嫌われ者なのに幼馴染が手を繋いでくるのはなぜだ?
俺は奈須野優希。
本庄西高校に所属する2年。本庄西高校は埼玉県の北部の本庄市にある私立高校。俺は家から近いという簡単な理由でこの高校への進学というのを決めた。
そして俺は奈須野優希であり、この高校の理事長の息子。そして三つ下に妹がいる。
自分の紹介はこれぐらいにして、この高校内での俺の立場について紹介する。
一言で言えば、俺は嫌われている。
たぶん、この学校で俺の名前を知らない奴はいないはずだ。それは良い意味ではなく、悪い意味でだ。悪名だけであれば下手したら町中に轟いてもおかしくないぐらいの態度を取っている自信というものがある。そんな自信あってどうするんだと言われるかもしれないが、俺としてはそれでいい。
むしろ嫌われたい。
そして嫌われるために起こした行動もあった。
その全てが俺の悪名を広めてくれたのだから、やった意味もある。
そして『理事長の息子』という肩書は予想以上に強いらしく、普通の生徒であれば怒られるようなことであっても怒られない。これは理事長の息子という肩書が強く作用しているんだろう。そうなれば生徒たちから「あいつは理事長の息子だから怒られないんだろ、ムカつく」などの負の感情が溢れだすのは当たり前。そのこともあって学校で俺に並ぶ嫌われ者はいないと断言できる。
ここで急に話を変えるが、俺には幼馴染と呼べるような奴らがいる。小学校時代は仲が良い方だった。中・高と一緒なので幼馴染と呼んでも良いかもしれない。同じ学校に通っているからこそ、五人が有名なのは知っている。それぞれにファンクラブが出来る程の人気。
そして俺はそんな幼馴染からしっかりと嫌われた。小学校までは毎日のように遊んでいたが、中学になってからは話さないようになった。それは俺が嫌われたこともあるだろうし、あっちも俺と関りたくないだろ。態々、嫌われている人間に近づいて来るなどバカのすることだ。
そう思っていたのだ。
少なくとも一週間まではそう思っていたし、それがこれからも変わることはないと思っていたのだ。
だが今の俺の隣には幼馴染の一人であり、学園一のイケメンとも言われている『梅咲大晴』がいる。非公式ながらうちの高校で行われている『本庄西高校人気投票』でも入学から今までずっと1位を独占している男。黒髪短髪で顔立ちは本当に整っていて、モデルと紹介されても信じてしまうレベル。小学校からの知り合いである俺から見てもイケメンで性格も良い方だ。分かりやすく言えば、物語の主人公ポジションのような人間に近いかもしれない。
「なんかして欲しいことがあったら言ってくれよ」
「いやないと言っているだろ。それより手を握って来るのを止めろ」
俺はそっちに興味はない。イケメンに手を握られていることで周りの女子からの嫉妬の眼差しに刺さられ、男子からは冷ややかな目で見てきている。
「大晴、優希が嫌がっているじゃん!離してあげなよ!」
「いや、それはキミも」
大晴は俺の右手を握っていて、左手を握っているのが串宮輝愛。彼女は大晴を主人公ポジションと言うのであれば、ヒロインだろう。学内でも人気でこれも非公式で行われた『彼女にしたい子ランキング』で堂々の1位を掻っ攫っていた人。誰が見ても美少女と呼べるような人であり、黒髪ロングの清楚。そしてもちろん、男子からの人気が高いため、僕は男子からの嫉妬の眼差しで見られている。なので、僕は手を握ってきている幼馴染の所為で男女から嫉妬の眼差しを受けることになっているのだ。
「早く離せ。俺はお前たちと話すことはない」
「ううん。私は優希と話したい」
「オレも優と話したいからな。絶対に離さない」
こいつら一体なんなんだよ。さっきよりも握る手に加わる力が強まっていると感じるのはたぶん、気の所為じゃないんだよ。
こいつらがなぜ、こんなことになってしまったのかは本当に分からない。変わったのは一週間前ぐらい前からだった。
周りもこいつらの変わりように対応できていないのが分かる。『本庄西高校嫌われている人間ランキング』で堂々の1位を取るような俺と人気者たちが絡むことはないはずだったのに。




