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異世界に探偵は必要ですか?  作者: アイザック・ゴーマ
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2-5:魔捜研Ⅴ

   2-5:魔捜研Ⅴ




 「ばーん!」と音を声にして入ってきた。

 その声は甲高く、小さな子供のものに聞こえた。

 テコテコと音がして、凹太郎とミゴのいるブースの前までソレは来た。

 ソレは小さな女の子だった。

 小学生の低学年くらいに見える。

 茶色の、足ほどまである長い髪は巻き毛っぽくボリュームがあり、後ろから見たら髪の毛の化け物みたいに見えそうな子だ。

 前から見ると、その姿は白衣を着ていておそらく研究室の人間なのだろうと思われる。

 活発そうな表情にとんがった耳が特徴的だ。

 


「お?

 おお?!

 こいつかあ、ミゴ!

 例の奴はぁ!」



 凹太郎はミゴに視線で説明を促す。

 ミゴはわかりましたと、



「彼女はここの研究員、『ポワポ』。

 『ポワポ・ラインデン』。

 『ワーニア』という……そうですね、凹太郎のような人間を基準としたならその何倍も生きる種族で、うーん見た目でいうと耳の長さくらいでしたでしょうか。

 あと、魔法の素質がある人が多いですね。

 ポワポ、こちらが異世界からやってこられたというオータロです」



 凹太郎はポワポが自分の世界でいうところのエルフに近いのかもしれないと思った。

 いや、ドワーフとかだろうか。

 そこら辺のファンタジー民族の定義は凹太郎はよくわかっていなかった。

 ポワポは元気良い子供の様子まんまで、



「ははは!

 冴えない顔だなぁ!!

 オータロか!

 これからいっぱい研究してやるからな!!」



 別にどうでもいいかと思って訂正しなかったが『オータロ』が広まってしまうなぁ。

 凹太郎はそんなことを思いながらも訂正はせず、『研究』という単語を拾った。



「ミゴさん、私は解剖とかされるのかい?」



「まぁ、仮に死刑に決まったら全力でその遺体は引き取ってあげようと思いますよ」



 ミゴは常に真顔なので一見ボケが分かりにくいのだが、だんだんとわかってきたように凹太郎は感じた。

 凹太郎は改まって、



「一応、自己紹介を。

 藤原 凹太郎。

 24歳。

 しばらくこの研究室でお世話になります。

 よろしく、ポワポさん」



「おう!

 オータロ!

 ポワポはポワポ・ラインデン!

 1027歳!

 よろしく!」



 思った以上に年の差あったなぁと思いつつ、少し異世界みを感じて嬉しくなる凹太郎であった。

 そんなやりとりを眺めてたミゴが、



「というわけで、ポワポ。

 オータロの必要なものの手配をお願いします。

 基本、仮眠室を改造して部屋にしてもらって。

 ああ、なんか必要だったらヂィギィに言って、研究費からで構いません。

 ご飯は人間食で一日1000ベルフ内、買い置きでスープ麺をいくつか。

 ポワポのお菓子は買っちゃ駄目ですよ。

 ……舌打ちするんじゃありません。

 あとは任せます」



 はーいと、元気なのか少し不貞腐れているのか微妙な返事をしてポワポはどこぞにトコトコ向かって作業し始めたようだ。

 さて、とミゴは伸びをして、



「そろそろ、私の活動時間が限界なんです。

 続きはまた明日にしましょう。

 あ、この研究所からは出ないでくださいね。

 何かあっても……まぁ、あったらあったですが、とりあえず、この部屋内は私のテリトリーなので責任もちますよ。

 外出ると普通に連れ去られたり、洗脳されたり……いろいろされるかもしれません。

 あ、これは冗談ですけど。

 では、あとはポワポに聞いてください。

 ポワポー、あとは宜しくお願い致しますねー」



 そう言って、ミゴは部屋の奥にあるブースに去っていった。

 凹太郎は一つ息をついて、せっせとあちらこちらに物を移動させているポワポを眺めながら、



(色々あったな。

 ……少し考えをまとめておこうか。

 まず、現在の状況。

 事件の重要参考人……真実にはそうではないが、そういった位置にいる。

 アルディオ王子との契約というものによって何かしらの派閥に所属した。

 容疑者とされるルラの無実または減刑をなんとか証明したい側だと思われる。

 探偵という仮の役目を得ることで一応の安全を確保した。

 探偵としての仕事は期待されていない。

 ひとまず、この研究室が居場所として与えられた、と。

 さて、俺はここからだ。

 それでも、いくらか助かったところはあるな。

 この世界が本当に何でもありな魔法の世界でないのは本当に助かった。

 あと、ある程度のきちんとした司法が望めそうなことも)



 ポワポがいつのまにか凹太郎の目の前にいた。

 準備が終わったのだろうか、凹太郎が聞こうとするとポワポが先んじて、



「終わったよ、オータロ!

 こっちきて!

 こっち!

 こっち!

 ここ!

 この部屋!!

 ……ここで寝て!

 ご飯は~~~ここのやつ!

 わからないかも?

 えーと、これでお湯出して、こうやって、フタして!

 3分待って、出来上がり!

 おトイレはここをずっと行ってあっち!

 あとオーケー?」



 ポワポに連れられたのは研究室の入り口から左壁面側にある6畳ほどのブース。

 ミゴは入口から向かい側の壁側にあるブースに入った。

 物理法則もそう違わず、科学技術が魔法より有用で、発達しているのであれば食もそうそう開発進度の違わないんだろう、カップ麺やポットとか見慣れたものばかりがある。

 こういうものを見るたび、異世界っぽさが消えて凹太郎自身の脳の問題なのではという可能性の割合が増すのだった。

 凹太郎はあてがわれたブースに入り、簡易式のベッドに腰を下ろし、



「ありがとう、面倒かけました。

 ポワポさん、あなたはがミゴさんの助手なんですか?」



「ん?

 いんや?

 ポワポはミゴの助手じゃないよ。

 部下ではあるけど。

 ここの研究室は『王国直下の魔法開発研究所』と『政府直下の魔法捜査研究所』を兼ねているんだよ。

 私は後ろの方で、ミゴとは上司と部下の関係かな。

 ……まぁ、実際そんな違いはない気もしなくもないかも?

 やってることかわんないし?」



「へぇ。

 ありがとう、わかりやすい。」



「へへーい。

 多分、今日は皆帰らないけど、明日……も、全員は帰ってこないかな?

 まぁ、今はルラちゃんのために皆がんばってるからね!

 仕方ないね!」



 話すうちに只のロリではないと感じられて凹太郎は安心した。

 しかし、1000歳超えてる割には精神は未熟なようだ。

 凹太郎はそんな考えは表に出さず、



「ポワポさん。

 ルラちゃんのためって今言ったよね。

 ルラという女の子は実際、どんな子なんだろう」

 

 

「ルラちゃん?

 すっごいよ!

 元々、魔法使いの家系なんだけど14歳にして国宝級の魔法使い。

 ルラちゃんのおかげで救われた人々もたくさんいる。

 だから、伝説の魔女の再来って言われてたし、ああ、伝説の魔女って昔にこの世界を救ったという魔法使いだよ。

 まぁ、その人間性は少し問題ありなところもあるといわれるけど……。

 だけど、王様を殺すような人じゃないしそれに……」



「それに?」



「私の友達!」



 ポワポは満面の笑顔で言った。

 凹太郎はその様子に安心した。

 人間、いや、この世界はいろんな種族がいるから……総称して【ヒト】とする。

 ヒトは何があるかわからない。

 今、目の前にいる少女ですら昨日誰かを殺してる可能性だってなくはない。

 だから、可能性を0にすることは出来ない、それでも、ポワポの様子からして凹太郎はルラはほぼほぼ冤罪だと思った。

 いや、そう信じたかっただけなのだろう。

 そう自分を戒めて凹太郎は、



「そうか。

 なら良かった。

 ……そうだ、この世界に関する簡単な書物を貸してくれないかな。

 文字が読めないから絵が多いやつがいい。

 マンガがあるとなお良いんだけど」



「うん?

 わかった!

 資料用の絵本とかでいいかな?

 『マンガ』ってのはよくわからないけど、絵が多い本がいいんだね?

 映像資料もつけとくね。

 使い方はあとで教えてあげる」



「ありがとう。

 ……ん?

 ちょっと待って、ポワポさん?

 今、なんて?

 『マンガ』がよくわからない?

 ちょっと書くものあるかな?

 ……ああ、ありがとう。

 うん、インク式のペンも紙もあるんだな。

 ……マンガってさ、こういう紙に枠を描いて、中に絵とセリフとか文字があって、この枠がいくつか紙内に連続してあるやつ」



「?

 へぇ?」



「なんと?!

 無いの?

 本当に無いの?

 マンガ?

 これだけ科学が発達してるのに??」



 そういえば、異世界ものの作品で作品内にマンガって見たことなかったなぁと思う凹太郎であった。

アイザック・ゴーマの小説挑戦作だぜ。

誤字、脱字は随時修正していくぜ。

特に見ても面白いことはやりませんが、Twitter、チャンネル登録もよろしくだぜ。

リンク貼っていいかわからないので、興味がある方は検索してみてだぜ。

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