弁護士 藤森芳忠の戦い
「芳忠、確かにお前の言う通り、越川、新井は弁護士の素質があるのかもしれない。」
所変わってここは法学部教授室
黒のスーツ姿の立木准教授は教授の良き相棒
「藤森先生はおられますか?」
顔を上げる教授
「どうしたんだね?」
先生に弁護士として依頼したいという方がおられます。
「通して下さい。」
依頼人は弱冠10代の高校生だ。
「藤森弁護士、助けてください。」
状況が読めない藤森教授、立木准教授
依頼人は荘野夏海と名乗った
「立木、消毒液とガーゼだ。彼女、夏海さんは自分の手を切ってる。」
分かった。
立木は大学構内の保健室へ
「痛かったんだね。先生はいじめなんか許さない。いじめは法律問題。
夏海さんは繊細ゆえに死のうとしたんだろう。」
藤森先生…。
この時、夏海は藤森教授と出会った
夏海の依頼を教授は無報酬で引き受けた
「藤森、遅れた。依頼人は死んでないか?」
ガーゼと消毒液を持ってきた立木准教授
「ああ。死ぬどころか私が助けた。」
経緯を聴き、立木准教授は納得の表情だ
教授は夏海の応急処置をやっている
胸元に桜の紋章…。学園高校の生徒だ
「どうするんだ? 家庭裁判所に行くか?」
いや。名誉棄損罪で東京地裁だ
教授は東京地裁に起訴と言う手を打った。
俺も手伝う。
先手必勝が藤森芳忠のやり方だ
「だが、夏海さんがいじめの被害に遭ってるという証拠が少ない。」
稀にみる難事件だと教授は思う
証拠がないとなると裁判に持ち込めないか…。
教授は一瞬、弱気になる。
「先生、新井です。」
有紀先輩…。
「おお。新井君か。どうしたんだね?」
先生、裁判で戦う事に異議は申しません。
ですが、今は時期尚早です。
進言と受け止め、腕を組み考える教授
「だが、新井、夏海さんが依頼してきたんだぞ。」
立木、新井君の言う事にも一理ある。
「新井君、こうしよう。提訴は予定通り、精神的ケアは精神科を
通じてにする。良いかい?」
それであれば…。
教授は腕を組み考える
提訴をして勝訴をつかみとれるか…。
こうも思う
もし、新井君が夏海君の弁護人だったら…。と。
翌日、教授は東京地裁に告訴状を出した
この裁判は教授自身の戦いである
弁護士としての