弟子探しの少女たち
ちとメタいとこありますねぇ
「あの…。その【伝説のエディター】って何?」
そう俺が尋ねると、2人は蛇に睨まれた蛙のような顔をした。実際に蛇が蛙を睨んだ瞬間見たことないし、勿論比喩だけど。
「…ねぇイミナ、これってマズイんじゃ?」
「えぇ…記憶喪失でもしてるのかしら。…ねぇ、貴方、私たちと会う前に強く頭を打ったりしなかった?」
打ってないと答える。まず俺の防御力で頭を強打したら多分死にます。
「…えっと、そんなにヤバいことなんですか?」
「ヤバいどころじゃないわ…そこまで知能が低かったとは」
「なんであの方はこの人を弟子にしたんだろうねー」
まず何故俺が誰かの弟子になっているということが前提で話が進んでいるのか。もういいや、真実を言おう。
「自己紹介してませんでしたね。俺の名前は黒枯。転生者であって、決して誰かの弟子になった覚えはありません。第一、今日転生したばかりですし。以上」
よし、3行以内に纏められた。完璧だろこれ。
「…まさかの転生者だったとは。疑って悪かったわね」
あれ、俺が転生者である証拠とか何も提示しなくてもなんか信じてもらえたんだけど。ラッキー。
「おにいさん、転生者なの!?」
おぉ…なんか食い気味だな?
「アザナ、あまり困らせるものじゃないわ」
手のひらドリルですか?
「…俺が転生者であるという証拠とかって何も出さなくてもわかるものなんですか?」
2人で口論している間に割って入る。なんか第三者から見れば【百合の間に挟まる男】みたいになっちゃうな。殺されそう。
「まあ、ある程度は、ね。転生者は皆、独特のオーラを放っているの。…でも、貴方は例外。さっき私たちに【自分が転生者である】と言うまで、私たちにはそのオーラは見えず、かわりに別のオーラが見えていたの」
「それが【エディターのオーラ】だよっ!」
「アザナ、何故私のいいとこばかり取っていくの?」
イミナさんも大変ですなぁ…。
「貴方のスキル、恐らく【編集】でしょう?そのスキルは限られた者しか持てないの。…それが、【伝説のエディターの弟子】。だから私たちは勘違いをしていたという訳」
中々面白いな。ただ、異世界モノの設定としては些か足りないものがある気がする。
「弟子…ってことは、師匠がいるんですよね?その師匠って今は何処に…」
「…数年前に、亡くなっているわ」
!?
「心筋性の病気でね。だから私たちは、各地に点在する弟子を探し求めていたの」
ふむ…数年前の人に言うのもあれだがとりあえず。ご冥福をお祈りします。
「ところで、弟子って今までで何人見つかったんですか?」
「各地を探したけれど、貴方が初めてよ」
…あっ(察し)。
とがあき