春の俳句(2022)
『停電の春宵 蛙の声ばかり』
夕食後、片付けを済ませてテレビを見ていたら、突然の停電。
家に1人。「停電か?」「懐中電灯はどこ?」などと騒ぐ家族はいない。
真っ暗になったことよりも、家の中から一瞬にして音が消えてしまったことで、どこか違う世界に迷いこんでしまったよう。
冷蔵庫とテレビの音が消えただけで、こんなにも静か。
春なので冷房も暖房も使っていない。
冷蔵庫の中身を心配しながら、1人静かに柔らかい闇の中で復旧を待つ。
聞こえるのは蛙の声。
あちらからもこちらからも、蛙の声ばかり。
外はこんなににぎやかなのに、家の中は何の音もしない。
『春宵』春の宵は日の入りから午後9時頃までの時間を言います。
『風光る 逃げる子の手に 鹿せんべい』
母の思い出話より。
この句の『子』は幼き日の母です。
「怖かったのよー」と言う顔がとても楽しそうに笑っていました。
怖かったと同時にとても楽しい思い出だったのでしょう。
奈良の鹿さんたちは人懐こいけれど、遠慮知らず恐れ知らずだそうです。
怖かったら鹿せんべいは投げちゃえば良いそうですよ。