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【書籍発売中】どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら  作者: 風見ゆうみ


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23  誰でしたっけ 

「どうして……、どうしてだよ⁉」

「どうしてって、ミルーナ様を選んだのは、エイン様ではないですか。ミルーナ様に捨てられたからといって、やっぱり私と結婚したいだなんて、そんなことがよく言えますわね」

「本当の愛に気がついたんだよ。愛し合っている者同士が結ばれるべきだ」

「……あなたを好きだった時もありました」


 十回目までは、良き婚約者であろうと良き妻になろうと頑張ってきました。でも、そんな私を裏切り、お姉様と一緒になって私を殺したのはこの人です。


「なら、僕と婚約を……!」

「あなたは私にとって過去の人です。私は未来しか見ていませんから、あなたに興味はありません。私以外で良い婚約者を見つけてくださいませ」

「そ……、そんな……!」


 エイン様の声が大きいせいで、近くのテーブルに座っていた生徒たちも会話をやめて、私たちに注目しています。そして、アデルバート様も気がついてくれたようで、こちらにやって来て、エイン様の肩を掴みました。


「俺が話を聞く」

「ロ、ローンノウル侯爵令息……!」


 エイン様は体をびくりと震わせると、アデルバート様の手を振り払います。


「僕はあなたと話すことなんてありません!」


 そう叫ぶと、エイン様は泣きながら立ち去っていきました。


「大丈夫か?」

「はい。ありがとうございます」


 アデルバート様に笑顔で答えた時、鋭い視線を感じ、そちらに目を向けます。目を向けた方向にはたくさんの人がいましたが、その中の一人が私を睨んでいることに気づきました。

 亜麻色の髪をハーフツインにし、緑色の瞳を持つあどけなさの残る少女は私と目が合うと目を逸らし、友人たちと一緒に食堂を去っていきました。

あの顔には見覚えがあります。

 誰でしたっけ。ああ、そうです。思い出しました。私を睨みつけていたのは、アデルバート様の婚約者になりたがっているミドルレイ子爵令嬢でした。


*******


 エイン様の一件で、私は一部の女子から嫌われることになりました。食堂は学年関係なく使いますので、食事をしていると、名前は出しませんが相手が私だとわかる悪口を通りすがりに言うようになって知りました。友人たちは事情を知っていますので、エイン様が何を考えているのかわからないという意見でしたが、事情を知らない人たちはそうではありません。

 エイン様やアデルバート様に想いを寄せている人たちには、私が男性二人を弄んでいる悪女に見えているようでした。

 ミドルレイ子爵令嬢が私を睨んでいたのも、それが原因かと思われます。彼女は今のところ、私やアデルバートに何かしてくる動きは見せていませんが、引き続き警戒はしています。

 十回目までは大人しくしていたことが裏目に出て嫌われてしまい、友人ができず、一人で辛い思いを耐えてきました。でも、今は違います。私自身が開き直っているというのもありますが、私を信じてくれる友人がいます。

 少しでも嫌だなと思うことがあれば、友人と話をして発散することができました。そして、友人ができてわかったことがありました。それは駄目な男性を好きな女性もいるということです。アデルバート様にバレないように、必死にアピールをしてくるエイン様にうんざりしてきたので、特訓の成果を見せようかとニーニャに話をしていた時のことでした。


「エイン様は見た目は素敵なのに、考えていることはよくわからないですね。もしかすると、純粋な良い人なのかもしれません」


 ニーニャの話を聞いた私は驚きで、口をあんぐりと開けてニーニャを見つめたのでした。

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