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第31話 断固拒否
起きたら、朝でした。
場所は、保険医の家。
「やってしまった!」
私はうなだれるしかない。
なんて不覚だろう。
ノワール様に誤解されたらどうしてくれるのだ。
肩を震わせていたら、保険医がやってきた。
「おはようエルンさん」
「オハヨウゴザイマス」
元凶はひょうひょうとした態度を崩さないまま。
なんて、小憎たらしい!
内心で歯ぎしりしていると彼が、外出用の服を着ている事に気が付いた。
「一泊したなら、これからも同じでしょ? 家がなおるまでよろしくね」
そういって、彼は文句を待つ事なく出勤してしまった。
私はわなわなしながら爆発した。
「いいわけないですわよ! 絶対にごめんですわ!」
誤解なんですノワール様。
私は一途なままですから!
弱みを握るどころか、逆に握られそうな有様だ。
なんて体たらく!
しかし憤ってばかりはいられない。
これからどうしよう。
家は壊れたままなんだし。




