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第21話 夕飯の行方
この世界の冷蔵庫は、元の世界のものほど質がよくない。
結構サイズが大きいし、電力も馬鹿にならない。
そんな冷蔵庫を軽はずみに改造してしまうなんて。
壊れても簡単に買う事はできないのに。
正気の沙汰ではなかった。
「あちゃー、すっかり壊れてだめになっちゃってるみたいだねぇ」
当の本人は、煙の中に頭をつっこんで冷蔵庫の中を見ているらしい。
よく息が持つものだ。
というか視界は効いているのだろうか。
「昨日の夜から機能してなかったのかな。あ、ここ焦げてる。食材がいくつか駄目になってるみたいだ」
冷蔵庫の中を観察している保険医は何でもない事のように言うのだが、それは結構大変な事なのではないだおるか。
おそらくもう先の展開は分かり切っている。
ここで知らぬ顔して帰る事もできたが、私はつい言葉をかけてしまった。
「夕飯は、どうされるおつもりなんですか?」
「うん、色々大変だから、一緒にご飯食べに行こうか」
ここまで来たら、腹をくくるしかない。
私はため息をこらえながら、使用人から聞いた激安店の位置を頭に思い描いていた。




