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異世界に探偵は必要ですか?  作者: アイザック・ゴーマ
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3-6:タンテイⅥ

   3-6:タンテイⅥ




 それは恐らくということもなく一般に見せては行けない画像群だった。

 前日、アルディオに見せられた画像は、事件現場の事件後の画像。

 そしてそれ以上のより具体的な事件当時の画像も展開されていた。

 王の胸にナイフが刺さり、絶命している画像である。

 それらの画像から凹太郎は脳内で事件の図を描いた。

 まず、事件の起きた部屋。

 王の寝室。

 それは寝室というにはやはり広く、しかし、王の寝室と呼ぶには飾りけのない質素な部屋だった。

 広さは王が普通の人間であることから比率的に推察すると、9m×14mくらい、だいたい学校の教室2つ分程度だろう。

 仮に縦長の長方形として、部屋の入口を下、ベッドのある方を上として考える。

 入口の扉は下側に一つ。

 見たことのない製図法だが、写真から、扉は大きさを段階的に変換できるようだ。

 1段階が人間程度だとすると、4段階ほど変えられて、4段階目の大きさだと4mくらいの巨人用みたいだ。

 そんな種族もいるのか。

 そこから、部屋の高さも7mくらいはあるようだ。

 そうしてみるとよっぽどの空間だと認識が改まった。

 ふと、研究室の扉を見る。

 そういった、扉の段階的な可変はないようだ。

 ここの研究室はおおむね人間サイズで作ってある。

 それがどういうことなのかは後回しで良い。

 今は、王の殺害状況だ。

 ベッドはというと、これは確かに大きめではあるのだが、4mの巨人サイズにはそぐわない。

 2m×3mくらいのようだ。

 王の交代時にはベッドを改めるのかもしれない。

 ベッドは部屋の上側。

 壁側にベッドの枕側があり、ベッドの左右に空間の空く中央に設置してある。

 部屋中央付近は何もない空間になっている。

 左側に本棚がずらりと並び、右側に机や冷蔵庫や簡易キッチンのようなものがある。

 それらも王の交代時に入れ替えられるのだろう。

 部屋の間取はそんな具合で、王はベッドの扉側の方の面に背を預ける形で亡くなっていた。

 事件当時、少女ルラは中央の空間で座り込んだ状態だった。

 たしかアルディオさんの話だと血まみれで放心状態だったという。

 ベッドの王までは4mは距離がある。

 ルラから扉までは7mくらい。

 そう考えるとやはり広い部屋である。

 ルラの魔紋はルラの位置から本棚側に2mほどの場所にある。

 これが転移してきたとされる魔紋だろう。

 字が読めないため、細かいところは聞くしかない。



「ミゴさん、この扉はカギは?」



「かかります。

 登録された王の声紋でも開きます。

 事件当時もかかっていて、アル王子たちは数度呼びかけ、最終的にぶち破りました。

 ああ、ちなみにですが。

 今、王の代理をされている元第3王子のハル王代理。

 彼女は別の部屋を寝室にされているので、事件の寝室はほぼ保存されています。

 魔紋はもう消えてしまっていますが」



「ふむ……」



「オータロ、これは私の意見ですが、オータロを攻撃する意図はありません。

 ただ、それでも、同じ情報でオータロが捜査をしている他の者を出し抜くことができるとは思えません

 それは、私のこともです。

 誰が犯人でも構わない、真実にたどり着くべく思考と調査を行っています。

 情報の改竄も無いようにきちんと見張っていました。

 それでもこの1年。

 なんの進展もしなかった。

 状況的にルラ以外の犯人を見いだせなかった」



「ミゴさん、質問」



「……はい、どうぞ」



「殺害に使われたナイフは誰のもの?」



「一般的に売っているもので、寝室にはその刃物はもともと無く、外から持ち込まれたものです

 誰がいつ買ったかまではわかりません

 指紋は王とルラのものが残っていました」



「よし、まずはそれが一つ」



「何がですか?」



「あとで説明します。

 では、次です。

 王様が自害した可能性はありますか?

 魔法なり催眠なりによって」



「催眠は100%ないとは言えません。

 ですが99%ないと思います。

 そこまで有効的な催眠というものは存在を確認されていません。

 魔法は発動時には魔紋が発生するので、仮に自害をするように事前に魔法をかけられていたとしても自害時には魔紋ができるのでその可能性はないです。

 ちょうどオータロとアル王子の任命と同じことですね。

 あと、王自身が王の意思によって自害することも可能性は0に近いです」



「例えば、ルラが王の隠し子で、ルラは認知してもらえないで育ったとかの理由があるとかどうでしょう。

 で、転移で現れたルラにそのことで責められた挙句、突然に自責の念に駆られたとか。

 ……わかってます。

 あくまで例えですよ」



「そういった例に該当するような事実はなかったですね。

 王とルラの関係性でいえば、DNAは全くの他人。

 国宝としての勲章授与の時だけしか直接的な遭遇も認められていません。

 では、その勲章授与に問題があったかというとソレも認められない。

 思想的なものによる犯行。

 それも認められる情報はない。

 むしろ、人々の生活をよくするために魔法を使用しようとしていたもの同士でありました」



「事件の状況的にはルラが容疑者だけど、背景的な因子ではルラは冤罪ということですね」



「……そうですね」



 なるほど、と凹太郎は俯いた。

 思ったよりシンプルな事件構造で助かったと思った。

 こと第一発見者にあたるのがアルディオであるのが大きい。



「あっと、ミゴさん

 王の刺された痕はどうでしたか?」



「2回、同じ場所を刺したようですね。

 王に抵抗の跡はありませんでした」



「そうか。

 ミゴさん、ちょっとここで主題から離れますが。

 いや、主題がこちらなのかな。

 この事件が模したとされる【王と魔女】の絵本の内容を確認したい。

 一度、始めからお聞かせできますか?

 なにぶん、こちらの字が読めないので」



「……。

 いいでしょう。

 それで真実に近づくなら」



 ミゴは机のタッチパネルを操作した。

 映し出されたのは絵本の表紙。

 王と思しき王冠の男と魔女と思しきローブ姿の女が切り絵のようなシルエットで描かれていた。

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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