第8話:召喚
謎の女「ついに妾の復活じゃな」
茉央「ああ、歩く公然猥褻罪」
謎の女「…お主の知識のせいじゃろ」
遂に現れたアースドラゴン果たして私達は倒す事が出来るのだろうか、そして今日の夕飯はドラゴンステーキになるのでしょうか?
「へっへ〜トカゲ野郎め怒り心頭ってところか?」
「マオちゃんは闇魔法で相手の束縛と自分の防御に専念しててね、攻撃は私とマードックで殺るから」
言うなり2人はおもむろに各自の剣を抜きはなった。
「うん、分かった…お姉ちゃん気をつけてね、ついでにマードックさんも」
「おいおい俺はついでか? おいちゃん悲しくなるわ〜」
「任せなさいマオちゃん行ってくるわ! 黄昏てないで行くぞマードック!」
私と会話を終えた2人はアースドラゴンの方へ剣を狙い定めると物凄い勢いで駆けぬけて行った、私は少し後退しアースドラゴンに向けて束縛の闇魔法を放った。
「…闇鎖縛!」
するとアースドラゴンの足元に煌々と魔法陣が現れ、その中心から勢い良く真っ黒な鉤爪状の物が出てきた端からアースドラゴンに絡みついた。
チェインバインドは闇の鎖で相手を縛り付ける魔法、だけど主な効果は心を縛り付け動きを阻害する魔法だ、形や太さは込める魔力の量による。
飛べない相手なら土魔法の落下穴や雷魔法の麻痺が良いんだけど、今日の相手は身体が大き過ぎで属性が合わず弾かれる可能性が高い、しかも今は魔法のレベルを低く偽装しているから、低魔法しか使えないフリをしなきゃならないから面倒くさい。
時間を掛ければできなくはないけど今回は時間が無かったから諦めた、ま、魔力は多めに使えるから大量に流して物凄く硬くしてやるんだから。
アースドラゴンは自らを絡め縛り付ける鎖を外そうと力の限り暴れ始めた。
「グゥア⁉︎ アギャー・グギャー・ギギィー」
「くぅ〜抵抗が強い!」
ー2時間後ー
「なんだいくらアースドラゴンの幼体といえども、ここまで硬いとは想定してなかったぜ」
「私のド○ゴン殺しも全く歯が立たない、まるで何かに守られているかの如くだ」
「ッチ、らちがあかねぇ一旦作戦を練り直すぞ!」
私達は作戦を練り直すためにアースドラゴンから離れ素早く身を隠しました。
私達がアースドラゴンに対して意見を出し合っていましたが中々良い案が浮かびません、時間が迫っていたため私は奥の手を出す事にしました。
「私がやります!」
「お嬢ちゃん何を言っているんだ、我々では倒せない1度戻って体制を立て直すんだ」
「マードックさん私が持ってる魔法の中で奥の手を使うので、これから先は見なかった事にして下さい」
「お嬢ちゃん一体何をする気だ?」
「マードック黙ってろ!」
私は2人から少し離れて精神を集中し始めた、すると次第に私を中心として魔力の渦が巻き起こり始めると、私の胸の痣が熱を帯び魔力の密度が最高潮に達した時私は召喚呪文を唱えた。
「…召喚!……至高の暗黒王」
「キュオーーーォーン」
アースドラゴンは対象を見失い辺り構わず暴れていたが魔力の高まりに気付き、件の方へと向きを変え目にした魔力の密度に威嚇とも悲鳴ともつかない鳴き声をあげて目の前の行為を凝視していた。
呪文が唱え終わると光り輝く巨大な魔方陣が現れ煌々と光る魔法陣の中心から真っ黒な霧が噴き出し、形を整え体長10メートル程の巨人が現れたと思った途端、急速に巨人が崩れ中心に向かって霧が集まり始めた、少しして霧は中心に1メートル程の球体に変化し空中に浮いていた。
「な、なんなんだお嬢ちゃんコレは⁉︎ とてつもなく禍々しい程の魔力のほとばしりじゃねえか、鳥肌が止まらねえ」
「私も分かりませんとりあえずアースドラゴンを倒せるものをと思って、ほぼ全魔力を使って召喚してみました」
「こ、コレは⁉︎ あ〜懐かしい」
「ヴィスお前さんはコレが何か知って……」
マードックさんの話しを遮って何処からか声が聞こえてきました。
「妾を召喚せしものはお主か?」
「だ、誰ですか? 何処にいるんですか?」
「なんじゃそんなことも分からんとは、ほれ、目の前におるじゃろう」
「え? 目の前ってこの暗黒玉がですか?」
「バックベアードとはヒドイのじゃ⁉︎ よし形を変えるか…」
そう言うと球体は急に形を変えはじめ少しして、その場にはとても美しい巨乳女性が浮いていました。
「どうじゃ? 以前の形にしてみたんじゃが」
子供になんてモノを見せるんだ、でもコッチだと成人してるから問題無いか。
「…とても綺麗なダッチワ○フだとは思いますが、ところで貴女は誰ですか?」
「間違えたのじゃコッチが本当の姿じゃ!」
そう言うと形はさらに変わりとても見目麗しい女性が浮かんでいた、ちくしょう巨乳なんてみんなお○ぱいミサイルで飛んで行けば良いんだ!
「…妾か? …妾は魔王ヴィルヴィンドじゃ!」
魔王ヴィルヴィンドはいつの間にか付けてたマントを翻し腰に手を当てその見事な胸を張り、ヴィスさんは足早にヴィルヴィンドの元に近寄り片膝を立て頭を垂れた。
「やはり魔王ヴィルヴィンド様でございましたかお久しゅうございます、またお会いできるとはヴィスはこの上ない幸運でございます」
「おお! ヴィスか久しいな元気じゃったか?」
「ま、ま、魔王だってーー⁉︎ 昔勇者に倒されたはずじゃねぇか!」
「ま、今の妾は魔王の残滓、残りカスよ肉体なんぞとうの昔に朽ちてありゃせん、それよりも妾を召喚したお主こそ何者じゃ?」
「わ、私は茉央です、マオ=シングウジです」
「ヴィルヴィンド様、マオ様は今代の魔王でございます」
「お、お、お嬢ちゃんが現魔王だってーー⁉︎ マジかよ……であれば元魔王でも召喚出来るか?」
「普通はムリじゃな…おそらくマオは魔王の刻印と妾の魂を持っておるから…じゃろ?」
「もしかしたら胸にある痣がそうかもしれません、魂は…称号に有りました」
「なるほどのぅ〜詳しい話しはあとで話すとしよう、とりあえず妾を召喚した目的を果たさんのか?」
「っあ⁉︎ 忘れてた」
「おいおい…元魔王さんよちなみに俺はパタヤ村のギルド長マードックってんだけど、アンタならヤツに勝てるかい?」
アースドラゴンはこちらを見て固まってたが自身が見られていると分かると途端に目が血走り威嚇の唸りを上げ始めたが元魔王は何かに気付いたのかその様子を見て笑い声をあげながら説明を始めた。
「アッハッハ、あ奴はアースドラゴンじゃ無いぞ、女神に封印をされ進化後退された何処ぞのドラゴンじゃろう、恐らくは古竜種の類いじゃろうな」
「「え、エンシェントドラゴン⁉︎」」
アースドラゴンだと思ったらエンシェントドラゴンだった、詐欺だー! クーリングオフします、っえ、ダメ? デスヨネー。
茉央「エンシェントドラゴンのステーキ」
ヴィルヴィンド「色んな穴から光線が出るくらい美味いぞ」
エンシェントドラゴン「………………」