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sideシン
まだ確証は無いが、犯人はあいつで間違いないだろう。俺1人で動けばボロが出る可能性が高い。あいつらには悪いけど事件解決の為に手伝って貰えるよう頼んでみよう
「そうと決まればまず屋敷に一旦戻らなければなお願い事は直接言いたい主義だし」
そう呟き、優秀な部下たちが住む屋敷へ今日訪れることを知らせる。
「いきなりで済まないが今日屋敷に寄ろうと思っている。いきなり俺が行ったら変に気疲れする者も多いだろうから先に連絡を入れておくよ」
そう手紙に書き記し、魔法を施して手紙を屋敷へと送った。
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屋敷には何百名と人がいるが、今その全員が膝を着いて頭を下げている。そして程なくして、メイド長と思わしき銀髪の女性が代表して主人への挨拶を行う。
「お帰りなさいませ我らが主様。我等一同主様の帰りを心待ちにしておりました」
感極まった様子で涙を流し、そう俺に挨拶してくるのはメイド長兼組織の頭脳として働いてもらっているアルジェだ。
「みんな久しぶり。いきなり訪ねてしまって申し訳ない、君たちには自由に生きてもらいたい。そう思って自衛が出来る力を身につけさせここに住まわせた」
「はい、未来に希望など無い、主様と出会う前なら自害を考えていた者達ばかりです。ですがそんな私たちを主様は救って下さった」
真剣な表情でアルジェは続ける
「主様がここを訪ねられたのは、我々がまた主様のお役に立てる時が来た、そういうことですね?」
申し訳なさそうにシンが打ち明ける
「最近学園で起きている事件がある。その事件俺は何か大きな組織が関わっているのではないかと睨んでいる。この屋敷にいる人探しに優れた者に給料を出し事件の詳細を追っているが未だ足取りは掴めていない。だがらまた君たちの力が必要になると思う…前回に引き続き申し訳ないが俺に協力してくれないか?」
すると先程まで静かだったアルジェ以外の屋敷のもの達が口を開く
「何を水臭いこと言ってるんですかい旦那!俺たちは旦那に救われた時、旦那の為なら命を懸けてでも役に立ちてぇと決めてるんだ。ここにいる全員がそう思っているはずだぜ?」
「そうです!ご主人様の為なら私なんだってやります」
「ボスの力になれるなんてこれ以上無い幸せだ」
「俺達だってこの島で鍛えてそれなりには強くなったんだ!旦那の役に立てるはずさ!」
俺は心優しい部下たちに感謝の言葉を述べる
「ありがとう、前回の赤月事件の時のようにローブを纏い、正体がバレないようにしてくれると助かる。」
屋敷の者たちが主人のために動く
血月事件については閑話などでかけたら書こうと思っていますが。大まかな概要だけ説明します。
キーン王国にてネクロマンサーが現れ大量のアンデッドモンスターを発生させたことにより、多くの家畜また奇跡的に少ない数ではあったが人間が犠牲となった。
これだけの被害で済んだのはシン率いる屋敷のものたち(王都の人々にはローブの英雄と呼ばれている)の活躍があっての物だ。