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第24話 常識



 買い物の支度をして、保険医の家を出る。


 また帰ってくるつもりで、この家を出る事になるとは思わなかった。


「いってきますの挨拶は?」


 鍵どこやったかな、なんてひと悶着があったあと、保険医がふざけた事いってきた。


「一人でお買い物にいきたいですか?」

「エルンさん、だんだんうちとけてきたみたいだね」


 これはうちとけたのではなく、態度がぞんざいになっただけ。


 敷地を出た後。


「じゃあ、いこうか」


 保険医はそういってさりげなく手をつないできた。


 なぜに?


「えっとこれは?」


 まじまじと繋がれた手を見つめてしまう。


「一緒に外に出る時は手をつなぐものだよ」


 いえ、違います。


 だって私達、他人よね?


 なぜかこの人、常識みたいに喋ってるけど、そんな常識はありませんから


 間違ってもノワール様に見られたくないので、それはなしにしてください。


「照れ屋かな」


 それも違います。



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