1. 転校生
久しぶりの投稿です。
プロローグもあんまり書けなかったし、文字数どんくらいがいいのかなって悩んでます…‥‥。
私立夜桜国府学園
特に有名ではないし、ごく一般の私立学校だが、特徴的なのはこの学園に通う約三割の生徒がワケありだということ。
捨て子、親が犯罪者、両親他界、人的障害などなど挙げれば挙げるほどワケありの生徒が多い。
残りの七割は?というと、ごく一般の生徒である。確かにワケありの生徒が多いこの学園であるが、偏差値は県内で三位だということで、意外といい学校だからという理由でこの学園に入学する生徒は多い。
『差別のない社会の第一歩』という校訓を掲げる以上この学校のコミュニケーション活動や行事は多いらしい。
そんなごく普通?の学園に見知らぬ美しい顔が増えることになる。
「ねえ、さっきの子見た?めちゃ可愛ない?」
「見た見た。綺麗な黒髪だよねー」
廊下を歩く生徒、そんなありきたりな場所でさえいつもと違う空気となりいつもより華やかに暖かい雰囲気に包まれている。
「はーい。今日は転校生を紹介しまーす。」
「今日からこの学園に転校することになった。園条亜里沙です。一日遅れまいたが、これからよろしくお願いします。」
「はーい。それじゃあ園条さんは左後ろの席空いているからそこ座ってね。」
「細かいことは隣の血辻君に聞いてね。いいね血辻君」
「いやです」
「またそんなこと言って……それじゃあ後で職員室ね」
「……」
折角、この教室に新しい花が咲いたというのに、血辻の態度によってその花は一気に散ってしまった。
なぜ、園条の隣が血辻なのかと言う苛立ちの声があちこち陰で聞こえる。席変わってくれるなら変わってほしいくらいだ。
確かに園条亜里沙は可愛い。長くさらっとした黒髪、薄く透き通った白い肌に桃色の唇、スタイルはもちろん肉付きもいい方だ。編入試験ではすべての科目満点、成績優秀だともいう。これで惚れない男はいないだろし、その分嫉妬の空気が入り乱れるだろう。
ホームルームが終わり、紅は職員室に連行されていった。
担任の朱莉先生は血辻が職員室には来ないことは初めから知っていた。
いつも休み時間は読書で時間を潰し、気が付いたら「忘れていました。」でいつも済ます。それ程、彼には人への関心が欠けているのだ。
だからこそ、首根っこ掴まれて引っ張られている姿は珍しくない。
むしろ見慣れた光景である。
そして、職員室に入るとつい最近見た顔がそこにあった。
「そんで、先生。何か用ですか?先に用事があるようなら帰りますよ。」
「えっと、用事があるのは私じゃなくて、そこの園条さんなんだ。」
「昨日は、助けていただきありがとうございました。」
「………何の事?」
「えっと、昨日川で溺れた時、助けてくれましたよね?ほら、学生証ありますし。」
確かに、昨日どこかで胸ポケットに入れていた学生証がない気はしていたが、まさか、あの時落としていたとは、物事を気にしてないせいか全く気付かなかった。
「学生証どうも、ではこれで…」
「ちょっと待ちなさい」
園条さんの礼の用事が済んだと思い、紅はすぐ職員室を出ようと先生の前から立ち去ろうと思たが、先生にまたもや首根っこを掴まれ、引き留められる。
「なんですか、先生まだ何かあるんですか。」
「いや、すまんすまん。朝にも言ったが、園条の事はお前に任せようと思うんだが」
「朝も言いましたが、嫌です。」
「理由を聞こうか?」
「俺、来週で学校辞めるんで」
「……え?」
急な報告のせいか、職員の先生達の驚きは凄まじいものであり、声を上げ驚く先生、驚きのあまり声が出なくなった先生、また、コーヒーを吹く先生なんかもいた。
「え、ちょっとどういう事。何か、学校に不満あるの?」
「首根っこ掴む先生に不満がないと言われれば嘘ですね。」
「ごめんなさい……」
「まぁ、冗談ですけど。辞めるのはもう決めたんで。それでは、」
紅が、その場を離れようとした瞬間、先生は一息入れて、
「……それじゃあ、あんたたち、付き合いなさい」
「「は?」」
二人とも言葉を失う。
当たり前だ。急にわけもわからないまま付き合えという無茶ぶりに対し、紅に関しては「なぜ、そういう答えが出たんだろう」と疑問に思うばかりで、言葉が出ない。
「意味不明なので帰ります。」
そう言って、紅はすぐさま職員室を出る。
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「なんかごめんね。あんなこと言っちゃって」
紅が職員室を出て少し時間を置き先生は円条に謝った。
「はあ、急に変なこと言いますから驚きましたよ。でも、なんであんなことを……?」
「彼、ずっと一人だったから。彼自身が人を避けてるのは分かっているけど、そろそろ人と関りを持って欲しいなって思って。」
だからって……
「自分が周りの人を切り捨てて、一人でいる事を了承するという事は、自ら心を殺すことと何ら変わりはない。心は物語を読んで自然にできるものじゃない。人と人とが関り深まり、与え与えられてでき始めて出来てくるんじゃないかと思っているの。
彼が卒業まで一年もないんだろうと思うんだけど、それでも心だけは何かを得たとはっきり言えるよう卒業してほしい。私の早とちりで不快にさせたでしょう。本当にごめんね。」
すごいな。さっきまで、明るく能天気に話しているのだと思ったけど、そこには大きな意図があった。彼に人の温かさを教えたい。誰かと関わらせてあげたい。そうすることで心が少しづつ出来ていくのだと信じて彼と接しているのだ。
「先生って意外と良い先生なんですね。」
「ひどいなー。先生はとても優しい先生だからね。
それで、血辻君の事だけど、出来れば仲良くなって欲しいけど、無理しなくてもいいから、できれば気に掛ける程度で。」
生徒に無理強いは出来ない。そういうところも優しいんだと、つくづく思ってしまう。
「わかりました。何とかやってみます。」
続きお楽しみに
ほんとに文字数どんくらいがいいんだろう?