網にかかった黒いワゴン
彼は学園の理事長に頭を下げた
「桜花学園の名探偵、頼んだよ。」
60代の理事長は若き名探偵に託し、若き名探偵もそれにこたえようとする
「越川君、私も手を貸そう。」
大学から藤森教授だ
「上田警部、パトカーを。」
了解です。
おい。すぐに回せ。藤森先生がこの捜査に参戦する
警部は教授にいつも敬語だ
教授はスーツの上着から携帯電話を出し、有紀の携帯に発信する。
越川君もそれを考えたのだろうなと思いながら
結果は空振り。
「先生、パトカーです。」
見ると、後ろに刑事が回したパトカーが停まっている
教授もすぐに乗り込む
若き名探偵も乗り込み、パトカーは滑り出した
気が気でない達之と対照的に教授は有紀を犯人が狙った理由を
考えている
「大塚刑事、Nシステムに黒いワゴンは映ってないんだろうか…。」
Nシステムですか?
頷く教授
大塚と呼ばれた若い刑事はすぐ本庁に確認してみます。
と言った
藤森先生はいつも見ているところが違う
と達之は思う
裁判でも本質を突き、検察側の理論をひっくり返す
弁護士 藤森芳忠は彼のあこがれだ
警視庁から容疑車両が映っていると連絡があったのは
桜花学園近くのNシステムだった
ナンバープレートも例のワゴンと一致した