表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢はざまぁを夢見る  作者: チョコころね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/95

93.アラサー令嬢は反省する

…必要はない。かも?


 教室までの間、視線は感じたがそれほど不躾なものはなかった。

 歩くほどに、生徒の数が減ってきたのもあるのだろう。

 1年のAクラスは、廊下の突き当たりにあった。


「シャーロットとジャックは、教室は初めてだね」

昨日(さくじつ)は、自己紹介とか…名前を呼ばれたりは、なされましたか?」


 私の質問に王子は首を振った。


「皆、わざわざ名乗らなかったし、昨日は出席も取らなかったよ」


 ゲームにも『自己紹介』シーンはなかったなと、思っていると目的地についた。


「ここだよ」


 教室のドアは、外側に開かれていた。

 シリウス、王子に続き、少し緊張しながら入ると、教室の後ろ側のドアから入ったにも関わらず、中にいた生徒がいっせいにこちらを見た気がした。


(はわわ…)


 仕方ないとは思うけど、早く座ってしまいたい。


「どこに座ればいいのでしょう?」

「好きな場所でいいみたいだ」


 教室は、階段状になっていて、一つ一つの席がとても立派だった。


(昔のヨーロッパの議会場みたいだ)


 階段教室はスチルでも見たけど、全体的にキラキラしていたせいか、こんな重厚な感じはなかった。


 前方にある黒板を見ると、前の方の席にキャロルらしきストロベリーブロンドが目に入った。

 何人かの男子に囲まれている。


(かわいいし、光の精霊の守護持ちだし当然だなー)


 なんて考えていると、彼女がこちらを振り向いた。

 目が合った途端に、花が綻ぶように笑った美少女に驚く間もなく、彼女はささっとこちらに向かって歩いて来た。


「シャーロット様…!」


 その勢いの良さに、思わず一歩後ずさってしまった。


(なぜこっちに来るの!? 隣に王子もシリウスも、ついでにジャックもいるのよー!)


「…キャロル様、おはようございます!」


 とりあえず挨拶を口にすると、キャロルはハッとしたように口元に手を当てた。


「お、おはようございます、シャーロット様…」


 恥ずかし気にうつむくキャロル。

 少しかすれた声はセクシーで、笑顔にエフェクトがかかって見えた…


(…やばい、何この破壊力。さすがヒロイン…!?)


「おはよう、グレーテル嬢」


 私を押しのける様に出て来たシリウスに、あわててキャロルの正面を譲る。


「おはようございます、クロフォード様」


 シリウスにも、笑顔で挨拶するキャロル。


「おはよう、グレーテル嬢」


 シリウスとは反対側から出て来て、同じように私の前に立った王子が、笑顔で挨拶をする。


(わぁ、キャロルに挨拶するのを争ってる!)


 昨日1日のあんな僅かな時間で、この2人に好意を持たれるヒロインの潜在力に感心するしかない。


「おはようございます、エメラルド殿下」


 キャロルは、落ち着いた様子で挨拶をした。


(王子様を前に堂々としている。大物だなぁ)


 等と考えていると、シリウスと王子の隙間から私を見て、彼女は少し声を潜めて聞いた。


「シャーロット様、昨日はお世話になりました…あの、お体は大丈夫ですか?」


 あ、そうか。

 心配してこっちに来てくれたのか!


「平気です、有難う」


 私がそう告げて笑うと、彼女は胸に手を当ててほっと息を吐いた。


「よかった…私が以前、森で転んだ時は、次の日に体のあちこちが痛くなったものですから」


 そういえば…と、己が全然筋肉痛になっていないことに気づいてハッとする。


(ジャックを下敷きにしたから…?!)


 気づいてジャックを振り返ると、ジャックは爽やかに笑っていた。


「私も大丈夫ですよ、シャーロット様」

「そう、よかったわ…」

「君と彼とでは、鍛え方が違うよ、シャーロット」


 シリウスが慰める様に云うが、違うのだ…

 キャロルは、きちんと気遣えるというのに、私はジャックに助けてもらったことすら忘れてた。


(――ダメじゃん!)


 昨日のイベントは、全部終わったと思ってたから…。

 色々あったし…。


(いや、あれだけ大きい出来事を忘れちゃダメだよ、私…)


「本当に気にしないでください。訓練では、盾を持った男性を支えることもあるので」


 あれくらい軽い、と示されたが良心がチクチク痛んだ。

 しかし、ここで謝る訳には行かない。


(私がジャックに謝ったら、キャロルもまた、私とジャックに謝り始めるだろう)


 私は、もう(なるべく)迷惑かけないからね!、という決意を込めてジャックに頷いた。


(あれ?ジャックの顔が少し赤い…あぁ)


 キャロルが、ジャックの方を見ているのに気づいて納得する。

 

(見つめられただけでね、純情だわ)


 さすが脳筋設定というか…


「シャーロット、そろそろ先生が来るよ?」


 呼ばれて、そちらを振り向くと、王子様は近くにある空席を指した。

 教室の真ん中の後ろの方である。


「はい…あ、キャロル様も一緒に座りませんか?」


 ぱっとキャロルの表情が明るくなった。


「はい!ご一緒させてください」


 ジャック、王子、シリウス、その前列にキャロル、私という並びで座ることになった。

 他の生徒達も、思い思いの席に着いた。


 席は多めにあるようで、私の隣も空席だし、所々に空きがある。


 ゲームだと、シャーロットが、『平民と一緒に座るなんて汚れるわ!』とかなんとか言い出して、周囲までそれに迎合するような感じになっちゃって…その結果、庇うように、王子が自分の隣にキャロルを座らせたのよね。


(隣とまでは行かなかったけど、まぁこれでも充分近いわよね!)


 私は、結構いい仕事をしたと思っていた。





…シャーロットは昨日ジャックに謝り倒したし、キャロルさんはジャック君を気遣ってません…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 続きが読みたいです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ