1本目 スーパーマリオブラザーズ
個人的には週一で投稿していきたいなぁと思っています!!
これから彼女たちがどのような展開になるのか、是非ご覧ください( '-' )
風がたなびき、枯葉が足元で踊る。
私は今、バイト先に面接を受けるために足を進めている。
憂鬱ではない。むしろとても楽しみだ。
そこでバイトができるようになったらあの子とゲームを語れるようになる…!
そんな期待にワクワクを膨らませ、私は「Pico」のドアを開いた。
ちらっと見てみるとその子はファミコンを取り出していた。(チャンスは今だ!!)そう思ったが否や、私は無意識にこう言った。
「私をここで雇ってください!!」……と。
結果から言うと、雇われはしたもののありえない低賃金となった。個人的には雇えるだけで嬉しいのだが、理由を説明したいと思う。
「え?」という返答が最初の私への答えだった。正確には数秒ほど遅れて返ってきた。
沈黙が少しの時間、続いた。
淡い水色のロングヘア、耳元には猫の髪飾りをつけ凛とした顔をしている。ふわりとした目元は見てるだけで吸い込まれそうになるほど…
「……うは。」
「え?」
「志望理由はなんでしょうか。」
「あっ…はい!!」
スー、ハーと息を吸い、覚えてきた志望理由を連ねた。
「私は紺さんとゲームを語り合いたいんです!!ここには彦田さんの祖父の代からあるレトロゲームや、紺さんの仕入れた珍しいゲームや最新ゲームまであるこのお店が大好きなんです!!そして、紺さんもゲームがお得意ということも知ってるんです!そんな紺さんが…」
「あ〜…なに、告白しに来たんですか?」
「えっちょ、ち、違いますよ!!」
あれ、告白みたいになってた!?
「私はただ紺さんとゲームをしたり、語り合いたいだけなんです!!」
「……働くって知ってます?」
「え…」
そういえばそうだ。バイトなんだから働きたい理由を言わないと…えっと……
「あっ…ココノミセガミリョクテキデ」
「いやもういいよ本音聞いたし。で、ここで僕と語り合いたいってわけですか。」
「そうなんです。だからこの店に…」
「じゃあ、僕とどれだけ語り合えるか試させていただきます。」
「今…ですか?」
「ええ、なにか不満でも?」
「いえ、大丈夫です!」
「なら語るゲームは…あ、これでいいですかね。」
と、彼女が持っていたゲームは『スーパーマリオブラザーズ』だった。
「…国内で681万本、世界では4024万本売れたとして『世界一売れたゲーム』としてギネス記録にもなっているゲームですね。」
「へぇ…やるじゃない。じゃあちょっとした小咄を1つしてみようかな。スーマリ、もといスーパーマリオシリーズに毎度出てくる岩ややつくし、レンガなどが元はなにか、当然知ってますよね?」
よし、知っている!
「キノコ王国の住人…だったはずです。敵キャラも元はキノコ王国の住人だったり、初代の時はかなり黒い設定というのは有名な話ですね。」
「じゃあ黒っていう色の話からこんな話を入れようかな。あなたは青いクッパがいると言ったら信じますか?」
「青いクッパ?2にはいましたけど、初代にいるわけないじゃないですかそんなの…」
ふんっと鼻で笑うかのように彼女はこう言い放った。
「僕と語るなんて30年早いですよ!!」
「なっ…!!」
その時、彼女にポチッとスイッチが押された。
「青いクッパは元々初代にあった裏技です。画面スクロールを利用してクッパの手前の窪みのいちばん前方で待つと現れるんです。戦う画面になった時には消えますが、れっきとした裏技です。」
「は、はぁ…」
「さらにもう一つ補足するなら、マリオは元はマリオじゃなかったんですよ。」
「え!?」
ドヤ顔で私を見つめてくる。
「スーパーマリオブラザーズとは少し話がそれますが、マリオという名前は『ドンキーコングJr』というゲームからなんですよ。元はジャンプマン、救助マンなど色んな名前で呼ばれてたんですよ?」
ダメだ…完全にペースを持っていかれてる……
「マリオという名前が付けられたのには諸説あるので私から説明するのは省きますが、まさかつけた人もここまで有名になるとは思ってなかっただろうね。」
と、嬉しそうな顔で紺ちゃんは語っていた。
「そしてマリオのきのこを食べると大きくなるというギミック!あれって『不思議の国のアリス』のマジックマッシュルームからヒントを得たものなんですよ!!元はバグで起きたマリオが小さくなるという出来事があり…」
「ちょ…す、すいません。私の負けです…」
「もう?僕まだ少しも語れて……」
「私が入れる領域ではなかったです…」
完全にオタクだ。この領域までくると確実に満足してくれるまで話は終わってくれない。
「じゃあ…時給減額でいい?」
「え?まぁ……え、雇ってくれるんですか!?」
「ええ、人手はなかったですし、あなたと話してると暇な時間を潰すことができそうです…」
会計のレジに座り、頬杖をつきながら彼女はそう言った。
「ありがとうございます!!私…」
と、彼女の手を掴み、座ってた椅子から引き上げた瞬間私は少し止まってしまった。
「えっ…と…紺さん、結構小柄…スーパーキノコ食べます?」
「……結構です!!」
彼女は赤らめた顔でそう言い放ち、手を振り払い奥の倉庫の方へ走って逃げていった。
「……可愛かったな…。明日から楽しみだなぁー。」
さっきまで彼女がいたカウンターの上に両肘を置き、その上に頭を置いてニヤニヤしていた。
ショートカットに切った自分の白い髪が、ざわざわと何かを感じ取るかのように揺れていた。
…ただのゲームオタクたちの会話で面白いのかなこれ……。
ひとまず、2本目のゲームを何にするかは決めているので、楽しみにしていてください!!間違いやアドバイスなどあればどんどん送り付けてください!!
頑張ってこれから盛り上げていくので楽しみにしていてください!!
それではまた次のゲームでお会いしましょう!!
>>>NEXT GAME…