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異世界に探偵は必要ですか?  作者: アイザック・ゴーマ
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3-2:タンテイⅡ

   3-2:タンテイⅡ




 さてと、と凹太郎はわざとらしく言った。

 



「一応、伝わってるのでしょうか。

 私は今、まずこの世界のことを何でも知りたい。

 ミゴさん。

 誰か、話し相手……または情報を得られるものなんて用意してもらえないですか?

 出来れば街の様子を見に行ったり、ルラと話がしたいところですが」



 ミゴは顔を横に振った。

 そういえば、この世界でもわりと表現は似通っている。

 人体の構造上、近くなりやすいのかもしれない。

 しかし、だからと言って全く同じとは限らない。

 それは元の世界でも同様だ。

 なんてことないピースサインが相手を侮辱していることもあり得るのだから注意しなくては。

 凹太郎の脳裏にそんなことがよぎる。

 ミゴは返す。



「オータロ。

 まぁ、街とルラの件はアル王子に一応取り合ってみましょう。

 無理だと思いますけど。

 とりあえず、皆さんお仕事があるのでね。

 今日は私とテレビでも見ながらお話ししてもらいます。

 私の研究の一環としてね。

 皆さん、もしも、時間空いたら混ざりに来てもいいですよ」



 テレビ。

 テレビはテレビジョンの略語だよな。

 昨日まではこういうのは伝わらないものと思っていたが……。

 段々と、この世界の自動翻訳がレベルを上げているような気が凹太郎はした。

 さておき、ミゴを残して他の方々は皆、はーいと言ってそれぞれの仕事をしに散っていった。

 ミゴはそれを見送りながら、



「さて、オータロ。

 おそらく人体の構成的にはこの世界の人間種とほぼ同じだとは思うのですが、

 文化的な差異はだいぶあると思います。

 まず、食生活なんかどうですか?

 これはこの世界でも一様ではなく個人差があることなんですが、オータロは一日どういう食生活ですか?」



「あ、私の世界でも人それぞれでしたね。

 一般的には朝昼夕の3食でしょうか。

 私は2食だったり、3食だったり、その時々でした。

 昨夜、インスタントカップラーメンを一ついただきましたが、それでも充分なくらいです。

 あ、インスタントカップラーメンで伝わってますか?」



「伝わってますよ。

 昨日よりなんとなく言葉の質が向上してるような気がします。

 なるほど、オータロの食生活はあまりよくないことがわかりました。

 後で3食で用意してもらえるようにポワポとヂィギィに伝えておきます。

 とりあえずですが、私はこれからアル王子にメールを送りに行ってきます。

 その間、朝はまたカップ麺で済ませてください。

 その後、またここに来て待っていてください」



「わかりました」



 凹太郎はミゴが自室(?)に戻っていくのを見ながら、ふと、



(この世界、スマホに類するものがもしかしたらないのか?)



 たまたま、今持ってなかったのかもしれないが、色々と思考してしまう。

 技術が元の世界より進んでいるのか、後ろの方なのか今はまだわからない。

 凹太郎はそんなことを考えながら、まぁ、カップ麺でも食っておくかとあてがわれたブースに戻っていった。


   

   *



 ブースの角の棚にたくさん積まれたカップ麺の一つをとって、お湯を入れる。

 デジタル時計のようなものはあるが、数字が読めない。

 だから、なんとなくの勘で食べる。

 昨日もそんな感じで食べたと思うが、そこまで思考が回ってなかったために本当に適当に腹に詰め込んでたんだな。

 思えば、ポワポが3分といってたような記憶がうっすらあったが、思い出したときにはすでに食べ始めていた。

 麺を噛み噛み、凹太郎は何度も思う。

 本当に異世界に来たのだろうか。

 色々なものを見た。

 元の世界では見ることがなかったもの。

 それでも、ここを異世界としていいのか。

 地球の滅びたあとに残った超未来の地球とか。

 凹太郎の記憶がそもそも何かの間違いで生まれたもので、元の世界なんてないことだってありえる。

 そう、この思考は不毛だ。

 エネルギーの無駄遣い。

 さっさとミゴと話しにいこう。

 なんとなしにカップ麺の残り汁を捨てつつ、そういえば、水道やらの日常的なものはほぼほぼ同じ形状をしているなと思った。

 微妙に、微妙に、デザインが違うくらいで、物理現象として基本同じ世界においてそうなるものかもしれない。

 三角コーナーもあるのだから。

 そうか。

 やけに色んなものことのカタチが元の世界と近いせいで異世界感が薄いのだ。

 いわゆる異世界転生モノは中世ファンタジ-の世界観が多いからすぐに異世界だとわかる。

 要するに文化レベルが同じくらいだとその差異を感じにくいのだ。

 『異世界』というには少し違和感のある……『違世界』ってところだな。

 凹太郎は昨夜、ポワポが用意してくれたいくつかの絵本を手に取った。

 元の世界のハードカバーの絵本と見た目は遜色ない。

 その紙質はプラスチックのような触り心地である。

 文字は読めない。

 それでも、絵があり、文字が綴られているその構成は間違いなく絵本。

 凹太郎はそれらの絵本を抱え、研究室の入り口側広間に戻り、ミゴを待つことにした


 

   *



 研究室の入り口側広間。

 改めて周りを見渡した。

 朝は寝ぼけ眼でそこまで意識もはっきりしてはいなかったからだ。

 10畳ほどはある空間。

 真ん中に座り心地の良さそうな長いソファが向かい合うように2つ。

 その間にテーブルがあり、2メートル×0.5メートルくらいで楕円状。

 磨かれた石のような、透明感があるような風合いだ。

 広間は円状にガラスのような敷居で区分けされており四方に大きい通路が開いて他のブースや部屋に続いている。

 昨日ミゴと話したのは入り口からこの広間に入り、左の通路から出てさらに左に曲がったところにある小さなブース。

 そこは外から見えない壁で仕切られていた。 

 そういった、外から見えないようにしてる部屋はいくつかあるが、わりと広間から作業者が見渡せるようである。

 見えない部屋は研究室の壁際に点々とあり、入り口対面の壁側にミゴの部屋。

 左壁に凹太郎が寝たブースと大きめのブース。

 右側にもあと4つある。

 実験用の部屋か何かだろうか。

 さらに作業場もガラスの壁で区切られているようだ。

 広間から、先に挨拶した、メパ、ガムニ、テージがパソコンで作業している姿が見えた。

 広い研究室だが、それぞれの専門分野が作業するには狭い気がする。

 もっと、専門的なものは別に部屋があるのかもしれない。

 凹太郎はソファーに座った。

 同時くらい、ミゴが自分のブースから出てくるのが見えた。

 凹太郎は周りを見渡せる余裕が自分に生まれていることに気づいた。

 そして、一つ深呼吸をして思った。

 さて、そろそろ探偵やりますか、と。

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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