表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢はざまぁを夢見る  作者: チョコころね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/95

27.アラサー令嬢の茶会状況



 宰相の書庫……さすがにカギはかかっていただろうに。

 どうやって開けたかシリウスに聞いたら…


「あ、水の精霊に頼んだ」


 精霊様ーーーー!

 

「水がカギの形になってね、あれは便利だよ!」


 シリウスーーーー!!


「なんでも頼んでみるもんだね!」


 王子様ーーーー感心している場合か!


「シャーロットが闇の精霊に、いろいろ頼んでるの思い出して」


 えっ? 私のせい?!?

 そっか……少し反省しました。






「とりあえず、ハーロゥ公爵はご自宅か、孫娘邸かに詰めてるの?」

「しばらく付きっきりかもね」


 子どもの親にしてみれば、うっとおしい爺さんだろうな。気の毒に。

 王子は、軽くうなずいて提案した。


「ならちょうどいいか。城に来ない?二人とも」


 確かにじーさん公爵と顔を合わせるリスクがないとはいえ、あんな(弟王子の)話聞いた後だと即答いたしかねた。


「何かお城にあるの?」


 丸いジンジャークッキー片手に、シリウスが訊いた。

 ちなみにプレーンのクッキーに、『ショウガ混ぜてみない?』と屋敷の料理長に提案して実現した、当家オリジナルだ。


 きっかけは、風邪ひいた時に出てきたレモネード。

 熱でぼーっとして


これ(レモネード)にショウガ入れるともっと温まるのよぉ……」


 と、つぶやいてしまったらしい。

 試したら、屋敷の人間やその家族にも効果てきめんだった。


(あの時、風邪が流行ってたのよね……)


 サリーや皆に感謝され、調子にのって


「ショウガはクッキーに入れても美味しい……と本に書いてあったわ」


 と言ってしまった。

 そこから、料理長と厨房スタッフの試行錯誤が始まり、その結果、美味しいクッキーができました。


 結果オーライ。

 言ってしまってよかった。

 

(料理長との繋がりも出来たし!)


 また、手に入りそうなお菓子材料を思い出せたら、作ってもらうのだ!

 それにしても……


(今になって、料理もお菓子もろくに作らなかった過去が惜しいなんてねー)


 ……こちらで食べるジンジャークッキーは、甘くて、ちょっと切なくなる味です。



 王子もクッキーを一つ、手に取る。

 ちなみに当家(うち)のクッキーは、王子とシリウスにも好評で、今日もおみやげとして用意している。


「城の宝物庫の方に、シャーロットと同じ銀髪紫眼の肖像画があったんだ」

「え? 何で宝物庫?」

「肖像画の間の絵画は、以前見せていただきましたよね」


 シャーロットママの、お祖母様、ナディア・シメイ王女の肖像画を見せてもらったのだ。

 王女様は、後に王様になった兄王子と一緒に描かれていた。

 よく似た美形の兄妹で、目の保養だったけど、同じ銀髪紫眼でも色味が微妙に違っていた。


(兄王子の色の方が、よりシャーロットと似てる気がした)


「王家によく出るのかな? 銀髪紫眼」

「いや、肖像画の間には、アルフレッド陛下と妹姫しかいなかったよ」


 あの部屋には5~6代分の王家の肖像があったんで、2人しかいないというのは…


「少ないのですね」

「うん。宝物庫にあったのは、肖像画というか、片手に乗るくらいの箱の表面に描かれているんだ」

「あぁ、宝石箱?」


 宝石箱の蓋部分に、丸く女神様みたいな絵が入っている意匠は、前世で見たことがある。


「キレイに磨いてあったけど、ほとんど装飾のない木製なんで、宝石箱っぽくはなかったかなぁ」


 確かに。

 お母様が持ってる宝石箱を見せてもらったことがあるが、箱の周りにも優雅な細工が施されていた。

 一緒に見ていたアマレット姉様が、自分も欲しいって言ったら『お嫁入りの時に持たせてあげますよ。シャーロットもね』って言われたっけ。


(その言葉に、姉様はうっとりと妄想に浸ってたっけ…)


 何か怖いこと言ってたけど、私もお母様も(ついでにメイド達も、礼儀正しく)聞こえない振りした。

 慣れてきたなぁ、としみじみ思う。

 それにしても、果たしてシャーロット(わたし)は、嫁入りできるのだろうか?

 できるとして、誰と?


(うぅ、王子と破談になった令嬢を拾ってくれる先で、肩身の狭い思いはしたくないし…)


 一番の希望は、家庭教師の先生みたいに上の学校行って、歴史とか魔法の研究したいなぁ。

 

(そのためには勉強と……破滅回避よね)


 王子とシリウスに関しては、()()()()()()()()()()()()()()、この先も友達でいてくれると思う。

 他の攻略対象の人たちは、学園に入ってからかな。


(対策と言うか……なるべく疎遠でいられますように)


 神様へでも精霊王様へでも、真面目に祈る。

 これがヒロインだと、学園での出会いの前に『実は子供の頃会ってた』→学園での再会は運命だ!みたいな、(ヒロインなら)心躍るイベントがあるんだよね。


(『フィアリーア』には無かったっけ……いや、待てよ。王子とシリウス以外のルートであったかも)


 自分がプレイしなかっただけで。定番だし。

 案外、今頃どっかの街角で、ヒロインと誰かが会ってるのかと考えると、不思議な気分だった。





お菓子もいいけど、一番食べたいのはクロワッサン。

とにかくバター使えばいい…までは、分かっているアラサー・シャーロット。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ