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第2話:異世界転移!?

これで君も勇者だ!

 

 …めよ!


 ……め…ざめ…よ!!


 ………目醒めざめよ!!!


 ふとそんな声が聞こえた気がして夢から目覚め周りを見渡すと、ほとんどの学生は帰り支度をおえ教室から出ていっており残りの生徒は私を含めて4人ほど、その残りも私の机の周りで友人とお喋りなどしていた。


「っお!?ようやくお姫様のお目覚だね」


「「おはよう姫ちゃん」」


「でもさ良く寝てんのにこれで育ってないのが不思議だよねぇ? 特に何処とは言わな……ひでぶ!?」


 言葉を言い終わる前に凄い勢いでふでばこが目の前にいる男の子の顔に吸い込まれていった。


「うっさい!!」


 私の名前は真宮寺しんぐうじ 茉央まお、共学の小・中・高をひとまとめにしたマンモス校のフェアリーローズ附属高等学校に通う16歳だ。


 言われてて分かるかと思うが私はちんまい、ギリ150cm(自称)くらいしか無い、もちろん……胸も無い、おかげで時々小学生に間違えられる。


 だが大丈夫だ、まだ成長期だから、これから育っていくのだ(願望)、それに私は美少女だ、微少女じゃないぞ? 自画自賛じがじさんになるがけっこういい線をいっていると思う、長めのまつ毛、少しキツめだが憂いを帯びた瞳、髪は黒一色で前髪パッツンの腰までの長さがあり、そのせいなのかアダ名が姫と周りから呼ばれている……あとは関係ないがオタクではある。


 女友達その1が手を叩き皆に帰りを促す。


「それじゃあ姫ちゃんも起きたことだし、帰りましょうか? 帰りに何か食べて帰る?」


「私ねぇ田中屋のロイヤル豚まんが食べたい!」


 女友達その2が茶々を入れる


「またかいな?姫ちゃんも好きやんねぇ田中屋のロイヤル豚まん」


 説明しよう!

 田中屋のロイヤル豚まんとは、厳選された様々な高級食材の具をこれでもかってぐらいに皮で包んだロイヤルな肉まんなのだ、しっっっっか〜も安い上に一年中食べる事が出来るのだ!……たまに田中屋の経営状況が気になるが。


「そうだ! いっそのことその豚まんを胸元に詰めてみたら?(笑)」


「よし!1歩もそこを動くなよしょう?ぶっ殺す!!」


 そして教室の中を駈け出す翔と茉央、女友達からは生暖かい目で様子を見ている、彼女らは小学生の時からの付き合いだ、気心が知れた仲だ。


 現在教室に居るのは私含めて5人、ちなみに女友達1は道明寺どうみょうじ さくら、女友達2は金剛寺こんごうじ あかね、っで、最期にどうでも良いのが男友達の桐生寺きりゅうじ しょうだ、そして最後の1人は……


「おい、オマエら騒いでないでさっさと帰れ!」


 そして最後の1人と言うのが、がクラスの担任こと獅子王寺ししおうじがい先生その人である。


 それと5人とも苗字の後ろに寺が付いているがお寺さんとは関係ありません。


「「ハーーーイ」」


 注意を受けた私と翔は走るのをやめその場で停まり先生に返事を返した。


 先生に注意されたのはコイツが悪いのだ、そうだ今日は罰として翔の財布を空にするくらいおごらせようそうしよう。


「まぁ〜まぁ〜、いいから行きましょ?」


 一部プリプリと怒っている幼児まおを桜が引きずり(…ちょっと首がしまってますよ)、みんなと一緒に教室の出口へ向かって歩き出した時に異変が起きた!


 ピカーーー!


「「「「っえ⁉︎」」」」


 足元の床が光った!?


 コレって魔法陣?ヤバイ、逃げなきゃ!

 ……いや、このまま待てば異世界転移するかも……なんて色んな考え(この時脳内で1.7秒ほど)をしてる間に私は真っ黒な手の様なモノに引っ張られ、私の意識はゆっくりと暗闇に閉ざされていく。


 最期に思ったのは田中屋のロイヤル豚まんを食べ損なった事に対する後悔だった……


 〓 〓 〓


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 なんか周りがざわざわしてる。


 うっすらと目を開けて周りを確認すると近くに友達がいてそこから離れたところに綺麗なドレスを着た女の子が一人、そして手に杖のような物を持った古臭いローブを目深に被った人達、それに槍を持ったフルプレートらしき物を着込んだ騎士達がいた。


 私はというと誰かの膝の上に頭を乗せて寝ていたらしい、薄目で周りを観察していると私が起きたのが分かったのか膝の持ち主が頭上から声をかけてきた。


「姫ちゃん、目が覚めたのね?」


 膝の持ち主は茜ちんだった、私はこのまま寝ていたかった膝の上から起き上がり返事を返そうとしたその時、おもむろに騎士の1人が手に持った槍の石付きを床に叩きつけた。


 ガァァン!!!


「静かにしろ!!これから皇女様がお話なされる、黙って聞くがよい!」


 いきなりの事にビックリしたが思わず「お前の方が五月蝿いからな」っと言いそうになったが、口に出すとのちのち揉めるのが分かっているので黙っていることにした、それを見ていた皇女様はこちらが肯定してると思ったのか話し始めた。


「まずは私達の召喚に求め応じていただきありがとうございます勇者様方」


「「そんなこと知りません!」」


「お願いですから僕たちを元の場所に帰してください!」


 事前に承諾があったわけもなくのいきなりの召喚の為、まだ話し始めたばかりなのにさっそく皇女様に噛み付く友人達、まぁ事前に知らされる召喚なんてほぼ無いよなぁ。


 すると皇女様は苦虫を噛み潰したような顔で一言。


「……無理です」


「「「何故?」」」


 もっともな疑問ですね、その質問に対して皇女様は。


「帰還するには魔王を倒していただくしか」


「「「そんな!」」」


 異世界テンプレキター!勇者が魔王を討伐する系か〜ワッフル♪ワッフル♪、しかし、だとすると喜んでもいられないなぁ、この国の内部情報や敵対勢力や他国の対抗勢力の早期認識……それとこれもテンプレだけどこの皇女様がしょっぱなから嘘をついているかなんだけど……。


「この世界は魔族と魔王により危機に瀕してます、どうかお願いします3人の勇者様って、あれ? ひとり、ふたり、さんにん、よにん……1人多い? おかしいですね、この勇者召喚は勇者としての素質が高い者を最大で3名ほどしか召喚できないはずなんですが? ……ま、勇者は多いに越したことはないのでいいでしょう」


 ずいぶんアバウトな皇女様だなぁ、だけどコレってヤバイ? もしかして4人の内誰かが巻き込まれ系?


「皇女様、コレを!」


 割りと豪華なローブを目深に被った人が淡く光る水晶玉?を持ってきた。


「では、誰からでも良いでこの魔水晶に触れてみてください、簡易的ですが名前とレベルとジョブと称号のステータスを見ることが出来ます」


 私は嫌な予感がしたので最後にステータスを見ることにした。


「……私は最後で良いや」


「じゃあ、ウチが一番でもええ?」


「ふふふ、どうぞ」


 皇女に促されて茜ちんが魔水晶なる物に手を触れる……


 ペカー


 名前 アカネ金剛寺コンゴウジ


 レベル 1


 ジョブ 勇者


 称号 異世界転移者、新米勇者


「ウチ勇者やん!」


 ペカー


 名前 ショウ桐生寺キリュウジ


 レベル 1


 ジョブ 勇者


 称号 異世界転移者、新米勇者


「僕も勇者だ!」


 ペカー


 名前 サクラ道明寺どうみょうじ


 レベル 1


 ジョブ 勇者


 称号 異世界転移者、新米勇者


「わたくしも勇者ですね!」


「やっぱり勇者様達でしたわ」


 や、ヤバイ!?これって私が無能なんじゃないの?


「……最後に私の番か」


「「頑張って茉央ちゃん!」」


「ッハハ」


 何を頑張ればいいのだろうか、友達の謎の声援にカラ元気で応える私……恐る恐る魔水晶に手をかざすと。


 ペカー


「えっとどれどれ?」


 名前 茉央マオ真宮寺シングウジ


 レベル 1


 ジョブ 魔王


 称号 異世界転移者、魔王の生まれ変わり、新米魔王


「………」


「「「………」」」


「っな! ま、魔王!?ありえない!!魔王が召喚されるなんて」


「そんな!?姫ちゃんが魔王だなんて!!!」


「「!!??」」


 一拍置いて叫ぶ皇女様と翔、絶句する桜ちゃんと茜ちん


 ざわざわ・ざわざわ・ざわざわ


 騒ぎ出す召喚の間


(この子が魔王だなんて……ですが逆に好都合ですね、今なら魔王は最弱、ここで捉えるなり討ちとれれば人族の勝利は一歩近づくでしょう)


 皇女は心を落ち着かせると周りを見渡し号令をかけた


「皆の者、今の内です、そこな魔王を捉えるのです!!」


「っは!!」


「っうぇ!?マジっすか!」


 情けない声を上げる茉央をよそに、皇女が命じると隊長らしき人が返事をし、ほかのフルプレートを着た騎士達を引き連れ、私に向かって遠慮なしに鋭そうな槍先を向けてきた。


(先端恐怖症じゃないけどさすがにコレは怖い!)


 ジリジリと部屋の隅に追い詰められ絶体絶命の茉央が近くの窓に陰りを感じてふと外を見ると、遠くから奇声をあげ黒い塊のようなモノが窓に近づくのが見えた。


「ま〜〜〜お〜〜〜う〜〜〜さ〜〜〜ま〜〜〜」


 ガッシャーン!!


 な、なんだー!!??ナウ○カのユパ様でも来たのか!?などと私がバカな事を考えている間にも窓ガラスを割って室内に侵入した謎の人物に室内にいた人達は皆騒然とパニックになっていた。


「「きゃあーーー!!」」


「うおっ!?」


「何事です!?」


「「「「「こ、皇女様お下がりください!」」」」」


 クルクルシュタ!って音が聞こえそうな感じで降り立った人が、クルッと私に向き直り口を開いた。


「お迎えに参りました魔王様」


「……人違いです、いや、魔王違いです」


 茉央はあまりの不気味さに思わず否定してしまった。


「いえいえ、そんなわけはありません!」


 キッパリと言い放つ謎の人物


 ええ!?確定なんですか!!??


「私がですか? えっと、それは何故ですか?そして貴方はどなたですか?」


「匂いでございます!!……嘘です。実は、あなた様からは魔王特有の魔力紋……俗に言うオーラですね、それがわたくしには視えるのでございます、そしてわたくしはあなた様の従者兼執事でございます」


 私が睨んでいるのを目にした途端本当の事を言い始め言い終わると従者兼執事は礼儀正しく綺麗に腰を折り私にニコリと笑顔を向けた、その姿勢に私は呆気にとらわれ乾いた返事しかできなかった。


「……は、はい?」


 皇女サイドも急な登場に呆気に囚われていたが、すぐさま周りの騎士達に事態の収束を指示するのだった。


「な、何をしているのですか、早くこの狼藉者を捉えるのです!!」


「「「「「っは!」」」」」


 皇女の声により我に返った騎士達は魔族の執事に殺到したが、騎士達は執事に歯牙にもかけられず片手でコロコロされていた。


「「「「「つ、強い!!」」」」」


「所詮は人族なぞこの程度よ、それでは魔王様は頂いていくぞ皇女よ」


 そう言うと執事さんは茉央をお姫様抱っこし窓枠から外に向かって颯爽と飛び立ち、背中から蝙蝠羽根デビルウイングを出して飛び去っていったのでした。


 バサ!・バサ!・バサ!・バサ!


「ちょっ!?ま、待ちなさい魔族!」


 離れ行く際に飛び出した窓に目を向けると桜と茜が駆け寄っており、茉央と桜と茜はお互いにサムズアップをしお互いのこれからを祝福するのであった……


 さりとて茉央の頭の中では友人達はこれから私と別れた事によりライトノベルの主人公よろしく華々しく勇者として生きていくのだろうと、そしていずれは魔王となった私と生死を賭けて戦うことになるのかなぁ〜っと、どうせなら代わりに翔が魔王になってたら良かったなぁなどと思っていたりいなかったりと上の空でいたのだった。


奴は大変なモノを盗んでいきました。

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