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堕ちたエデン

作者: ふか

人は後悔をしながら成長する生き物だ。そして、過去の後悔を笑いながら話す人もいる。当時は笑えるような状況じゃなかった癖に。学生時代というのは基本的に喜怒哀楽の絶えない生活である。社会人になった今現在でも学生時代に戻りたいという人は少なからずいるのではないか。僕もその1人だ、しかし、僕の場合は楽園のような楽しい学生生活をもう一度謳歌したいというような理由ではない。僕はただ、後悔をしないように学生生活を送れればそれでいいのだけれど、そんな手が届くはずもない願望は叶うはずもない。だから、僕のような悔いのない生活を送ってほしいという願いを込めてこの話をしよう。

2003年5月24日

青春、それは恋愛をする事である。と、捉える人が多いのではないか。僕、霧島洋平はそのような事は残念ながら1度もない。恋心を抱いている人はいる。だが、それは片想いの可能性がたかい。いや、可能性という希望はもうここで捨てておこう。青春は恋愛全てではないはずだ、人それぞれの解釈があるに違いない。

「はいはい、つまんない夢物語を語ってないで早く帰ろようよ」と冷たく僕の心の声を遮ってきた。この女子大生をここでは'K'とでもしておこう。中学一年の時に隣の席になった事がきっかけで知り合いになった、そして高校で別々の道に行き、まさか大学で再会すると思ってもいなかった。陰の世界の住民からしてみれば、こんなにもキラキラした女の子と仲良くなった事を疑われるかもしれないが、ここは僕の初めて挨拶した時の巧みな話術がこの仲をを結んだと思ってほしい。そして、僕はKに恋心を抱いている。

「ちょ、せっかく語ってたんだから遮るなよ」

「あ、帰りにコンビニ寄って帰ろうよ」こいつには、僕の声が聞こえないのか、心の声は聞こえるくせに。とは、思いつつも一緒に帰れることに一喜一憂していた。が、好きな人と二人きりでいるというのは嬉しい反面、少し気まずい気にもなる。

「.........。」

会話がない。いや、待てよ、向こうも何も話しかけてこないということは、そういうことか!?

「あ、あのさ、コンビニで何買うの?」

先手必勝と思い話しかけてみたが、しまった。ただのテンパってる人になってしまった。

「ん?あ、いやまだ決めてないよ」

何故か妙にはぐらかされた気がする。お馴染みのあの音楽を聞きながら入店した。

「このプリン食べたい!」

「え?なに?僕が奢るの前提!?」

そうだった、Kはプリンが好きだったんだ。誕生日5月28日に駅前の高級プリン'天国プリン'をプレゼントしよう。

しかし、今はそんなこと考えてる暇はない、さっき抱いた、もしかしたら!?の感情は何一つ忘れてない。さあ、拍車をかけていこう。

「奢ったんだからひと口くれない?」

さあ、どう来るか。まずはジャブだ。照れるのか、それても怒るのか。

「いいよ!はい!」

「やっぱダメかー」

ん?咄嗟に返事したが、今なんて言ってた??許諾してなかったか??

「だから、あげるって!」

Kは笑いながらプリンを乗せたスプーンを渡して来る。

ジャブを入れたつもりがから振ったのか。ただ恥ずかしい。

「じゃ、じゃあ頂きます。」

なんだこれは、某アニメのからかわれ上手みたいじゃないか。

「ねえ、今日家まで送ってくれない??あ、ダメならいいの、、」

まて、これはやっぱり何かある。これからどんないいイベントが起こるのか?と思いつつも妙に嫌な予感もした。

そして、Kの家に着いた。

「今日は、本当にありがとう!楽しかったよ、、」

「また明日な!」

最後の'楽しかった'が若干元気がなさそうに見えたが、僕は深くは考えなかった。この先何が起こるかも分からずに。

「今日のKはなんだか変だったなあ。いつも家まで送ってとか言ってこないのに。」

そして僕は寝床についた。


5月26日

今日は目覚めがよかった。昨日の事もあり、今日はやけに学校が楽しみだった。アニメによくあるパンを咥えながら家を出るというおおちゃくはしない。

というより、普通に時間があったので、優雅にコーヒーでも飲みながら新聞は読まずに、朝のニュースを見ていた。

「げっ、魚座最下位じゃんか」

僕は思う。星占いは見なければ特に何も不幸事が起こらないと思う。しかし、その星占いを見たことによって今日は不幸事が起こるという先入観が与えられ、負の感情から不幸事に巻き込まれるのではないかと思っている。まあ、いいか。

今日は思い切ってKの家まで迎えに行ってみようか、いやでも、こちらからそんなことを言ってしまったら、まるで僕がKのことを好きみたいになってしまうじゃないか、好きだけど。

そうこう考えてるうちにKの家まで来てしまった。

「やっぱやめておこう」

何やってんだ僕は。

「何してんの?」

と笑顔でどこか悲しそうな顔をしたKが玄関から出てきた。しかも、食パンを咥えている。

「.......」

「あ、わざわざ迎えに来てくれたの?」

不意をつかれた気分だ。

「じゃあ、行こっか」

返事に困った僕を気遣ってくれたのかのようにKが言った。

最初の方は無言だったが、ここは僕から

「パンを咥えながら出てくるとはあいかわらずだな」

「えへへ、久しぶりに寝坊しちゃって」

久しぶりではない。いつもだ。ここで僕は冷静さを取り戻した。

「てか、Kが寝坊したってことは必然的に僕も遅刻しそうってことじゃん!」

「あはは、走ろっか!」

僕は走るのが苦手だ。陸上部のKにはやはり負けてしまう。どんどん走っていくKを見ていつか遠くへ行ってしまうのではないかというふうに感じた。そんなことは当たり前の事なのに。

学校についた僕達は呼吸を整えながら1コマ目の教室に入った。ギリギリ遅刻しなくて済んだようだ。

「お前らなんで今日は一緒に来てんだよー。お?匂わせか?」

僕としたことが完全にこのシュチュエーションは恋人同士の登校じゃないか!

僕は笑いながら否定した。するとKが

「いやいや!そんなんじゃないよ!たまたま行きしなに会っただけに決まってるじゃん!!」

と必死に否定した。そこまで否定しなくても、、

別のとらえ方をすれば、僕の事を本当は好きなのにそう思われたくないから必死に否定したともとれる。どれだけ僕はポジティブなんだ。

教授が入ってきて授業が始まった。


昼休み

「なあ、K!お昼行こうぜ!」

Kはなにか浮かない顔をしていた。

「何かあったのか?」

「あのね、私今日で.......いや、なんでもない!お昼行こっか!」

今日で.......の後が気になったが、僕は以前にこのような場面に遭遇し、その事についてしつこく詮索をして以来その子と疎遠の関係になってしまった。Kとはそのような関係になるのはゴメンだ。

「そっか、また何かあったら言えよ!」

「うん。ごめんね。」

どんな事だったのか気になりつつも僕達は食堂に向かった。

元気の無いKを見てるとこっちまで元気がなくなってくる。これは占いのせいか?先入観を捨てないと!このままでは負の連鎖が起こりかねない。

3コマ目が終わると今日の講義はもう無いので

「一緒に帰る?」

珍しく僕から尋ねた。

「今日は用事があるから寄り道して帰らないと!」

こういう時に限って断られてしまう。全く占いというのは恐ろしいものだ。

そして今日はこのあと何も無くただ帰路についただけだった。


5月27日

学校に遅刻しそうになるのが嫌だったので今日は一人で行くことにした。

Kは1コマ目が終わっても来なかった。

遅刻こそ沢山するが、欠席は滅多にしないのに。深く考えずに風邪だろうという答えに至った。

2コマ目に向かうために友人と移動していた。

「そういえば今日でK、大学辞めるんだったよな。寂しくなるな」

「なんの冗談だよ!もっとマシな嘘つけよ!」

「え?聞いてないのか?」

「は?本当なのか?」

「.......」

すべて繋がった。一昨日からKの様子が変だったのはこの事だったのか。

「すまん。お前には話してると思ってた.......」

なんで僕には隠してた!?とか、考えていても仕方ない。

「なんで、やめるのか聞いてるか?」

この至近距離で聞こえるかわからないぐらいの声で聞いた。

「親の職場が倒産したらしくて、それで大学に行かせるお金がないって。そして青森の実家に戻るって。今日の12時に家を出るって言ってたけど、」

僕は12時という言葉を聞くともう走り出していた。体が勝手に動いていた。

12時まであと1時間。走れば間に合う!僕は無我夢中に走った。まだまだ、話したい事あるのに勝手に、僕にだけ何も言わずに行くなんてそんなの許さない。

11時46分

何とか間に合った。

僕はとりあえずインターホンを押した。でも、誰も出てこない。続けて3回押したが一向に出てくる気配がない。嫌な予感がしてきた。そう思ってガレージを見ると

「.......」

車がない。僕は言葉を失ったと同時に崩れ落ちた。もういないと分かっているのに、何度もKの名前を叫んだ。この時の僕はかなり狂っていた。勝手に敷地内に入り込んで、部屋の中を見たりもした。

でも、家具も何も、人が住んでいた形跡そのものがないように感じられるぐらい静かだった。

僕はアンデッドさながらの歩き方で何も考えられなくなり家に向かった。

「おかえり」

いつものように母親がそういったが、僕の耳には何も届かなかった。今にも足を踏み外しそうな登り方で階段を上がり部屋に入った。

「洋平」

声のする方を見ると、母親が手紙のような紙を持ちながら立っていた。

「これ、Kちゃんから。洋平にって」

何も言わず、その手紙を受け取った。すると母親が気をつかってくれたのか部屋を出ていった。

僕は生きる気力がないとまではいかないけれど、

全てのことに感情がなくなってしまった。


洋平へ

まず、何も言わずにこの街を出ていったことを謝ります。本当にごめん。何度も何度も言おうと思って、機会を伺ったけど、洋平との時間が楽しくて言えなかった。

私のお父さんの職場が倒産してしちゃってね、とてもじゃないけど私を大学に行かせるお金が足りないって言われちゃって、私も同意した上で実家に帰ってお父さんの仕事が見つかるまで農家を継ぐことになりました。大阪と青森じゃなかなか会えないかもだけど、また会いたいな。

洋平とは中学の時に同じクラスの隣の席になったのが出会いだったよね。私の初めの洋平の印象でパッとしない人だなって思ってました笑。

でも、オドオドしながらも私に話しかけてきてくれたね!忘れ物をしても嫌な顔ひとつせず貸してくれるし、分からないことあっても教えてくれたね。だんだん、仲良くなるにつれて話す時の抵抗も無くなってきて、私って仲良くなった人には結構踏み込むタイプだったから、結構めんどくさかったんじゃない?もしそうだとしたらごめんね!

そして、洋平といる時、なんだかモヤモヤした気分になってきた、これは洋平への好意なのか何かわからなかったけど、私が洋平のこと好きって決定的にそうと決める出来事が起こりました。

それは、電車の中でおじいちゃんに席を譲ってあげてるところを見て、あー、この人は優しいんだなって思いました。当たり前のことをしただけだと思うかもしれないけど、最近は高齢者に席を譲ったりする人はかなり少ないからね!それで惹かれたんだと思います。

別々の高校に進むってなった時とても寂しかった。

卒業までに想いを伝えとけばよかったって。それからの高校生活はその後悔を引きずってました。

洋平はどうだったのかな?ちょっとでも私のこと覚えててくれたのかな?

そして、まさかの大学で再開。心が舞い上がりました。三年間で何か変わったのかなって思って見てたけど、何も変わってない優しい洋平でした。洋平が私の事に気づいたのは偶然隣に座ってきた洋平との英語のペアワーク。英語で自己紹介をしましょうっていうペアワークだったけど、私の名前を聞いた時の洋平の顔が今でも忘れられません笑

そこからの大学生活とても楽しかったよ!一緒にご飯食べたり、カラオケ行ったり。お買い物にも行ったよね!まるで付き合ってるかのように。でも、それは私のわがままに付き合ってくれた洋平だったから出来たことでした。洋平が私の事好きだったらなって毎日思っていました。

そして、退学の2週間前にお父さんの職場倒産が知らされて、そこから洋平に言わなきゃ言わなきゃって思ってたのになかなか言えなくてごめんね。

2日前、家まで送ってきてくれてとても嬉しかった。プリンも奢ってくれてありがとう。

登校で家まで来てくれたこと、本当に泣きそうでした。あぁ、もうこの人と当分会えなくなるのか。私のこの気持ちを伝えられないまま、また後悔しなくちゃいけないのか。って思ってました。

私は霧島洋平くん。あなたの事が好きです。大好きです。このような形で伝える事を許してください。直接言えなかった私を許してください。

また、必ず会いに行きます。その時にもし私の事を覚えていて、洋平の彼女がいなかったら返事を聞かせてください。

たくさんのわがままごめんね。

本当に一緒にいた時間楽しかったよ。ありがとう


静かに手紙を折り、机の上に置いて、僕は泣いた。

また会えるとわかっていながらも泣いた。その涙の理由はKが遠くに行ってしまった事や、Kが僕の事を好きということを知ったことだけでは無い。僕も同様に後悔してしまった事だ。あの日常がずっと続くと思っていた。だから、僕の気持ちはまだ伝えなくていいと思っていて伝えようとしなかった。しかも、Kが僕の事を好きだと思っていてくれていたのに。

僕はあれからKと1度もあっていない。あの返事を出来ないまま。だから、僕は後悔をして欲しくない。人との別れは突然来る。やらずに後悔するよりやって後悔しろっていう言葉があるように、明日でいいという人にならずに、今日を大切にできる人になってください。


読んでいただきありがとうございました!

言葉の使い方などおかしい点も多いと思います。

初めての投稿で内容も読みずらかったりしたと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました

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