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絶対に負けられない闘いがそこにはある―Fircas side

絶対に負けられない闘いがそこにはある―神速編

作者: フィーカス

 新学期が始まってしばらくすると、体育の授業では体力測定なるものが実施される。小学生の運動能力を測り、全国平均を取ったり、その後の教育に役立てたりするらしいのだが、小学生にとっては面倒なことだ。

 もっとも、体育の時間が楽しみだという児童もいるわけで、そういった子は自分の力試しの場と考え、楽しみにしているだろう。そんな体育の時間の話である。


「はい、男女別れて整列しなさい」

 春風が気持ちいいグラウンドに、体育担当の武田の声が響き渡る。サッカーの選手っぽい苗字だが、ちょっと他の先生より運動が得意なだけの普通の先生だ。しかし、運動をしているせいか、他の男性職員よりは幾分筋肉が付いて見える。

 体力測定も大方終わり、残るは五十メートル走のみとなった。ここまでばらばらに測定を行っていた児童も、グラウンドのトラック脇に集まり、整列する。

 春も中盤とはいえ、快晴の昼間のグラウンドは、強い日差しとグラウンドから放出される熱のおかげでまるで夏のような暑さとなっている。遠くを見ると、ふとすれば陽炎かと思うほど地面がゆがんで見える。

「さて、残るは五十メートル走。しかし、普通にやったのでは本気を出さないものもいるだろう」

 普通にやったのでは……ということは、何か特殊なことでもやるのだろうか。座っている児童はこそこそと隣同士、何をするのかの予想を立てる。

「そこでだ。この五十メートル走はトーナメント制とする!」

 トーナメント?一体どういうことだろうか。

「五十メートル走は二人一組で行う。そして、速かったほうがトーナメントであがっていく。そうして、このクラスの一位を決めよう、ということだ」

 ざわつく児童たち。こんなことだけで、本気が出せるわけがない。

「まあ、それだけじゃおもしろくないよな。……ところで、先ほど給食センターから電話があったのだが、デザートのイチゴジェラートが、ここ四年三組の分だけ3つ少ないそうだ」

 さらに騒がしくなるグラウンド。それは当然だ。貴重な栄養源、それもデザートが人数分ないのだ。明らかに、給食を準備する側の不備。

「先生、それはおかしくないですか?」

「ちゃんと人数分準備してください!」

 武田に言っても仕方ないのだが、一斉に不満が募る児童の反乱は、なかなか治まりそうに無い。が、武田は腕を組み、落ち着いた口調で話し始める。

「まあ落ち着け。俺も最初はそう言ったのだが、どうにもこうにも準備できないらしい。そこで、だ」

 武田の次の一言を待つ児童たち。何か救済策でもあるのだろうか。

「このトーナメント制50メートル走により、イチゴジェラートを得られない人を決定する!」

 なるほど、体育の授業らしい提案だ。デザートが食べられるかどうかが決定されるなら、本気を出さざるを得ない。

「このクラスは男子十六名、女子十四名。よって、男子十六名が最初に走り、そこで敗退した八名により、敗退者決定戦を行う。つまり、二回走って二回とも相手に負けた者が、今日のイチゴジェラートを食べられないというわけだ」

 淡々と武田は説明する。が、予想通り、男子から反論が上がる。

「先生、何で男子だけしか敗退者が出ないんですか? 女子も混ぜるべきです!」

「そうだ!女子も参加させろ!」

 もっともといえばもっとも。「静かに」と、武田は騒いでいる男子児童をおとなしくさせる。

「女子が男子より体力的に不利なのはわかるよな。男子と女子を対等な立場で勝負させることなんてできんだろう。それに……」

 組んでいた右腕をびしっと、整列している児童に向けて指差す。


「世の中にはレディファーストという言葉がある。女性優先、これを心得ておかなければモテないぞ、男子諸君!」


 響き渡る武田の声。それは、グラウンド内だけでなく、児童の心の中にも同じように響いていた。

「女子に優しく、そして譲れない戦いで勝利を収める。男子諸君よ、この五十メートル走で女子に男をみせるのだ!」

 良く分からないが、その言葉に盛り上がる男子児童たち。

「おお、男を見せようじゃないか!」

「燃えてきた!」

 静かに聴いている女子と対照的に、騒ぎ立てる男子。が、ここである女子に疑問が浮かんだ。

「先生、あまった一個はどうするんですか?」

 男子十六人のうち、敗退者が四人。この四人がイチゴジェラートを食べられない。それはわかるが、足りないのは三個。つまり、今度は一つあまることになる。

「当然、このあまった一個は賞品だ。ただ単にトーナメントを行っただけでは、敗退から免れたやつが次で手を抜く可能性があるからな。そこで、この残ったひとつは――」

 残り一つの処分。その行方に注目する児童たち。

「このクラスで一番タイムが良かった者に与える」

 おお、と歓声のようなものが上がる。勝者は二つのデザートが食べられる。ともなれば、これを目指して本気を出さざるを得なくなるだろう。

「なお、このタイムは走った中で一番良かったものを採用する。勝ち抜けばそれだけ走る機会が増えるから、皆どんどん勝ち抜くようにな」

 武田の追加の説明を聞かず、全児童イチゴジェラートを食べる権利を賭けた闘いに燃えていた。

「ちなみに対戦の組み合わせはここに書いてある。各自見ておくように。では体育委員、準備をお願いするぞ」

 はーい、と体育委員の二人が体育用具部屋に向かい、ライン引きを取り出す。残りの児童は、自分の出番が来るまで脇で友達と話したり、組み合わせ表を見たりしている。


「よし、イチゴジェラートは俺のものだ!」

「いやしかし、このクラスには俊足と呼ばれたやつがいなかったか?」

「ああ、あいつか……」

 こそこそと聞こえる男子児童の声。そして、一人の男子を見つめる。

 国見翔クニミショウ。三年のときの五十メートル走学年記録保持者である。クラス内ならずとも、学年のうわさにもなっていた。

 身長は男子平均よりもやや低めで色白く小柄で、運動とは縁が無さそうな体型をしているが、その脚力は折り紙つきだ。その走力から、クラス内では「俊足の翔」という二つ名が付いていた。

 その当の本人は、馬飛び用のタイヤに寄りかかって自分の出番を待っている。左目を覆い隠すほど長く伸びた前髪を、時折風が静かに揺らしていく。

「よう翔、よかったな、今日のデザートはお前のものになりそうだな」

 翔の体型とは対照的に、小学生に似合わない大柄な体型を持つ牧田邦弘マキタクニヒロが話しかける。邦弘は三年のときに翔と同じクラスであり、翔の足の速さは誰よりも知っていた。

「ああ、牧田君。まあ、確かに手ごわそうな相手はいないね。クラス替えがあって、まだ良く知らない人もいるけどね」

 あたりを見渡す。同じクラスになったことがある児童の運動能力は、大方検討が付く。今回のような体力測定や運動会のように、走る機会があるたびに、翔はそれぞれの走りをよく見ていた。

「しかし、先生もおもしろいことを考えたよね。せっかく対戦するんだから、本気を出してもらわないと」

「おいおい、何をそんなにムキになってるんだ?」

 よりかかっていたタイヤから翔は体を離す。

「本気で走る相手にきっちりと勝つ。それが僕の誇りだよ。イチゴジェラートは、その結果のおまけに過ぎないからね」

「お、おう、そうか」

「それよりも、牧田君は、イチゴジェラートが食べられるように頑張ってね。君はそんなに足が速くないんだから」

「よ、余計なお世話だ! 俺はこう見えても本気を出せば速いんだぜ!」

 それはどうかな、と一言言うと、翔は自分の対戦相手を見るべく、組み合わせ表を見に行った。


 翔の一回戦の相手は、安藤三樹康アンドウミキヤスだった。二年の頃に一度同じクラスになったことがあるが、出席番号が一番になることが多い以外には特に変わったうわさは聞かない。

 安藤君、か。とりあえず一回戦敗退ってことはなさそうだな。そう思いながら、翔はスタートラインに立つ。もっとも、自慢の脚力は他の人に負ける要素が見当たらないほど自信はあるのだが。

 隣に安藤も立つ。小学生でクラウチングスタートを使う人は、よほど走りなれた人だろう。安藤はそうではないのか、長距離で使われるスタンディングスタートだった。一応、体育の授業でもクラウチングスタートを教えるらしいのだが、三年生までに習っていない。

 一方の翔は、短距離専門で鍛えてきただけあってクラウチングスタートの体勢。武田にスタート方法を聞いたが、別にどちらでもかまわない、自分の走りやすいほうでよい、とのことだった。

「位置について」

 スターティングブロックが無いためにクラウチングスタートはやりにくいが、翔のそれは陸上選手も顔負けのきれいな姿勢であった。周りからは女子の歓声が上がっていたが、全く気にしていない様子だ。今は、勝負に集中するとき。

「よーい」

 その合図で足を立ち上げ、静止する。見据える先は、ゴールライン。

「ピッ!」

 笛の音がスタートの合図。その音がなった瞬間、翔は左足を蹴り上げ急加速する。スタートはまずまず。

 が、直後、思いもかけないことが起こった。トラックに石が転がっており、翔はそれにつまづいてこけてしまったのだ。

「うわっ!」

 スピードに乗りかけた体は、一瞬宙に舞ったような感覚に襲われ、そのままひざから抵抗する暇も無く倒れていく。

 まず落ちたひざを始め、全身に痛みが走る。だが、そんなことはどうでもよかった。それよりも、もっと重大なことが起こっているのだ。

 初戦敗退。まさかのアクシデント。短距離走でこけてしまえばまず敗退は免れないだろう。まさか、トップを狙っていた人間が、最下位争いをするとは。これだから小学校のグラウンドは……

 しかし、こけて倒れたまま終わるのはむなしすぎる。痛みを押してすばやく立ち上がり、再びゴールへ向かい走り出す。


 倒れて起き上がるまでわずか数秒。だが、五十メートルでの数秒はもはや命取り。相手の安藤を見てはいなかったが、もうとっくにゴールしていてもおかしくは無いだろう。

 ひざの痛みが走る中、懸命にゴールを目指す。が、その直前、翔の目に思わぬ光景が入ってきた。

 なんと、ゴール直前で安藤もこけていたのである。しかも、石などの障害物も何も無いところで。翔はその安藤の横を、悠々とゴールする。


 国見翔:十二秒七三、安藤三樹康:十五秒六一。


 勝つには勝ったが、なんともすっきりしない勝ち方だ。一年のときでさえ、こんな遅いタイムを出したことが無い。

 それよりも、翔はまずこけている安藤が気になった。

「安藤君、派手にこけたみたいだけど、大丈夫かい?」

 安藤は右膝と左肘に擦り傷を作っていた。恐らく大したことはないのだろうが、かなり出血しており、化膿したらいけないということで、武田に申し出て保健室に連れて行くように指示をした。

「国見、お前は大丈夫なのか?」

「ああ、僕はこういうの、慣れていますから」

 翔も右膝に擦り傷を作っていたが、少し出血している程度である。武田は手当てをしたほうがいいと言ったが、次があるからと拒否した。それよりも、トラックに石が落ちていて危ないということを指摘し、すぐさま整備してもらうようにお願いをした。また怪我人が出ると大変だ。武田もすぐに対応し、体育委員と共にコンディションのチェックをした。


 次に備えて休憩しようと、怪我をした右足を少し引きずりながらタイヤのほうに向かっていると、

「あ、あの、国見君?」

 後から女子の声がした。思わず翔は振り向く。

「えっと、怪我してるでしょ? これ……」

「あ、ああ、ありがとう」

 手に持っていた絆創膏を翔に渡すと、その女子は恥ずかしそうにその場を立ち去っていってしまった。

 今のはたしか、佐山春菜さやまはるなさんだったかな。初めて同じクラスになったから、彼女のことは良く知らない。しかし、なんでわざわざ絆創膏を……

 と、なにやらこちらに敵意の視線を感じた。邦弘が、何故か恨めしそうにこちらを見ている。

「し、翔、おまえ春菜ちゃんと一体何を話してたんだ!?」

 後に炎が見えそうなほど、邦弘は燃えているように見える。

「ああ、佐山さん? 怪我をしたからって、絆創膏を貰っただけだけど」

 タイヤに座ると、貰った絆創膏を右膝の傷口に貼り付ける。本当は水で傷口を洗い流したほうが良いのだが、面倒だからとそのまま貼っている。その間にも、邦弘があーだこーだ言っている気がしたが、軽く聞き流した。

「それよりも次、出番じゃないの? ここで勝って、いいところを見せればいいんじゃないかな」

「お、おう、そうだな。よし、じゃあ張り切って行ってくるぜ!」

 どうやら機嫌が直ったようで、浮き足で邦弘はスタートラインに向かった。数分後、あっさり対戦相手に負けてゴールでがっくり肩を落とす邦弘の姿があった。


 男子の一回戦が全て終了した。翔はその一つ一つを眺めていたが、手ごわそうな相手は少なそうだった。

 次の相手は平金礼司ひらがねれいじだ。走る様子を見ていたが、あまり速いというイメージは無い。

 が、少し気になることがあった。相手は確かに足が速くなかったが、彼はその相手に合わせて走っているような気がした。ゴールした直後も、息を切らしている様子はない。実は本気を出していなかったのだろうか。

 ゆっくりと、スタートラインに向かう。先ほどの怪我はあまり影響なさそうだ。

「国見君」

 翔がクラウチングスタートの体勢をとろうとしたとき、不意に平金が声をかけてきた。

「君の足の速さは知っている。だから、僕相手でも最高の走りを見せてくれないか?」

 そういうと、かけていた眼鏡をゆっくり直し、スタートの構えをする。いきなり何を言い出すのだろう。常に本気の走りをする。それが、国見翔という人間だ。それなのにわざわざそういうことを言うなんて。

「位置について」

 平金の言葉に何か違和感を感じながら、手と膝を地面につける。膝を折り曲げたとき、少しだけ怪我の痛みが走る。

「よーい」

 平金は普通のスタンディングスタートの構え。翔は先ほどと同じく足を立ち上げ、まっすぐにゴールラインに視線を移す。

「ピッ」

 笛の音と共にすばやく左足を蹴りだす。先ほどと同様の、まずまずのスタート。

 前に差し出す足はとどまることを知らず、ただただ目的に向かって前へ前へと進んでいく。少し怪我の影響で膝に痛みが走るが、問題ない。腕の振りも悪くない。

 ふと、相手の平金のことが気になり、翔はちらりと隣のコースを見る。やはり遠くから見ていたのと、走る速さの感じは変わらない。

 すぐさま視線をゴールに移し、一気にトラックを駆け抜ける。一気にゴールライン到達。少し遅れて、平金もゴールした。


 国見翔:九秒〇一、平金礼司:九秒七四。


 小学四年生としてはかなり速いほうだが、翔としては九秒は切りたかったところ。若干の悔しさをにじませる。怪我の影響もあるだろうが、そのせいにはしたくない。

 走り終わった後、平金が翔のほうに近づいてきた。

「国見君、さっきのは本気だったのかい?」

 平金は走った後だというのに、まるで息が切れた様子がない。

「どういうこと?僕は常に全力で走ってるつもりだけど……」

「そうか……多分、残り二回でとんでもない記録を出してくれるんだろうね……」

 そう言い、めがねを人差し指で直すと、平金はどこかに言ってしまった。

 とんでもない記録?一体何のことだろうか。

 平金の言葉を気にしつつ、翔は休憩のためにタイヤに向かった。


 男子二回戦が全て終わった。勝ち残ったのは、クラスがある程度予想していた通りのメンバー。イチゴジェラート効果は、どうやら上位ではあまり発揮されなかったようだ。

 十六人いた男子も、勝ちあがったのは残り四人。いづれも様々な功績で名を挙げた、同学年なら一度は名を聞いたことがある者ばかりだ。

 そして、翔の準決勝の相手は、斎藤夜騎士である。彼にはいろいろと異質なうわさが流れている。

 まずはその名前。「夜騎士」と書いて「ナイト」と読む。夜のnightと騎士のknightを掛けているものらしいが、子供の名前にはどうだろう、という感じがする。

 現代の小学生にはあまり珍しいことではないが、これまでの社会情勢にでは考えられない、まるで中二病のような名前。それでいて苗字は一般的な苗字だったりするギャップが妙味を生み出す名前を、「キラキラネーム」と言う。彼らの親はゲーム世代やゆとり世代と呼ばれる世代であり、育ちが悪い象徴とも言われている。そのため、将来、就職や進学などで差別される可能性があり、社会問題としても取り上げられている。

 しかしながら、小学生にとって、これらの名前はかっこよく、憧れの存在でもあった。

 もう一つ、夜騎士は小学校入学以来、「無敗騎士のナイト」という二つ名を持っていた。詳細は不明だが、特に心理戦においては異常なまでの強さを発揮するらしい。

 翔はキラキラネームや夜騎士の過去などにあまり興味が無かったが、無敗騎士という二つ名があるからには、運動能力も高いのだろうと判断した。相手にとって、不足は無い。


 スタートラインには、既に夜騎士がついていた。続いて、ゆっくりと翔も隣に付く。そして、いつもの通りのクラウチングスタートの構え。

 それを見て、夜騎士も同じくクラウチングスタートで構える。なるほど、やはり陸上経験者か。これは油断できない。全力で行く。

「位置について」

 二人同時に方膝を付く。ふと、夜騎士が翔の足元を見たような気がした。そして、ぼそりと呟く。


「翔、右の靴紐がほどけてるぜ」


 ああ、ここで得意な心理戦か。短距離走の勝負で聞いたことがあるような話だ。

 短距離走は一瞬の勝負である。ゆえに、一瞬のスタートの出遅れが命取りとなる。

 そこで、靴紐がほどけている等の言葉をかけ、相手を動揺させるという心理戦を行っている人がいるというのをどこかで聞いたことがある。これにより、コンマ数秒の世界を制しようというのだ。


「よーい」

 だが、翔にはそんな言葉は通用しない。何を言われても動揺せず、ただゴールを目指すのみ。膝を上げ、視線はゴールの先。

「ピッ!」

 笛の音が鳴ると、二人ほぼ同時にスタートを切る。出だしはお互い最高のようだ。

 が、すぐに翔のほうに異変が起こる。左足が何かを踏んづけたような感じがした瞬間、足の自由が効かなくなった。

 ふと足元を見る。そして、その事実に翔は驚いた。

 本当に右足の靴紐がほどけていたのである。それを踏んでしまい、思わず転びそうになる。

 まさか本当に靴紐をほどけているのを指摘していたとは。やるな、と思いながらも次のことを考える。

 とりあえず前へ進もう。相手は強敵、勝てるかどうか分からない。しかし、転びかけてコンマ数秒ロスしただけならなんとかなるかもしれない。こういう事態は何回か起こったことがあったので、対処法は知っている。

 体勢を立て直し、靴紐を踏まぬよう、大またで走る。記録は遅くなるが、仕方が無い。

 ふと前を見る。すると、はるか先に歩を進めていると思われた夜騎士は、思ったより先に行ってない。はっきり言って遅い。

 これなら勝てる。大また全力疾走という不恰好な走り方ながらも、ゴール数メートル手前で夜騎士を抜き、ゴールを駆け抜けた。


 国見翔:十秒〇八、斎藤夜騎士:十秒三五。


 かろうじて、この勝負は翔の勝ちだ。

 ゴールを抜け、ゆっくりとスピードを落とす。

「斎藤君、スタート前、何故君はあんなことを……?」

 同じくスピードを落としながらこちらにやってきた夜騎士に、翔はスタートでの言葉に対する疑問を投げかけた。

「はぁ、はぁ、な、何、俺はフェアな戦いをしたかっただけさ。靴紐がほどけてたら、お互いフェアじゃないだろ?」

 そういうと、夜騎士は静かに立ち去った。その背中は、負けた悔しさからかとても寂しそうだった。

 その背中を見届けながら、翔はぼそりと呟いた。


「……斎藤君、僕の靴紐がほどけて無かったら、君は完全敗北してたんだけどな……」


 準決勝と決勝を続けて行うと時間が空かないということもあり、この間に敗者決定戦が行われていた。すなわち、一回戦で負けた八人で、イチゴジェラートをかけた最終決戦が行われるわけである。

 水を飲み終え、翔が水道からグラウンドに戻ると、ちょうど邦弘が走る番になっていた。

「位置について」

 邦弘も相手も、お互いスタンディングスタートの構え。

「よーい、ピッ!」

 遠くからははっきり分からないが、さすがに敗者決定戦とあってあまり二人とも速くない。だが、速いか遅いか、それだけが短距離走ではない、ということは翔はよく理解していた。

 これは自分との戦い。自身を鍛え、成長を試す場。それがこの体力測定。隣に相手がいるのは、あくまでおまけにしか過ぎない。

 確かに相手によって記録が伸びることもあるが、基本的に一人の闘いだ。これまでの三回の相手、いずれも手を抜くことが出来ない相手だったが、一番は自分。それを改めて実感していた。

 そんなことを考えていると、いつのまにか二人ともゴールしている。ゴールラインは過ぎているが、わずかに邦弘が前を走っているところを見ると、どうやらかろうじて相手よりも速かったようだ。対戦相手が、がっくりと膝を落としている。

 走り終えた邦弘に近づき、翔は「イチゴジェラート獲得おめでとう」と告げた。どちらかというと、イチゴジェラートを喪失しなくて良かったというほうが正しいのだが。

 めったに見せない本気を出したためか、邦弘の息は完全にあがっていた。翔は邦弘に肩を貸し、そのままいつものタイヤのほうに向かう。

「な、なんとかイチゴジェラートは死守したぜ……」

「よかったね、相手が牧田君より遅くて」

「春菜ちゃん、見ててくれたかな」

「どうだろうね」

 ちらりと翔は女子の集団に目をやった。男子の走りなど興味ないとばかりに、友達同士で談笑している。その中に、佐山春菜もいた。牧田君、多分彼女は君の事を見ていないよ、ととりあえず心の中で呟いておく。


 ふと、トラックのゴールのほうに目をやると、イチゴジェラートを失った敗者と思われる男子四人が、なんともいえない咆哮をとどろかせ、両膝を付いて絶望し、泣き出すものまでいた。

 たかがデザート一つで……などと言ってはいけない。小学生の楽しみの一つといえば給食。中でもデザートは、その日のテンションを上げる材料ともなりうる。

 その楽しみを目前で奪われるのだ。しかも、周りはそんな敗者の気持ちなど知らずに悠々とデザートを楽しむ。その光景を想像しただけでも、小学生にとっては絶望的なことである。

「……相手が悪ければ、牧田君もああなってたかもね」

「じょ、冗談じゃない。俺は勝ったんだ。あんな奴らに同情することなく、イチゴジェラートを楽しむぜ!」

「フフッ、そうだね」

 ムキになる邦弘を見ながら、クスリと笑う翔。太陽は真上に向かい、その熱が肌を刺す。同時に校舎の反対側から吹く風が、左目を隠す前髪をしずかになでていく。


「しかし、お前次決勝だろ。大丈夫か?」

「ん、ああ、怪我は大丈夫だし、三回走った疲れもあまり無いみたいだね。誰が相手でも、僕はただ全力で走るだけさ」

「だが、次はいくら翔といえど、簡単には勝たしてくれないだろうな」

 邦弘が、一つの男子集団にいる人物に目を向ける。同じく、翔も邦弘の視線を追ってその人物を探す。

兵藤徹也ヒョウドウテツヤ。あいつは手ごわいぜ」

 邦弘が、徹也についての詳細を語る。勉強はそこそこだが運動神経はよく、夜騎士ほどではないが心理戦は滅法強い。特にジャンケンにおいては夜騎士以外勝てるものがいないとも言われているそうだ。

 ジャンケンや心理戦はどうでもいいのだが、やはり運動神経が良いというのは気になる。話によると、三年一組時代はクラスで五十メートル走最速を誇っていたらしい。いくつもの功績を挙げていることから二つ名を持っているらしいが、何故か誰も知らない。おまけに本人は主人公補正があるとか何とか、わけのわからない主張をしているらしい。

「……なるほど、つまりはこのクラスで、僕にとって最強の敵、ということだね」

 その話を聞いて、静かな闘志を燃やす翔。しかし、態度はあくまでクールだ。

 だが、相手は所詮クラスで最速。一方こちらは学年記録保持。一年でどのように成長したか分からないが、負けるわけにはいかない。

「なんだかひさびさに本気の翔を見たな。やはりイチゴジェラートがかかってるからか?」

「フフッ、イチゴジェラートなんてただのおまけだよ。僕はこのクラス、ひいては学年で最速を目指しているんだ。こんなところで負けるわけにはいかない。ただそれだけさ」

 さて、そろそろかと、タイヤから降りてスタートラインに向かおうとする。

「なんだ、イチゴジェラートが目的じゃないのか。じゃあ勝ったら俺にくれよな」

「ヤダ」

 邦弘の要求に即答拒否した翔は、静かに最終決戦の場に向かった。


 太陽の熱でけた大地。ほとばしる熱は、地面から放出されたものだけではない。決勝戦。最後の闘い。これに勝てば、クラス最速。

 様々な思いが、このトラックのスタートラインに詰まっている。その思いが、グラウンド全体の気温を上げているようにさえ思える。

 スタートラインに立った翔の隣に、対戦相手である兵藤徹也が立つ。翔よりも身長が高く、細身の翔の足と比べると徹夜の両足はたくましく見える。確かに、足が速そうな印象だ。

 お互い、負けないというサインを出すように互いの目を見る。言葉は要らない。この場で物を言うのは、この両足のみ。クラス最速と、イチゴジェラートを掛けた闘い。この闘い、絶対に負けられない。その闘いの火蓋が、今切られようとしていた。

 徹夜の顔から、ゴールラインに視線を移す。暑さのせいか、すこしゴールラインが揺らいで見える。その先を目指し、ゆっくりとクラウチングスタートの構えを作る。

「おい、靴紐がほどけてるぜ」

 不意に聞こえた、徹夜の声。またか。こいつもか。心理戦が得意といっていたが、まさかここまで何もひねりもしない心理戦でこられるとは。

「位置について」

 徹也の声をスルーし、ゆっくりと片膝を付く。怪我はもう痛くない。周囲の歓声を、徐々に感性を研ぎ澄まして閑静へと変えていく。

「よーい」

 夜騎士からの同じ言葉にはやられたが、その言葉はもう怖くない。

「ピッ」

 何故なら、靴紐がほどけても全く問題ない、いや、靴紐がほどけることなどありえないからだ――


 快晴の空を望む間も無く、笛の音が鳴って即座に動き出す左足。速やかに起こされる上体。腕の振りも上々。

 十メートル、二十メートルと、スタートラインはあっという間に遠ざかる。もし横を見る暇があるならば、その光景はまるで最高速で走る新幹線の車窓から見た光景と見間違うほどの速度で移り変わっていただろう。

 だが、そんなことを思う暇さえなく、視線はゴールラインに向かっている。相手は何しろ、クラス記録とはいえ三年最速。少しでもミスがあれば、コンマ数秒でも遅れを取れば、即座に敗北。恐らく、相手も今までのような相手と違い、ミスなどしないだろう。

 三十メートル、四十メートル。後など振り向かない。たとえ前に相手がいたとしても、気にしない。さらに走る足に力が入る。腕の振りも、自然と速くなる。

 追い風か向かい風か。そんな判断さえままならないまま、ただただ風が自分の体に襲い掛かる。そのおかげで、左目にかかっていた髪が持ち上げられ、両目でゴールラインが凝視できる。

 そのすべての風が追い風に変わったかのように、ぐんぐんと加速していく翔。五十メートル。長いようで短い時間を過ごし、ゴールへ到達した。


 国見翔:七秒八一、兵藤徹也:八秒五五。


 三年一組クラス最速の徹也を、圧倒しての勝利。周囲から熱い歓声が上がる。八秒を切る小学四年生など、数は少ないだろう。ましてや、平金と走ったときよりも一秒以上記録をよくするなどということはありえない話だ。最高のライバルとの一戦。それこそが、翔をここまで押し上げたのだ。

 そのスピードをなかなか緩められず、グラウンドの端まで行きそうな勢いを徐々に殺していく。ようやく足が納まると、ここで始めて後を振り向いた。

 そこには、くやしそうに両膝を付いた徹也の姿。翔はゆっくりと、徹也に近づく。

「いい勝負だったね。久々に完全燃焼した気分だよ」

 翔は徹也に片手を差し出す。走っているときはライバルでも、同じ四年三組のクラスメイトである。

 徹也はゆっくりと顔を上げ、差し出された手を握る。そして、ゆっくりと立ち上がる。

「……何故だ。俺の言葉をまるで無視したようだったが……」

「簡単なことだよ。斉藤君が、同じことをしていたからね。それに――」

 立ち上がったのを確認すると、翔は徹也と握っていた手をゆっくりと離す。

「兵藤君、君は斉藤君と違って、一つミスを犯しているね」

 その言葉を聞き、驚いた表情を見せる徹也。一体何をミスしたのだ、と言いたげな表情だ。それを見て、ああ、やっぱり気が付いていなかったかと翔は心の中で思っていた。

「斎藤君は僕に声を掛ける前に、僕の足元をちらっと見ていたんだ。それで、声を掛けることを決めたんだろうね。ところが、兵藤君はそうしなかった」

「それがどうしたんだ?靴紐がほどけているかどうかなんて、俺には関係なかったんだが……」

 さらに不思議がる徹也。翔はフフッと笑いながらそんな徹也の顔を見る。

「兵藤君、じゃあ今僕の靴を見るといいよ。自分が何をミスしたか、そこで気が付くはずさ」

 自分の靴を指し示し、翔は徹也に靴を見ることを告げる。言われたとおり、徹也は視線を落とし、翔の靴を見る。


「なっ……」


 その靴を見て徹也は驚いた。翔の靴は、準決勝まで履いていた登校用の紐靴ではなく、紐のない運動用のシューズだったのだ。

「斎藤君と戦った後、紐靴じゃ同じことが起こりえると思ったから、水を飲みにいくついでに履き変えたんだ。大事な決勝戦だしね。斎藤君みたいに心理戦を仕掛ける人間はそうそういないだろうと思って、その辺は心配してなかったけど、まさか同じことをする人がいるとは思わなかったよ」

 翔の言葉を聞き、「完敗だ」とがっくりと肩を落とす徹也。さすがに、主人公補正は無かったようだ。

「まあでも、君が相手だったからいい記録が出せたね。ありがとう」


 徹也の前から立ち去ろうとすると、目の前に平金がやってきた。

「さすが国見君。やはり僕と走ったときは本気じゃなかったみたいだね」

「平金君、気になっていたんだけど、何で平金君と走ったときは僕が本気じゃなかったようなことを言ったんだい?」

 残り二回でとんでもない記録を出す。確かに平金の言うとおり、翔は小学四年生離れした走りを見せた。

「ん、そうだな。とりあえず僕の記録とクラスの平均記録、それに全国の平均記録を見たらいいんじゃないかな。そろそろ体育委員が集計し終わる頃だろうから」

 そう言って、平金はその場を立ち去った。まったく、不思議なやつだ。


「国見翔、さすがだな。伊達に俊足の名を語ってはいない」

 平金が去った後、突然現れたのは、先ほど華麗なる心理戦を使用したにもかかわらず、翔に敗北した無敗さんだった。

「あの徹也を破るとはな。そういえばこのクラスでは二つ名が無いようだから、俺がつけてやろう」

 二つ名はそうそう名乗れるものではない。様々な功績を挙げた者に対して、周りからその評価を受けたものだけが名乗れる特権である。

「三年のときは俊足の翔、だったか。ならばその俊足を超える足を持つもの、『神速の翔』というのはどうだろうか?」

 夜騎士の中で勝手に話が進む。徹也もそばで聞いていて「いいんじゃないか?」と告げる。

「僕はどうでもいいけどね」

 興味がない、といった感じで休憩場所のタイヤに向かう翔。だが、内心ではその二つ名を気に入っていた。


「神速、か。悪くないな」


 自慢の足に目をやる。そう、短距離走は心理戦ではなく、この足で勝負するものだ。自分の大切な足。これからも、大切にしよう。

 そんなことを考えていると、もう一つ気になることがあった。

「そうだ。斎藤君、平金君が気になることを言ってたんだけど……」

「ああ、平金礼司か。あいつはあいつで化け物だぞ。さっき男子のクラス平均、全国平均、そして礼司の記録を聞いたのだが――」

 一呼吸置いて、夜騎士は告げる。

「全てまったく同じだったんだ。全部九秒七四。これは偶然の一致だろうか?」

 その言葉に、翔も驚いた。そして、そこから平金の言葉の意味を悟った。

 なるほど、あのときの走りが本気で最高記録だとすれば、このクラス平均にならない。あの兵藤徹也との最高の走りがあったからこそ、このような結果になったのだ。

「……だとすると、下はかなり遅かったのだろうか?」

 密かな疑問を持ちながら、夜騎士と共にタイヤに寄りかかると、再びトラックを見つめる。次は女子が走る番だ。



「な、なんだアイツ!?」

「は、はえぇ……」

「すっごーい!」

 女子のトーナメントは、何故か男子よりも盛り上がっていた。というのも、一人だけ異質な人間がいたからだ。

「男子より速いんじゃね?」

「さすがっ!」

 女子からは感心の声が、男子からは驚嘆の声が聞こえる。あっという間に、決勝戦。だが、決勝だというのにその勝負はあたかもプロのスポーツ選手と小学生が争っているようにも見えた。

 普通の男子よりも背が高く、すらりとしたスタイル。余計な脂肪を感じさせない、バランスの取れたフォルムは、まさに陸上選手と言っても違和感が無い。

 ロングヘアをなびかせながら、その女子は対戦相手に圧倒的な差をつけてゴールした。


 渡良瀬秋子わたらせあきこ:八秒一二、速田走子はやたそうこ:九秒四一。


 女子でも九秒台なら速い部類なのに、八秒台前半。男子なら中学三年生クラスの速さだ。

「やっぱり秋子ちゃん、すごいね」

「いやあ、私って、足だけは自慢だからね」

 秋子はぱんぱん、と自分の足を叩くと、春菜から貰ったタオルで顔をぬぐった。

「はい、じゃあ全員整列だ!」

 翔がその秋子の走りに見とれていると、武田の集合の声が聞こえた。


「さて、とりあえずこれで体力測定は終わりだ。今回の五十メートル走で、イチゴジェラートを食べられない男子生徒は……まあ、言わないでおこうか」

 周りを見れば、泣き顔や悔しそうな表情をしているから、それは一瞬で分かった。翔はかわいそうにと思いながらも、これが実力の世界だから、自分もそうなる可能性があるからと自分を戒めた。

「そして、イチゴジェラートを得たもの、つまりクラスで一番速かったのは――」

 どうせ国見だろ、という男子の声が聞こえる。七秒台なんて、めったに出せるものではない。


「クラスで速かったのは、渡良瀬秋子だ。渡良瀬には、給食の時にイチゴジェラートを追加で配るように」


 思わぬ武田の一言。

「え、先生、最速は国見君じゃないんですか?」

「翔は決勝で七秒台、渡良瀬さんは八秒台だったじゃないか?」

 ざわつく児童たち。当然、男子の国見翔が一番だと思っていただけに、驚きを隠せないようだ。

「おいおい、俺は一位を決めるタイムは、走った中で一番いいものを採用すると言ったはずだ。お前らは女子の準決勝を見てないのか?」

 たしかに全員見ていた。が、秋子の圧倒的走力の前に、記録を聞いていたものはほとんどいなかった。


 準決勝第二試合。

 渡良瀬秋子:七秒七八、吉永雪子よしながゆきこ:八秒四八


 確かに、翔の記録をコンマ零点三秒上回っている。この事実に、男子全員が呆然とする。

「あ、秋子ちゃん、すごいね、七秒台って……」

 春菜が唖然としながら秋子に伝える。

「え、あ、ああ、あの時はだって、雪子が『私の、私のイチゴジェラート』ってよだれたらしながら叫んでたから、必死に逃げてたんだよ。全く、食べ物がかかると人が変わるよね、雪子って」

 キーンコーンカーンコーン。体育の授業が終わるチャイムがなり、「今日はこれで終わりだ」と武田が告げ、ようやく男子全員が我に帰る。

 昇降口へ向かう途中、秋子の背中を見ながら、翔は思った。

「渡良瀬秋子……さんか。気になるな……」

 なんともいえない感情が翔の中にめぐる。彼女とはライバルになるな。その思いを秘め、教室へ戻った。


 そしてグラウンドに残ったのは、女子に惨敗を喫した斎藤夜騎士と、幼馴染の雪子に記録上敗北した兵藤徹也の倒れこんだ姿だった。

 これで「絶対に負けられない~」シリーズは三作目。後出て無いのは牧田邦弘メインと、早川玩駄無メインなのです。

 話が溜まったら連載に持って行きたいのです。読者は少ないですけどね。

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参考小説:絶対に負けられな闘いがそこにはある(原作:八城)
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[一言] 『ワタシトノベル――私の小説の書き方メモ』の感想欄から視点の話をたどって、どんなの書いてるのかなあと見に来てビックリ。面白かったです! ちなみにコレの場合、何視点というのでしょうか(汗) …
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