ヒトでは無くなったモノ
東京都、新宿区市谷市内。
国家安全保障庁庁舎敷地内研究施設。
施設内総合管理室。
突然、施設内の明かりが消えると共にサイレンの音が大きく鳴り響く。
「何事だ」
ウィン、とドアが開く。
「発電室がやられました!」
「被験者達が脱走した可能性があります」
総合管理官の顔が青ざめる。
「直ちに探し出すのだ」
総合管理官が声を張り上げる。
「本庁に直ちに報告、即応部隊を出動させろ」
「了解」
本庁より連絡を受けた庁舎施設内の兵舎から、即応部隊が直ちに出動。脱走した被験者の捜索任務に当たることとなった。
「こちらBAY01、現在被験者達の隔離施設に東側より侵入に成功。施設内の捜索を開始。送れ。」
「こちらBAY02、了解。これより02も隔離施設に侵入を開始する。送れ。」
「01、了解。」
施設内に歩みを進める01部隊。
すると後方から
バゴン!
と壁に何かを叩きつける音が聞こえる。
「何事か」
と部隊長は銃口と体を後ろに向ける。
すると目先には1人の男が立っていた。
銃からのライトを当ててみると、右手は鮮血に染った真っ赤な色をしていた。
視界の左下には無惨にも頭部が破裂し、血まみれになった隊員の姿があった。
「お前は人間か」
そう部隊長は問う。
すると男は
「俺は人間じゃない。機械だ。お前らがそう言った。」
部隊長はそっと引き金に指をかけ、サイトを覗き込む。
その瞬間、その男は高く飛び上がった。
人体機械技術結合手術により得た力だ。
約6mほど飛び上がった男に部隊長は怯み引き金を引くことが出来なかった。
男は空中から急降下、部隊長の頭を掴みかかり地面に強く叩きつけた。
「こちらBAY02、01へ。どうした!」
男は死体に埋もれていた無線機を踏み潰した。