起こるの?


 30分ほど待った。

 ドアホンが鳴った。

 玄関を開けると、彼女はさっきと同じ衣服を着たままそこにいた。

 白いニットのセーターとミニスカート。トレードマークみたいなルーズソックスも穿いている。


 ふたりで俺の部屋に入った。

 あかりちゃんは少しためらってから、恥ずかしそうに服を脱ぎ始めた。

 俺は目をそらさずに、じっと見つめてしまった。

 セーターが床に脱ぎ捨てられた。

 あかりちゃんはその下に白いシャツを着ていた。

 それも床に落ちる。スカートも。


 白く眩しい肌を見て、俺は混乱した。

 これは現実に起こっていることなのだろうか。

 官能的な美少女が、目の前で惜しげもなく肉体を晒して立っている。

 あかりちゃんはグラビアアイドルのカノンにも負けないほどスタイルがよかった。

 大人っぽい黒のビキニを着ていた。

 俺は悩殺され、くらくらした。


「ど、どう?」

 あかりちゃんが上目遣いで問いかけてきた。

「綺麗だ……」

 俺はそうつぶやき、ごくりとつばを飲み込んだ。

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